休むことも生きること。元アナウンサー丸岡いずみさんの経験から学ぶ「うつフラグ」

透き通った空丸岡いずみさんは元テレビアナウンサーです。

そして仕事上のストレスや震災をきっかけにうつ病を発症し、テレビ局を退職しています。

テレビアナウンサーとしてテレビに出ていた方ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

その後は療養期間を経て、現在は元気に暮らしているようです。

うつ病になってからそれまでの生き方を大きく変え、文字通り人生を大きく変えた経験の持ち主でもあります。

その丸岡いずみさんの著書は、「仕事休んでうつ地獄に行ってきた」が有名です。

この著書では、どのようにうつ病を発症し、その後どのように回復していったのかがリアルに記載されています。

ここでは、この丸岡いずみさんの著書の続編である「休むことも生きること 頑張る人ほど気をつけたい12の「うつフラグ」 」から、気になるフレーズや感想とともに、個人的な所感をお届けしたいと思います。

丸岡いずみさんがうつ病になったきっかけ

私がうつ病になった理由は、「震災取材で心が折れた」のではありません。「震災をきっかけとするハードな取材の日々で、心身ともにストレスがたまり、脳がちゃんと機能しなくなったのです。

ここでのポイントは、「1つの理由でうつ病になったのではない」ということではないかと思います。

私もそうでしたが、うつ病というのは、いくつかのストレスが複合的に作用することで発症することが多いように思います。

そういった意味で、いくつものストレスを抱えている状態は、非常に危険と言えます。

薬の有効性

うつ病は「心の病気」ではなく、「脳の病気」だと言われています。うつ病は脳の中の神経伝達物質の減少によって起こるので、薬がとても有効なのです

本の中に詳細は記載されていますが、丸岡さんは元々薬が嫌いで、どんなに体調が悪くても抗うつ剤を使うことを拒否していたようです。

しかしながら、それではにちもさっちもいかないという状態になり、強制入院となり、そこで初めて抗うつ剤を使い、その有効性を経験したということです。

つまり、薬を拒否していたからこそ、よりいっそうその効果を実感したということになります。

上記にあるように、うつ病というのは心の病気ではなく、脳の病気なのです。

なので、メンタルに不安があるとか、メンタルが弱いと表現するのはとても不適切です。

あくまでも脳の病気としてとらえる必要があると思っています。

うつ病になってわかったこと

うつ病の当事者になってみて、じつはわかっていなかったことがいっぱいあることに気づかされました。

うつ病といっても人によってさまざまな症状があること、薬への間違った思い込みがあること、うつ病への偏見を持っている人が多いことなど

これは本当にその通りですね。

うつ病といったも様々な症状があるということは、当事者以外にはあまり理解されていない点ではないでしょうか。

当事者でも、現れてくる症状が時間と共に変わってくるため、どの症状をもってうつ病といったいいのかわからなくなることもよくあります。

また、最後のうつ病への偏見については非常に由々しき問題です。

私自身もうつ病を抱えながら社会に出てから、様々な偏見にさらされてきました。

  • これまで親しかった人から距離をとられた
  • 仕事を与えられなくなった
  • 仕事のアウトプットが信頼されなくなった
  • 腫れ物に触るように扱われた
  • 評価は常に最低にされた

