ルジオミールの効果と副作用。かつては主力であった抗うつ剤

澄んだ海

ルジオミールは四環系というカテゴリーに属する抗うつ剤です。

四環系抗うつ剤は、歴史的には三環系に次ぐカテゴリーの抗うつ剤で、古くから使われているタイプになります。

ルジオミールはこの四環系の中で代表的な抗うつ剤となります。

ここではこのルジオミールの効果・副作用と特徴をご紹介します。

ルジオミールの概要

ルジオミールは日本では1981年に発売された抗うつ剤です。

その歴史は古く、30年以上使われている抗うつ剤になります。

以下にルジオミールの基本情報をご紹介します。

抗うつ剤としてのカテゴリー

  • 四環系抗うつ剤

四環系は、抗うつ剤としては三環系に次ぐ古いカテゴリーとなります。

今となっては古いタイプのカテゴリーになっており、使われる頻度は低くなっています。

作用時間

  • 半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間):約46時間
  • 血中濃度最高点到達時間:約9時間

薬の効果は服用後約9時間で最大になり、約46時間で血中の濃度が半分になります。

半減期がおおよそ薬が効果を発揮する時間の目安になります。

ただし、抗うつ剤の場合、効果が出るまでに時間差があり、実際の効果の継続時間も必ずしも半減期とは一致しません。

あくまで参考程度に見ておくとよいと思います。

なお、一般的に抗うつ剤は服用してから効果が現れるまでに2週間以上かかるといわれています。

この2週間という期間は、その期間が過ぎたら効果をすぐに実感できるということではなく、2週間過ぎたぐらいから徐々に効果が表れ始めるという意味です。

実際に十分な効果が表れるまでには月単位の時間がかかると言われています。

適応疾患

  • うつ病・うつ状態

ルジオミールの効果

抗うつ剤の効果を考える際には、まずその抗うつ剤がどのカテゴリーに属するかが重要になります。

抗うつ剤の5つのカテゴリー

抗うつ剤には5つのカテゴリーが存在します。それぞれの特徴は以下になります。

  • 三環系:効果は強いが副作用も強い
  • 四環系:三環系に比べ副作用は低減されているが、効果もマイルド
  • SSRI:三環系と同等の強さを持ちながら副作用は低減されている
  • SNRI:SSRIに更に意欲ややる気といった効果が加わる
  • NaSSA:確かな効果がある一方で、副作用にはくせがある

カテゴリーとしては三環系が最も古く、下に行くほど新しいカテゴリーとなります。

ルジオミールは四環系に属し、三環系に次ぐ古いカテゴリーの抗うつ剤となります。

この四環系の抗うつ剤は、三環系に比べると、副作用は低減されているものの、効果もやや弱いという特徴を持ちます。

四環系の中でのルジオミールの強さ

更に四環系の中には、以下のような抗うつ剤が存在します。

一般的に四環系の抗うつ剤の効果は三環系より弱いと言われていますが、このルジオミールに関しては、三環系抗うつ剤と同等の効果を持つ抗うつ剤と言われています(逆に、テトラミドは効果が弱いと言われています)

そのため、四環系の中では代表的な抗うつ剤となっています。

ルジオミールの効果の特徴

抗うつ剤には、セロトニン及びノルアドレナリンを増やす効果がありますが、ルジオミールに関してはノルアドレナリンを増やす効果に優れた抗うつ剤です。

そのため、意欲ややる気といった部分を上げるために使用される抗うつ剤と言えます。

ただし、実際の効き方としては、意欲ややる気が上がって活動的になるというよりは、体調が低位安定するというような、どちらかというと心身を底上げし、マイルドな安定感をもたらすという特徴があります。

