葛根湯の効果と副作用。風邪の引き初めに使われる漢方薬

夕焼けの空

葛根湯は、言わずと知れた超有名漢方薬です。

あまりにも有名なため、漢方と意識せずに使っている方のいるのではないでしょうか。

この葛根湯は、何より風邪に効くことで有名です。

しかしながら、風邪ならばいつでも葛根湯を使えばいいかというと、そういうわけでもありません。

葛根湯も適切な時期に、適切な体質の方が使った方が、より効果がしっかりと発揮されます。

ここでは漢方薬の特徴とともに、葛根湯の効果や副作用、そして実際に使ってみた体感をご紹介します。

漢方薬の特徴

漢方薬は、自然の草木を原料とする「生薬」の組み合わせでできています。

西洋の薬のように人工的な作りではなく、自然界の力を借りて徐々に症状をよくするというものです。

そのため、漢方薬には即効性はあまりありませんが、継続して使うことで、徐々に体質が改善していくという特徴があります。

今すぐに症状をよくしたいと考える人にはあまり向かないかもしれませんが、自然の力を借りて、少しずつ症状を改善していきたいと考える人に向いていると言えます。

使い始めた当初はあまり効果がわからなかったけれど、振り返ってみると体質が改善してきている、と感じるのが漢方の効き方になります。

漢方薬の飲み方

漢方薬は基本的に空腹時に服用します。

空腹時の方が生薬がよく吸収されるためです。

そのため、食前や食間などに服用することが基本です。

よく言われるのは、食事前の30分くらい前に服用するとよいということです。

ただ、飲み忘れてしまった時には、食後でも問題ないかと思います。

私自身よく飲み忘れて食後になってしまうことがありますが、それで何か問題になったことはありません。

漢方薬は病院でも処方が可能

漢方薬は東洋医学に属し、一般的な病院で行われる西洋医学とは異なる学問と考えられています。

そのため、病院と漢方は関係がないと考えている方も多くいますが、実は病院でも漢方薬の処方は可能です。

処方には制限がある

ただし、注意点としては、全ての漢方が処方可能なわけではなく、処方できる漢方は限られています。

また、処方の際には、漢方は2種類までという制限があります。

そして、当たり前ですが、医者が必要と判断した時にしか処方はしてもらえません。

例えば、風邪になった時のために、葛根湯をくださいというのはNGということです。

(実際に風邪の引き初めであれば、処方されるかもしれません)

このような制約はありますが、病院で処方してもらえると保険が使え、安く漢方を使うことができます。

そのため、漢方を必要とされている方は、かかりつけの医師とご相談されることをおすすめします。

「証」の考え方

漢方薬を使う際には、「証」という考えを理解する必要があります。

というのは、漢方薬は基本的にその人の特徴を表す「証」をベースに選ばれるためです。

「証」には、「虚証」と「実証」の2つが存在します。

虚証の特徴

虚証の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 体力があまりない
  • 痩せている
  • 顔色が悪い
  • 肌が荒れている
  • 声が小さい
  • 胃腸が弱い
  • 寒がり

これらによく当てはまる人は、「虚証」という特徴を持つことになります。

実証の特徴

逆に、虚証の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 体力がある
  • 筋肉質で体格が良い
  • 血色がよい
  • 肌にツヤがある
  • 声が大きい
  • 胃腸が強い
  • 暑がり

これらによく当てはまる人は、「実証」という特徴を持つことになります。

「証」により、使う漢方薬が異なる

この「虚証」と「実証」は、どちらがいいとかそういうものではありません。

漢方薬には「虚証」に効くものと「実証」に効くものがあるため、あくまでも漢方薬の選択を行う際の判断材料という位置づけです。

実際には、虚証と実証どちらにも使われたり、虚証だけど実証向けの漢方が処方されたりということもあるようですが、判断のベースとなるのは「虚証」か「実証」かという体質の違いになります。