など、思いつくだけでも嫌になるほどたくさんあります。

少しでもこのような偏見が少なくなるような社会になってほしいと願っています。

うつ病と適応障害の違い

うつ病の場合は、ストレスとなっている環境から離れても、憂うつさは変わらず、長く続きます。

一方で、適応障害と診断されても、5年後には 40%以上の人がうつ病と診断されることがデータでわかっており、適応障害はうつ病の前段階とも言えます

ここに記載のある通りですが、うつ病の場合には、状況によらず辛いという状態が続きます。

一方の適応障害の状態であれば、例えば仕事が終われば楽になるといった、状況により状態が変わります。

これがうつ病と適応障害の違いになります。

また、適応障害の状態が続くと、うつ病になるリスクがあり、この状態からいかに抜け出すかが重要なポイントと言えます。

過覚醒

過覚醒とは、強いストレスを受けた後、緊張状態が解けず、ちょっとしたことに過剰に反応してしまう状態です。

私は光がすごくまぶしく感じられて、ほんの小さな音でもうるさく感じるという状態がずっと続いていました

これもよくある症状の1つのように思います。

私の場合には音に対し非常に敏感になり、耳栓なしでは夜眠れなくなりました。

他にも匂いに敏感になる、といった症状もあるようです。

薬に対する偏見

私は「精神安定剤や抗うつ薬を飲むと、人格が変わってしまうのでは」という間違った考えを持っていて、処方された薬を飲みませんでした。

その結果、うつ病がどんどん悪化していきました

これまさに私もそうでした。

精神安定剤や抗うつ薬というと、どうしても人格そのものが変わってしまい、元の自分には戻れないという間違った考えがあったため、なかなか薬を使えなかったんですよね。

実際の経験者であればわかると思いますが、薬に人格を変えるように作用はありません。

あくまでも回復をサポートするためのものです。

この辺りの理解は、もっと一般的に知られる必要があるのではと思います。

死にたいという気持ち

「死んだほうがラクだ」「もうこれから一生よくならないんだ」「一生この地獄で過ごすんだ」と思うと、死にたくなるのです。

うつ病になると、多かれ少なかれ希死念慮という気持ちに襲われます。

これはまさに上記のような気持で、一言で言うと「死にたくなってしまう」のです。

この気持ちは直接脳から発せられるため、自分ではどうしようもないのです。

そのため、このような気持ちが出てきた時には、ひたすら耐えるか、頓服のような薬で耐えるしかありません。

うつ病の中でも、非常に危険でかつしんどい症状の1つです。

周りには気が付かれない

私も1週間以上眠れず、まともに食事も摂っていない中、限界ギリギリの状態でニュースを読んでいましたが、周りで「丸岡がおかしい」と気づく人はいませんでした。倒れる直前まで、気力で頑張ってしまったのです

これもよくある話です。

本人は極限の状態でなんとか踏ん張っているのですが、内面は人には見えないため、気が付かれないのです。

そしてその極限状態が崩壊したとき、突然会社に行けなくなったり、倒れたりして周りの人がびっくりするのです。

どうしてもうつ病になる人というのはまじめで頑張りすぎる傾向があるため、なかなか周りの人に気づかれないのだと思います。

うつ病を防げた可能性

今思えば、このとき体調不良を上司に相談し、仕事を減らしてもらうといったことができていれば、その後のうつ病の悪化を防げたのではないかと思います。

これとても難しい問題ですね。

確かに後から振り返るとそうなのかもしれませんが、その時はその時で極限状態にあり、冷静な対処ができたかどうかは疑わしいところがあります。

私自身も、もしあの時こうしていれば、あの時こういう出来事がなければ、といったことを何度も考えてしまうことがあります。

タラればをいってもしょうがないのですが、うつ病というのはその後の人生を大きく変えてしまうため、そういったことを考えずにはいられないのですね。

人生観を考えるきっかけに

うつ病は、本当に大切にしなければいけないものはなんなのか、自分の人生観を考え直すきっかけになった貴重な経験となった

うつ病になると、これまで当たり前にできたことができなくなります。

そして、周りのサポートがないと、日常生活もままならなくなります。

そういった意味で、本当に自分に大切なものは何か?今後どういう人生を歩んだらよいか?といったことを考えるきっかけとなります。

ただ、個人的には「貴重な経験」とまでは思えず、未だにうつ病にならない人生の方がよかったと考えてしまいます。

他者の経験から学ぶ

以上、丸岡いずみさんの経験に加え、私の所感をご紹介しました。

この病気になって感じたことの1つは、他者から学ぶことの重要さです。

どうしても自分1人の経験だけだと、今後どうなるのか、未来は本当にあるのだろうか、といった不安があふれてくることがあります。

そんな時に、他の人がどのような経験をし、どのような経緯を経て回復していったのかを知ることは自分を客観的に見るという意味でも重要です。

この本に限らずですが、療養中の方やうつ病を抱えながら生活している方は、是非多くの経験を参考にし、そこからヒントを得ることをおすすめします。

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