桂枝加竜骨牡蛎湯は、うつ症状や自律神経失調症などの精神不安によく使われる漢方薬です。
神経の高ぶりを抑えるほか、気力を向上させる効果にも優れた漢方薬です。
ここでは漢方薬の特徴とともに、桂枝加竜骨牡蛎湯の効果や副作用、
漢方薬の特徴
漢方薬は、自然の草木を原料とする「生薬」
西洋の薬のように人工的な作りではなく、
そのため、漢方薬には即効性はあまりありませんが、
今すぐに症状をよくしたいと考える人にはあまり向かないかもしれ
使い始めた当初はあまり効果がわからなかったけれど、
漢方薬の飲み方
漢方薬は基本的に空腹時に服用します。
空腹時の方が生薬がよく吸収されるためです。
そのため、食前や食間などに服用することが基本です。
ただ、飲み忘れてしまった時には、
私自身よく飲み忘れて食後になってしまうことがありますが、
漢方薬は病院でも処方が可能
漢方薬は東洋医学に属し、
そのため、
処方には制限がある
ただし、注意点としては、全ての漢方が処方可能なわけではなく、
また、処方の際には、漢方は2種類までという制限があります。
そして、当たり前ですが、医者が必要と判断した時にしか処方はしてもらえません。
例えば、風邪になった時のために、葛根湯をくださいというのはNGということです。
（実際に風邪の引き初めであれば、処方されるかもしれません）
このような制約はありますが、
そのため、漢方を必要とされている方は、
「証」の考え方
漢方薬を使う際には、「証」
というのは、漢方薬は基本的にその人の特徴を表す「証」をベースに選ばれるためです。
「証」には、「虚証」と「
虚証の特徴
虚証の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 体力があまりない
- 痩せている
- 顔色が悪い
- 肌が荒れている
- 声が小さい
- 胃腸が弱い
- 寒がり
これらによく当てはまる人は、「虚証」
実証の特徴
逆に、虚証の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 体力がある
- 筋肉質で体格が良い
- 血色がよい
- 肌にツヤがある
- 声が大きい
- 胃腸が強い
- 暑がり
これらによく当てはまる人は、「実証」
「証」により、使う漢方薬が異なる
この「虚証」と「実証」は、
漢方薬には「虚証」に効くものと「実証」に効くものがあるため、あくまでも
実際には、虚証と実証どちらにも使われたり、
「気・血・水」の考え方
漢方には、「証」に加え、「気・血・水」
ただし、実際のところ、個人的にはこの「気・血・水」
やはり判断のメインとなるのは「証」であり、「気・血・水」
ご参考までに、「気・血・水」のそれぞれの特徴を簡単にご紹介します。
「気」とは
目に見えない生命エネルギーのことです。
「気功」の「気」と言えばわかりやすいでしょうか。
もしくは「気合」の「気」とも言えるかもしれません。
いずれにせよ、生命エネルギーの源が気になります。
ですので、この「気」に不調があると、
「血」とは
「血液」の「血」です。
全身を巡って栄養素を届ける役目をしています。
ですので、「血」に不調をきたすと、貧血になったり、
「水」とは
体内には多くの水分があります。
これらの水分のうち、血液以外が「水」に当たります。
この「水」に不調をきたすと、「水毒」
桂枝加竜骨牡蛎湯の適応証
桂枝加竜骨牡蛎湯の適応は以下になります。
- 「証」：虚証
- 「気・血・水」：気上衝（のぼせ・イライラ・緊張・不安）
つまり、あまり体力がなく、精神面における不安がある方に使われる漢方薬になります。
桂枝加竜骨牡蛎湯に含まれる「生薬」
漢方薬はいくつかの「生薬」の組み合わせでできています。
桂枝加竜骨牡蛎湯に含まれる生薬は以下になります。
- 桂皮(ケイヒ)：発汗・発散作用
- 竜骨( リュウコツ)：気分を落ち着ける
- 牡蛎(ボレイ)：気分を落ち着ける
- 芍薬(シャクヤク)：痛みをやわらげる
- 生姜(ショウキョウ)：体をあたためる
- 大棗（タイソウ）：体を温め、緊張を緩和させる
- 甘草(カンゾウ)：緊張を緩和させる
全般的に、緊張を緩和させたり、気分を落ち着けるといった神経症状に作用する生薬が多くなっています。
これらの生薬の組み合わせにより、桂枝加竜骨牡蛎湯は効果を発揮することになります。
桂枝加竜骨牡蛎湯の効果
お薬110番には効果は以下のように記載されています。
神経の高ぶりをしずめ、また、気力をつけることで心の状態をよくします。
具体的には、神経症や不眠、夜尿症、また、精神面がかかわる動悸や性的機能の低下などにも用います。
やせて顔色が悪く、心身の繊細な人に向く処方です。
神経症や不眠、また動機や性的機能の低下にも用いられる漢方薬と記載されています。
加えて、虚証の人（やせて顔色が悪く、心身の繊細な人）に向くという記載になっています。
