アモバンの効果と副作用。苦いがよく効く睡眠薬

緑と空と雲

アモバンは非ベンゾジアゼピン系というカテゴリーに属する睡眠薬です。

確かな睡眠作用がある一方、比較的副作用が少ないという特徴があります。

ここではアモバンの概要と効果・副作用、そして他の薬との比較をご紹介します。

アモバン(睡眠薬)の概要

アモバンは日本では1989年に発売された睡眠薬です。

発売からかなり時間が経っていますが、睡眠薬としては比較的新しい部類に入ります。

以下にアモバンの基本情報をご紹介します。

睡眠薬としての系統

  • 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは、現在主流として使われているベンゾジアゼピン系睡眠薬と概ね同一の系統ですが、副作用がベンゾジアゼピン系よりも軽減されているという特徴があります。

作用時間

  • 半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間):約4時間
  • 血中濃度最高点到達時間:約1時間

薬の効果は服用後約1時間で最大になり、約4時間で血中の濃度が半分になります。

半減期がおおよそ薬が効果を発揮する時間の目安になりますが、実際にはそれよりやや短く感じることが多いです。

アモバンに関しては、概ね3時間程度効果を実感します。

適応疾患

  • 不眠症
  • 麻酔前投薬

アモバンの効果と強さ

アモバンをはじめとした睡眠薬は、「作用時間の長さ」と「作用の強さ」という2つの軸で特徴が現わされます。

睡眠薬の作用時間の分類

まず、睡眠薬の作用時間の4つの分類を見てみます。

  • 超短時間作用型:作用時間が概ね6時間以内
  • 短時間作用型:作用時間が6時間から12時間程度
  • 中時間作用型:作用時間が12時間から24時間程度
  • 長時間作用型:作用時間が24時間以上

どの作用時間の睡眠薬を使うかは、睡眠障害の種類によって異なります。

睡眠障害には以下の3つのタイプがあります。

  • 入眠障害:なかなか寝付けない
  • 中途覚醒:途中で起きてしまう
  • 早朝覚醒:早朝に起きてしまう

睡眠薬の作用時間と、睡眠障害の種類の関係は概ね以下のようになります。

  • 超短時間作用型:入眠障害
  • 短時間作用型:入眠障害及び中途覚醒
  • 中時間作用型:中途覚醒及び早朝覚醒
  • 長時間作用型:早朝覚醒

アモバンは超短時間作用型の睡眠薬のため、主に入眠障害に使われる薬となります。

アモバンの強さ

アモバンは切れの良い睡眠薬で、確かな睡眠作用があります。

効果の出現がとても早く、服用後30分もすると眠くなってきます。

そして体感としては約3時間程度で効果は消失していきます。

すぐに効果が表れ、短時間で消失するというとても効果の実感しやすい睡眠薬です。

睡眠薬の強さは量で調整可能

なお、睡眠薬の強さは量で調整できますので、実際にはその薬の強さより、上記で述べた作用時間の方が重要です。

きちんと自分の症状に合った作用時間の睡眠薬を選んだうえで、作用の強さを調整するというのが一般的な選び方になります。

アモバンの副作用

アモバンをはじめとした非ベンゾジアゼピン系やベンゾジアゼピン系の睡眠薬には主に以下の5つの副作用があります。

  • 耐性
  • 依存性
  • 眠気の持ち越し
  • 健忘
  • ふらつき

耐性

「耐性」とは、その薬を使い続けることによりその薬に体が慣れてしまい、同じ効果を得るためにより多くの量を使用しなければならない状態になることをいいます。

依存性

「依存性」とはその薬が体内に入ってくることが当たり前になってしまい、その薬なしではいられなくなってしまう状態になってしまうことをいいます。

眠気の持ち越し

「眠気の持ち越し」は睡眠作用が翌日まで残ってしまうことをいいます。

特に、作用時間が長い睡眠薬の場合には注意が必要です。

アモバンは作用時間が短いため、眠気の持ち越しは起こりにくい薬となっています。

健忘

「健忘」は睡眠薬を服用後、自分のしたことを忘れてしまうことをいいます。

服用後にすぐに寝てしまえばこのようなことは起こらないのですが、何かをしようとすると、そのしたことを忘れてしまうことがあります。

翌朝起きてみたら意外なところに意外なものが置いてあった、などは健忘の1つの例と言えます。

ふらつき

「ふらつき」は睡眠薬の睡眠作用や筋弛緩作用(筋肉を和らげる作用)がふらつきにつながり、転倒などが起こりやすくなります。

この副作用も服用後に寝てしまえば問題ないのですが、服用後に活動しようとすると起こり得る副作用といえます。

また、寝ている途中でトイレに行くときなどには注意が必要な副作用と言えます。

基本的に安全性は高い

現在主流のベンゾジアゼピン系の睡眠薬は副作用が軽減されており、基本的に医師の指示通りに使用している限りにおいては大きな問題はない場合が多いかと思います。

アモバンに関してはベンゾジアゼピン系より更に副作用を軽減した非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬のため、より安全性が高いと言えます。

