デパスをよく処方する医者とデパスをあまり処方しない医者

うつからの回復精神科には大きく分けて2種類の医者がいます。

デパスをよく処方する医者と、デパスをあまり処方しない医者です。

デパスというのは、抗不安薬や睡眠薬として使われるとても有名な薬の一つですが、その処方の仕方は医者によってかなり特徴があります。

ここでは、デパスをよく処方する医者とあまり処方しない医者の特徴をご紹介します。

デパスをよく処方する医者

デパスをよく処方する医者には、即効性を求めるという特徴が見られます。

デパスという薬には即効性があります。

不安を和らげ、睡眠を促し、また多少の抗うつ作用も持ち合わせています。

デパスはとてもキレのいい薬ですので、服用すると速やかに不安や不眠といった症状の改善が見られることが多いです。

そのため、今目の前にある症状をすぐにでも和らげたい、と考える医者はデパスを処方しやすい傾向にあるように思います。

つまり、将来云々というよりは、まずは今の状態に着目して、今症状にどのように対処するかということに主眼を置いて考える医者と言えるかもしれません。

また、患者の立場からしても辛い症状がすぐに和らぐというのは大変喜ばしいことです。

すぐに症状が和らぐことで、医者に対する信頼感も上がる可能性があります。

このように患者を受けが良く、また今の状態をいかにすぐにいい方向へ持っていくか、ということを重視する医者がデパスを処方しやすい傾向にあるように思います。

デパスをあまり処方しない医者

一方で、デパスをあまり処方しない医者というのも存在します。

デパスをあまり処方しない医者というのは、おそらく長期的な観点で見て症状をどうするかということを考えている医者ではないかと思います。

どういうことかというと、上記のようにデパスというのは即効性があり、使うとすぐに効果の実感できる薬です。

この効果が実感しやすいという特徴は、裏を返すと依存しやすく止めるのが難しい薬ということにもなります。

つまり、最初はいいけれど後々になってなかなか止めるのが難しくなる、というのがデパスの問題点として挙げられます。

このような問題点を認識し、やめる際の出口戦略までもあらかじめ考えている医者というのはなかなかデパスを処方しない傾向にあります。

つまり、長期的な視点で見て薬をやめる際の苦労やリスクも勘案している医者が、デパスを処方しにくい医者と言えます。

どちらの医者がいいのかは一概には言えない

ここでは、デパスを処方しやすい医者と処方しにくい医者の特徴を紹介しましたが、どちらかの優劣を述べたいわけではありません。

あくまで治療に対する視点の違いによって、デパスを処方しやすいかしにくいかという特徴が変わってくる、というのがここでの論点になります。

なので、デパスを処方するからこの医者はダメだ、とか、デパスを処方しないからこの医者はいい医者だということは全くありません。

あくまでも私の経験に基づき、医者にはこういう特徴で二種類に分けられるということを述べただけです。

ですので、もし自分がその医者を信頼しており、その医者がデパスを処方するのであればそれはおそらく信頼に足る処方なのではないかと思います。

デパスを好まない医者が多かった

これまで私が診察を受けた医者(精神科医)は覚えているだけで9人います(たぶんもっといます)

そして、この中でデパスを好む医者は2人だけでした。

デパスは日本で最も使われている抗不安薬・睡眠薬なので、この割合はかなり低いのではないかと思います。

もちろん前の医者がデパスではない薬を処方していると、その処方を踏襲して同じ薬を出すことも多く、この辺りの影響もあるかもしれません。

なお、内科でも睡眠薬や抗不安薬を処方されたことが何度か(何度も)ありますが、なぜか内科の方がデパスが処方されやすい傾向がありました。

デパスは効果が分かりやすいので内科で処方されやすいのかもしれませんが、個人的にはとても不思議な気がしています。

ワイパックスを好む医者、メイラックスを好む医者

デパスだけに限らず、ある特定の薬を好む医者に過去何人も会ってきました。

例えば、メイラックスを好み不安を訴えると必ずメイラックスを処方する医者。

一方で不安感を訴えると必ずワイパックスを処方する医者もいました。

このような違いが起こる背景としては、おそらく医者自身の過去の経験や個人的な好みなどが反映されているのではないかと思います。

率直に言って抗不安薬に関しては、処方のガイドラインなどあってないようなものなので、医者のさじ加減1つで処方はどうにでもなってしまいます。
この点は、一応DSM-5というガイドラインのある抗うつ剤とは異なる点ですね(これがいいか悪いかは別として)

同じ訴えにも関わらず処方される薬が異なる、これは精神科領域における一つの不思議な事象といえるかもしれません。

もちろん精神(≒脳)というのは非常に複雑なものですので、そこに作用する薬というのも個々人によって大きく違いが出るのは当たり前の話です。

そういった意味で、同じ症状の訴えにも関わらず医者によって処方される薬が異なるというのも、医者も人間である以上当たり前なのかもしれません。

ただ、個人的には時折処方に対して違和感を覚える時もあるため、この辺りの薬のガイドラインなどをある程度定義し、公表していくことも必要なことではないかと感じています。
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらも読まれています
こちらも読まれています