また、名前の由来は以下のように記載されています。
基本処方である桂枝湯に、鎮静作用があるといわれる“竜骨”と“牡蛎”を加えたものです。方剤名の由来もそこにあります。
生薬の中で、“竜骨”と“牡蛎”がキーになっているようです。
桂枝加竜骨牡蛎湯の副作用
基本的に漢方薬には副作用はないため、
私自身漢方薬で副作用を感じたことはありません。
ただ、全く副作用がないかというとそうでもなく、
以下はお薬110番からの引用です。
漢方薬にも少しは副作用があります。
人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。
重い副作用はまずありませんが、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫（むくみ）を生じたり血圧が上がってくることがあります。
「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。
少しは副作用はありますが、
桂枝加竜骨牡蛎湯を使ってみた体感
桂枝加竜骨牡蛎湯を使った理由
私が桂枝加竜骨牡蛎湯を使った理由は2点あります。
１つは睡眠を改善するため、もう１つは精神面での安定を図るためです。
当時はうつ病の治療に抗うつ剤や睡眠薬、抗不安薬などを使っていました。
もちろんこれらの薬には一定の効果はあったと思うのですが、できるだけ自然の力で治していきたいと考えていました。
そして、医者と相談したところ、精神症状に効き、睡眠にも効果がある桂枝加竜骨牡蛎湯が処方されました。
桂枝加竜骨牡蛎湯と似た漢方薬に柴胡加竜骨牡蛎湯というものがあります。
一般的にはうつ病の治療にはこちらの漢方薬が使われることが多いのですが、私自身の証が虚証であったため、桂枝加竜骨牡蛎湯が処方されました（柴胡加竜骨牡蛎湯は基本的に実証向け）
桂枝加竜骨牡蛎湯を使ったことによる効果
桂枝加竜骨牡蛎湯を使ったことによる効果を以下の２つに分けて説明します。
- 睡眠効果
- 精神的な安定
睡眠効果
睡眠への効果に関しては、ある程度効果があったと思います。
漢方薬ですので使うとすぐ眠くなるということはないのですが、どちらかというと桂枝加竜骨牡蛎湯を使ったことにより、睡眠の質がよくなったように思います。
寝つきに対してはさしたる効果は感じませんでしたが、桂枝加竜骨牡蛎湯を使っているうちに、中途覚醒と早朝覚醒の頻度が減ったように思います。
おそらくは、直接的に睡眠に作用したというよりは、神経を静める効果により、睡眠の質が上がったのではないかと思います。
桂枝加竜骨牡蛎湯は比較的効果がマイルドな漢方薬と言われていますが、睡眠に対してはある程度効果があったというのが個人的な実感です。
精神的な安定
精神的な安定については、正直よくわかりませんでした。
時間が経ち、体調が回復していくにつれ、精神面も安定はしていったのですが、それがこの桂枝加竜骨牡蛎湯によるものなのか、自然治癒力によるものなのか、はたまた抗うつ剤や抗不安薬の効果によるものなのかはなかなか識別が難しいところです。
おそらく桂枝加竜骨牡蛎湯のみを使っていたのであれば、効果の識別ができたのかもしれませんが、いかんせん多くの種類の薬を使っていたため、それぞれの効果の切り分けが難しくなってしまいました。
ただ、少なくとも桂枝加竜骨牡蛎湯を使うことで精神不安が増したということはありませんでしたので、マイナスであったということはないと思います。
また、睡眠の質への効果は実感できたことから、ある程度精神的な安定に対しても効果はあったのではと推測しています。
桂枝加竜骨牡蛎湯のまとめ
桂枝加竜骨牡蛎湯は主として精神不安や睡眠障害に使われる漢方薬です。
そのため、うつ病や双極性障害、統合失調症などの神経に関わる病気に比較的使われやすい漢方薬です。
私の場合、睡眠の質を高めるという効果はある程度実感することができました。
精神不安に対しては、はっきりとした効果を感じることはできませんでしたが、少なくともマイナスではなかったと思います。
柴胡加竜骨牡蛎湯とよく似た漢方薬ですが、対象となる証の違いには注意が必要です。
基本的に柴胡加竜骨牡蛎湯は実証向け、桂枝加竜骨牡蛎湯は虚証向けですので、この辺りの違いは押さえておきたいところです。
なお、医者に聞いたところ、柴胡加竜骨牡蛎湯と桂枝加竜骨牡蛎湯は必ずしも証で使い分けされるわけではなく、効果の強さで使い分けがされることが多いようです。
具体的には、柴胡加竜骨牡蛎湯の方が効果が強く、桂枝加竜骨牡蛎湯の方がマイルドなため、この強さを勘案して処方を決めることが多いようです。
ですので、虚証だから桂枝加竜骨牡蛎湯と決められているわけではなく、虚証でも必要な時は柴胡加竜骨牡蛎湯も処方されることがままあるということです。
ご参考まで。