デジタル錠剤がアメリカで承認される。センサーで薬の管理が可能に

緑と雲と空デジタル錠剤がアメリカの米食品医薬品局(FDA)に承認されたようです。

デジタル錠剤というのは、薬にセンサーを埋め込み、服用状況を管理できる錠剤です。

つまり、薬の服用履歴の管理が容易になる大変優れたシステムです。

初のデジタル錠剤は世界的によく使われている向精神薬のエビリファイです。

ここではデジタル錠剤に関するニュースと、将来的な方向性についてご紹介します。

元ソース:ブルムバーグ

デジタル錠剤の承認

日本ではなくアメリカの話ですが、デジタル錠剤がFDA(米食品医薬品局)に承認されました。

IoTの時代と言われ、いろいろなものがネットにつながる環境になってきましたが、いよいよその波が薬にも波及してきた形です。

以下のそのニュースの内容になります。

患者が処方通りに薬を服用したかどうかを確認できるようセンサーを埋め込んだ初のデジタル錠剤が、米食品医薬品局(FDA)に承認された。テクノロジーとヘルスケアの融合で画期的な決定となったが、プライバシーに関する懸念も伴う。

FDAが13日に承認したのは「エビリファイ・マイサイト」。統合失調症や双極性障害の治療に使われる大塚製薬の「エビリファイ」に、米プロテウス・デジタル・ヘルスが開発したセンサーを組み込んだ。

センサーは胃液に接することで作動。患者の体に貼り付けたパッチに信号を送り、情報をスマートフォンなどのアプリに伝える仕組み。

デジタル錠剤の有用性

まず、デジタル錠剤というのは、薬にセンサーを組み込み、そのセンサーが胃液に接することでサインを出し、その情報をスマートフォンなどに送るという仕組みです。

この仕組みにより、

「そういえば今日の薬を飲んだんだっけ?」

「過去どのような薬をどのくらいの量服用してきたのだっけ?」

といったことを直ぐに把握できるようになります。

センサーが体に無害なのかどうかという点は気になりますが(おそらく無害なので承認されたのだと思いますが)、薬の管理という点においては非常に役立つ仕組みと言えます。

ほとんどデメリットは見当たらず(しいて言えば薬の値段が高くなりそうなところは気になりますが)、是非どんどん普及して欲しい仕組みと言えます。

初のデジタル錠剤はエビリファイ

世界で初めてデジタル錠剤として承認されたのは、精神薬のエビリファイです。

エビリファイは統合失調症に主に用いられる薬ですが、その有用性から双極性障害やうつ病にも使われる薬です。

また、世界的にもとてもよく使われている(よく売れている)薬の1つです。

ちなみにエビリファイは日本の企業の大塚製薬の開発薬ですが、日本よりも先にアメリカで承認されたことになります。

この辺りの動きは日本より海外の方が早い為、日本で普及するのはだいぶ先になる可能性もあります。

医者が薬を管理することを想定

このデジタル錠剤は、医者が服用状況を管理することを念頭に置いているようです。

確かに、服用状況をしっかり管理し、その上で効果を判断するということはとても大切なことのように思います。

一方で、個人的には医者の管理のためのみならず、自分自身の管理のために非常に有用ではないかと思います。

上記でも述べましたが、「今日薬飲んだんだっけ?」という時に服用状況がわかれば、きちんと管理することができます。

しばしば起こるのは、薬を飲んだかどうかを思い出せず、飲まないより飲んだ方がいいだろうと判断し、結局薬を飲み過ぎてしまうということです。

このような事態を簡単に避けることができるのは大きなメリットです。

病院の変更が容易になる

薬の服用履歴がデジタルに管理されることは、病院を変える際にも大きなメリットになります。

現在でもお薬手帳という薬を管理するための台帳が存在しますが、これはあくまでもアナログ管理(手帳にその都度記入)です。

服用履歴のデータが保存されれば、例えば病院が変更になっても、過去どのような薬をどの程度使っていたのかが一目瞭然です。

精神
の薬には相性があり、また使う分量も個人差が大きいため、これまでの経緯を知らないとえらいことになる可能性があります。

このようなリスクを緩和してくれる効果が大いに期待できると思われます。

日本での発売は未定

このようにデジタル錠剤には多大なメリットが存在すると考えられますが、現在のところ日本での開発予定はないようです。

以下ニュースからの引用です。

ソース:MIXONLINE

大塚広報部によると、米国での発売日及び価格は未定。日本や欧州での具体的な開発計画もないという。米国ではまず少数の患者で使用経験を積み、製品価値を確認していくとしている。

大変有用な取り組みだと思うのですが、まずは米国にて試験運用され、その状況次第で日本や欧州にも広げていくかが判断されるようです。

これを見る限り日本に上陸する日はまだまだ先のようですが、是非とも早期の実現を期待しています。

終わりに

精神疾患を長く患っていると、

「そういえばあの頃はどの薬をどのくらい飲んだんだっけ?」

「かこどういう薬の組み合わせがよかったんだっけ?」

といったことを過去に遡って知りたくなる時があります。

現状ではなんとか頼りない脳内のかすかな記憶を頼りに思い出したり、医者に過去の服用履歴を確認したりしています。

デジタル錠剤が普及すればこのような情報はスマホのアプリケーションなどで容易に取り出せるようになります。

もちろん情報の管理という点はしっかりする必要がありますが、この点がクリアされれば患者にとっても、医者にとってもとても有用な技術のように思います。

是非このようなイノベーションがどんどんと進展し、治療の柔軟性を高めてくれることを期待しています。

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