ルジオミールの副作用

四環系の副作用の特徴

ルジオミールをはじめとした四環系抗うつ剤は、三環系に比べると効果は劣るものの、副作用も低減されているという特徴があります。

しかし、低減されているとはいってもやはりそれなりの副作用は出現します。

主な副作用としては、抗コリン作用と抗ヒスタミン作用によるもの2つに分類することができます。

抗コリン作用

抗コリン作用の代表的なものとしては、

  • 口渇
  • 便秘
  • 目のかすみ
  • 尿閉
  • 眼圧上昇

が挙げられます。

抗ヒスタミン作用

抗ヒスタミン作用としては、

  • 眠気
  • 体重増加

などがあります。

その他の副作用

また、その他にも

  • 手が震える
  • 立ちくらみ

といった副作用もあります。

全般的な副作用は多い

要するに三環系の抗うつ剤に比べると副作用は低減されていますが、それでもなおかなりの副作用が存在します。

またその強さの程度も個人差はありますがかなり不快なレベルまで感じることがあります。

四環系の抗うつ剤は現在主流のSSRIやSNRIに比べて強い抗うつ作用を持つわけではなく、一方で副作用は多く出現するという難点から、現在では処方される頻度は減ってきています。

なお、抗うつ剤の副作用全般にいえることですが、使用当初は大きく副作用を感じますが、時間とともに副作用は軽減されてくることが多いです。

四環系の中でのルジオミールの副作用の特徴

上記のように副作用は大きく分けると抗コリン作用と抗ヒスタミン作用に分けられますが、ルジオミールに関しては特に抗ヒスタミン作用が強いという特徴があります。

そのため、眠気や食欲を増すことによる体重増加といった副作用が出現しやすいです。

ただし、この眠気や体重増加といった副作用は、うつ病で眠れない、食欲がないといった状態に対してはプラスに働く可能性があるため、必ずしもマイナスの作用とは言えない側面もあります。

むしろこれらの副作用をうまく使うことで、睡眠や食事を改善し、回復のスピードを速めるということも可能なのではないかと思います。

ルジオミールの使われ方

かつては主力の抗うつ剤であった

ルジオミールは現在主流のSSRI、SNRIといったカテゴリーの抗うつ剤が登場するまでは、アモキサンと並んでよく使われる抗うつ剤でした。

特に1990年代は、アモキサンとルジオミールがよく使われる抗うつ剤の2強といっても過言ではありませんでした。

しかしながら、現在となっては、より副作用が少なく、効果も確かな抗うつ剤が多数発売されているため、使われる頻度はかなり減少したようです。

セカンドチョイスとして使われる

一方で、慢性的なうつ病に対しては、現在でもわりと処方されることがあるということをしばしば耳にします。

おそらく最初はSSRI、SNRI、NaSSAといった効果と副作用のバランスの優れた抗うつ剤を使ってみたものの、なかなかうつ病がよくならず、そういった患者さんに対しルジオミールを使ってみるというケースが多いのではないかと思います。

つまり、現在では第一選択薬ではなく、セカンドチョイス、もしくはサードチョイスといった使われ方が多い薬となっています。

選択肢が多いことは大切

今となっては効果と副作用のバランスという観点では使われることの少なくなりましたが、抗うつ剤という薬は効く・効かないの個人差が激しいため、多くの選択肢を確保しておくということは重要なことだと思います。

そういう意味で、今後もルジオミールのような古いタイプの抗うつ剤が使われる機会は少ないかもしれませんが、少しでもこの薬で回復することのできる方がいるのであれば、それだけでも存在意義はあるのではないかと思います。

ルジオミールの特徴まとめ

以上、ルジオミールの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 四環系の抗うつ剤に属し、確かな効果を持つ一方、三環系抗うつ剤よりは副作用は少ない
  • 主にノルアドレナリンに働きかける効果に優れ、意欲ややる気という部分を改善させる
  • 副作用は抗ヒスタミン作用が特に多く、眠気や体重増加が起こりやすい
  • SSRIが登場するまでは主力として使われていた
  • 現在は第一選択薬として使われることは少ないが、慢性的なうつ病などに使われることがある
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