上記の耐性・依存性・健忘・ふらつきに関してはかなり軽減されており、また超短時間作用型の睡眠薬のため、翌日への持ち越しもほとんどみられないかと思います。

アモバンの苦味

アモバンを有名足らしめている特徴の1つにその苦味があります。

アモバンはとにかく苦い薬です。

口の中が苦いというより、胃からこみあげてくるような苦味があります。

良薬は口に苦しといいますが、良薬だから苦いのか、それともただ単に苦いだけなのかよくわかりません。

人によってはこの苦味の為にアモバンは苦手という人もいるようです。

薬の本質的な効果とは無関係なところなだけに、残念な特徴です。

悪夢の軽減

これはとても不思議な作用なのですが、アモバンには悪夢を軽減する効果があると言われています。

メカニズムはよくわかっていないようですが(そもそも夢のメカニズムも曖昧ですね)、アモバンで悪夢が軽減されたというのはわりとよく聞く話です。

おそらく個人差はあると思いますが、効く人には効くようです。

うつ病をはじめとした精神疾患を患うとよく悪夢を見るようになることが多いです(私もそうです)

悪夢を見ると、とても嫌な気持ちになりエネルギーも消耗してしまうため、精神的にも身体的にもネガティブな影響を与えます。

アモバンの悪夢を軽減するという効果は、うまく作用すればこうしたネガティブな要素を取り除いてくれるという可能性を秘めています。

ちなみに悪夢を軽減する効果を持つと言われている薬には、アモバン以外にもセパゾン(抗不安薬)やセルシン(抗不安薬)、リボトリール(抗てんかん薬)また漢方薬では十全大補湯などがあります。

アモバンとハルシオンの比較

アモバンはハルシオンという睡眠薬と比較されることが多いように思います。

確かに両者とも超短時間作用型で切れがいいという点においてよく似ているように思います。

一方で、ハルシオンはベンゾジアゼピン系の睡眠薬であるのに対し、アモバンは非ベンゾジアゼピン系であるため、両者の構造は(概ね同じですが)若干異なり、作用はハルシオンの方がやや強く、副作用はアモバンの方が少ないとされています。

ただし、個人的にはこの効果と副作用の違いは体感できるほどではありません。

両者で大きく違うのは薬の味です。

既に述べましたが、アモバンはとても苦い薬です。

たかが苦味と思うかもしれませんが、かなり強烈な苦味なのと、また苦味というのは人を嫌な気持ちにさせ、多少なりとも精神的にダメージを与えるためそうそう喜べたものではありません。

そういった意味で、この苦味が気になる人にはアモバンは向かないと考えられます。

アモバンの改良版ルネスタ

アモバンはその後改良が加えられ、現在ではルネスタというアモバンをベースにした新しい睡眠薬があります。

このルネスタはアモバンと概ね同じ特徴を持っていますが、若干作用時間が長く、副作用も軽減されていると言われています。

また、アモバンの大きな特徴(デメリット)であった苦味も改善されています(それでも苦味は残っていますが・・・)

ですので、現在処方されるのであれば、アモバンではなく、まずはルネスタの方を処方されることが多いのではないかと思います。

実際、「よく使われている睡眠薬ランキング」では、アモバンよりルネスタの方が上位に来ています。

参考記事:よく使われている睡眠薬ランキング

アモバンのまとめ

以上、アモバンの特徴をまとめると以下のようになるかと思います。

  • 作用時間が短く入眠障害に適した睡眠薬
  • 効果がしっかりしていて切れがよい
  • 副作用は少なく、安全性は高い
  • 不快なまでの苦味がある
  • 人によっては悪夢を軽減する効果が見られることもある
  • 改良版のルネスタという睡眠薬が存在する

こうしてみると、苦味を別にすれば入眠障害への対処としては優秀な睡眠薬なのではないかというのがアモバンへの個人的な所感です。

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