「気・血・水」の考え方

漢方には、「証」に加え、「気・血・水」という考え方もあります。

ただし、実際のところ、個人的にはこの「気・血・水」に従って漢方が処方された記憶がほとんどありません。

やはり判断のメインとなるのは「証」であり、「気・血・水」はあくまで参考程度という見方をすることが多いようです。

ご参考までに、「気・血・水」のそれぞれの特徴を簡単にご紹介します。

「気」とは

目に見えない生命エネルギーのことです。

「気功」の「気」と言えばわかりやすいでしょうか。

もしくは「気合」の「気」とも言えるかもしれません。

いずれにせよ、生命エネルギーの源が気になります。

ですので、この「気」に不調があると、疲労感や食欲不振などが起こることがあります。

「血」とは

「血液」の「血」です。

全身を巡って栄養素を届ける役目をしています。

ですので、「血」に不調をきたすと、貧血になったり、顔色が悪くなったりします。

「水」とは

体内には多くの水分があります。

これらの水分のうち、血液以外が「水」に当たります。

この「水」に不調をきたすと、「水毒」といってめまいや頭痛などが現れます。

葛根湯の適応証

葛根湯の適応は以下になります。

  • 「証」:中間証~実証
  • 「気・血・水」:寒証(悪寒)

つまり、どちらかというと体力がある人向けの漢方薬になります。

葛根湯はあまり証にこだわらずに使われているケースを多々見ますが、本来の証としては、実証の方の方がより体質的にはあっている漢方薬です。

葛根湯に含まれる「生薬」

漢方薬はいくつかの「生薬」の組み合わせでできています。

葛根湯に含まれる生薬は以下になります。

  • 葛根(カッコン):発汗・発散を促す
  • 麻黄(マオウ):咳や喘鳴を抑える
  • 芍薬(シャクヤク):痛みを抑える
  • 桂皮(ケイヒ):熱や痛みを発散させる
  • 甘草(カンゾウ):炎症や痛みを緩和する
  • 生姜(ショウキョウ):体をあたためる
  • 大棗(タイソウ):体を温め、緊張を緩和させる

様々な生薬が含まれていますが、全体的に熱や痛みを抑え、体を温め、発汗を促すという風邪に対する効用の高い生薬が多くなっています。

これらの生薬の組み合わせにより、葛根湯は効果を発揮することになります。

葛根湯の効果

お薬110番には効果は以下のように記載されています。

発汗作用があり、体の熱や腫れ、あるいは痛みを発散して治します。病気の初期で、比較的体力のある人に向いています。

具体的には、カゼのひき始めでゾクゾク寒気がするとき、また、頭痛や肩こり、筋肉痛、じん麻疹などにも適応します。

具体的な症状として、風邪の引き初めに用いられる漢方薬となっています。

「風邪には葛根湯」というように、葛根湯は風邪全般に用いられる印象がありますが、実際は風邪の引き初めに使うのが正しい使い方です。

ですので、完全に風邪を引いてしまった後や、だらだらと長引く風邪にはあまり葛根湯は向きません。

この辺りは注意して使う必要があるかと思います。

葛根湯の副作用

基本的に漢方薬には副作用はないため、使うにあたってはほとんど心配しなくてもよいかと思います。

私自身漢方薬で副作用を感じたことはありません。

ただ、全く副作用がないかというとそうでもなく、まれに副作用が現れることもあるようです。

以下はお薬110番からの引用です。

漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、胃の不快感や食欲不振、吐き気などを催します。また、動悸や不眠、発汗過多などもまれにみられます。つらいときは、早めに受診してください。

重い副作用はまずありませんが、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。

そのほか、肝障害が報告されているようです。万一のことですが、ひどい倦怠感、強い吐き気、発熱、皮膚や白目が黄色くなる、といった症状に気をつけてください。

少しは副作用はあると記載されています。

過度に気にする必要はないかと思いますが、もし不具合がある場合には医者や薬剤師と相談しましょう。

葛根湯を使ってみた体感

風邪の引き初めに葛根湯を使う

既に述べたように、葛根湯は風邪の引き初めに使う漢方薬です。

そのため、私が使った目的も、どうも風邪っぽいなという時に、風邪が悪化するのを防ぐ為に使いました。

どの症状が風邪の引き初めなのかを見分けるのはなかなか難しいものがありますが、季節の変わり目であったり、周りに風邪を引いている人がいたりといった場合には、特に注意しています。

ただ風邪の引き初めかな?と感じてから薬局に行って葛根湯を買ったり、もしくは医者に行って葛根湯を処方してもらったりしていては対応が遅くなってしまうことがあるため、常に一定の量の葛根湯は備蓄しておくようにしています。

葛根湯を使ったことによる効果

時間軸の違い

葛根湯の効果を測るのはとても難しいです。

というのは、そもそも漢方薬というものは、使っていくうちに徐々に効果が発揮されていくことが多いです。

一方で、風邪の引き初めに葛根湯を使うというのは、すぐに効果が出ないと意味がないため、かなり即効性を求められることになります。

まず、この時間軸の矛盾というのが葛根湯には存在します。

葛根湯で風邪を引かないということはない

そして、実際に葛根湯を使ったことで風邪を引かなくなったか(風邪が本格的になる前に収まるようになったか)というと、必ずしもそうではありません。

葛根湯を使ってからも、その後本格的な風邪を引くこともありますし、一方でそのまま症状が治まってくれることもあります。

つまり、風邪を本格的に引いてしまった時にはおそらく葛根湯が効果を十分に発揮しなかったのではないかと思いますし、風邪を引かずにすんだ場合も、葛根湯のおかげか、それともそもそも元から一時的な症状だったのか、切り分けることが難しいのです。

ですので、葛根湯を使ったことによって風邪を防ぐことができたと断言することはできません。

本格的な風邪の頻度は低下した

ただし、程度の問題ではありますが、葛根湯を使うようになってからとそれまでとを比較すると、葛根湯を使った方が本格的な風邪になる頻度は減ったように感じます。

あくまでも感覚によるものですが、葛根湯には風邪に対抗する生薬がたくさん含まれているため、少なくとも使うことでマイナスになることはなく、せいぜい効果なしか、効果ありのどちらかになると思います。

そういった意味でおそらく何らかの効果はあったのではないかとは思いますが、明確に効果を感じられたわけではないというのが葛根湯を使ってみた感想です。

まあ漢方薬に、風邪のようなスピードが求められる病気に効果を求めるというのはなかなか難しいものがあるのではないでしょか。

同様のことは、長引く風邪によく使われる柴胡桂枝湯にも言えます。

ちなみに、はっきりとした効果は実感できないものの、現在でも風邪の引き初めには葛根湯を使っています。

もちろんどの程度効いているのかはわからないのですが、少なくともマイナスにはならず、ある程度は効いていてくれているのではないかと考えているからです。

証にこだわりすぎる必要はない

既に述べたように、葛根湯の適応症は「実証」です。

なので、基本的には体力のある人向けの漢方薬となります。

しかしながら、では実証以外に使ってはいけないかというとそういうわけではありません。

以前この点が気になって、医者に聞いてみたのですが、

「証はもちろん重要な要素の1つですが、証にこだわりすぎる必要もありません。実際には証に限らずに効いたり効かなかったりすることも多いため、あくまでも目安の1つです」

ということでした。

つまり、参考にはしつつも、必ずしもこだわる必要はないということかと思います。

実際に、私の証は「虚証」ですが、葛根湯を使ったことで不具合が起こったことはありません。

葛根湯の特徴まとめ

以上、葛根湯の特徴をまとめると以下のようになります。

  • 風邪の引き初めに使われることが多い
  • 基本的には体力がある人向け(中間証~実証)
  • 効果をはっきりと実感することは難しいが、少なくともマイナスにはならない
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