障害者控除を会社にバレずに使う方法。戻ってくる金額はかなり大きい

空と雲障害者手帳を持っていると、障害者控除という制度を使うことができます。

障害者控除とは、所得税や住民税などの支払額を緩和する制度です。

この控除となる額は障害の区分や等級により異なりますが、例えば一般的な区分の障害者の場合、年間27万円が控除の対象となります。

しかしながら、しばしばこの障害者控除が受けられないという問題が発生します。

というのは、障害者枠で働いている分には堂々と会社に申請して障害者控除を使えばよいのですが、一般枠で働き、障害を会社に伏せている場合には、会社の年末調整で障害者控除を使うと会社にバレてしまうからです。

要するに、障害がある(障害者手帳を持っている)けれど、会社にはばれたくないという場合があります。

このような場合、障害者控除は使えないかというとそうではなく、会社にバレずに障害者控除を使い、払う税金を減らすことは可能です。

ここでは、どのようにすれば会社にバレずに障害者控除を使うことができるかをご紹介します。

会社にバレずに障害者控除を使い方はぜひ参考にしてみてください。

年末調整で障害者控除を申請すると会社にバレる

まずやってはいけないのは、年末調整で障害者手帳を持っていることを会社に申請し、障害者控除を使うことです。

この方法であれば基本的な手続きは会社がやってくれますので、翌年分の住民税と所得税は障害者控除を勘案した分安くなります。

しかしながら、この方法では100%障害者手帳を持っていることが会社にバレてしまいます(自分で申告しているので当たり前ですね)

ですので、年末調整では障害者控除は使わずに、スルーすることがまず第一になります。

税金の還付申告で税金を取り戻す

ではどのようにすればいいかというと、税金の還付申請という方法を使います。

税金の還付申告とは

サラリーマンであれば、税金というのは基本的に年末調整で会社が対応し、翌年度の所得税や住民税の額が決まります。

また、自営業の場合や年収が2000万円を超えている場合、会社の給料以外に年間20万円以上の利益がある場合には、確定申告が必要になります。

確定申告というのは、毎年2月~3月に前年の売り上げや経費を税務署に申請し、翌年度の税金の額を決めるものです。

まあ本来であればサラリーマンも確定申告を行い、翌年払う税金を決めるのが筋なのですが、日本という国の制度は税金のとりっぱぐれを防ぐため、そして所得や費用の申請の手間を省くため、確定申告の作業を会社に丸投げしているような形になっています。

少し前置きが長くなりましたが、税金の還付申請というのは、上記のどちらの方法も使わずに、より時間が経過した後に、そういえばあの時のあれあれの申請がまだだったという事態に対応するため、既定の期間を過ぎた後に税金の還付を受けられる制度です。

要するに本来であれば年末調整や確定申告で対応するのですが、そこから漏れてしまった、もしくはその時点では申請できることを知らなかったようなものを、年末調整や確定申告後に過去に遡って申告する制度になります。

なぜ税金の還付申告というのか

なぜ税金の還付申告というのかというと、既に税金を払ってしまった後に、この控除を申告すれば本来これだけ税金が安くなるべきであったという額が、直接申請者に還付されるからです。

ポイントは直接申請者に還付されるという点で、このプロセスであれば会社は関与せず、完全に役所(税務署)と申請者の問題になります

つまりここには会社は登場してこないわけです。

ですので、税金の還付制度を使えば、会社にバレずに障害者控除を使うことができます

なお、ここまで読んでわかる通り、税金の還付制度を使えば、障害者控除だけでなく、例えば医療費控除なども会社に知られずに行うことができます。

会社に知られたくない控除枠がある方は、ぜひ知っておきたい制度になります。

税金の還付申告は時期を間違えると会社にバレる

さて、既に説明したように税金の還付申告で控除を使えますが、申告を行う時期を間違えると会社にバレてしまいます

つまり、還付申告をすればそれでいいというわけではなく、適切な時期に申告を行う必要があります

このは非常に重要な点ですので、しっかり理解しておいてください。

還付申告をするべき時期

言葉で説明すると、還付申告をするべき時期は、所得の対象となる年の翌々年の6月以降となります。

ただこれだけだとわかりにくいので、具体例で説明します。

例えば2017年分の障害者控除を使うことを考えます。

この場合、2017年の年末調整は行わず、翌2018年2月~3月の確定申告も行わず、2019年の6月以降に税金の還付申告をすればよいことになります。

つまり、2017年分の控除枠は、2019年6月以降にすればよいということになります。

ただし、還付申告は期限が過去5年間ですので、あまりに放置しすぎると申告できなくなりますので注意が必要です。

なぜ翌々年の6月以降なのか

なぜ還付申告を翌々年の6月まで待つ必要があるのかを説明します。

まず、2017年分であれば、年末調整や確定申告を受け、2018年度の税の額が決まり、2018年度を通じてその額が税金として支払われます。

例えばもし2018年の途中で還付申告をすると、まだ税の対象となる期間が過ぎていないため、直接本人に還付されるのではなく、支払う税金を調整することになります。

つまり、この税金を調整する過程において、会社に通知が行き、障害者控除を使ったことがばれてしまうのです。

ならば、2018年度が終わった2019年の4月でもいいのではないか思われますが、実はそうではないのです。

支払う税金の額は、翌年の6月から新たに更新されます。

つまり、6月より前に還付申告をしてしまうと、翌年分の支払う税金に調整がはいり、直接本人に還付されなくなってしまいます。

そして、調整が入る過程で、会社に通知が行ってしまいます。

このような事態を避けるために、還付申告は翌々年の6月以降に行う必要があります

毎年税金の還付申告を行う

障害者手帳を持っている限りにおいては、毎年障害者控除の対象となります。

ですので、例えば2017年分の還付申告を2019年6月に行ったら、それ以降は2018年分を2020年6月以降に行う、2019年分を2021年6月以降に行う、・・・・・

というように、毎年6月以降に2年前分の申告を行えばよいことになります。

なお既に少し触れましたが、還付申告は過去5年間遡れますので、例えば3年や4年過ぎた後に、それまでの分を一気に還付申告するということもできます。

ただ個人的にはそこまでひっぱってしまうと記憶の片隅から消えてしまう可能性があるため、「毎年6月以降に2年前分の還付申告をする」でよいのではないかと思っています。

還付申告の手続き方法

還付申告の手続きはいたって簡単です。

まず持ち物は、

  • 対象年の源泉徴収
  • 障害者手帳
  • 振込先の銀行の口座がわかるもの(通帳など)
  • 印鑑

です。

これをもって管轄の税務署へ行きます。

そして、係の方に

「○○年の障害者控除の還付申請がしたい」

と告げれば、パソコンで入力の仕方を教えてくれます。

教わるがままに入力すれば、申告は終わりです。

パソコンの画面上で、還付される金額の暫定値が確認できます。

作業は異常で完了です。

その後、税務署の方で作業が完了すると、障害者控除分の税金が指定の口座に還付されます。

還付される金額は、事前に自分の自宅に郵送で通知されます。

還付されるまでの期間の目安としては、申告してから概ね1か月から2か月程度です(所管の税務署や時期の混み具合により変動する可能性はあります)

なお、源泉徴収は税務署に提出すると戻ってきませんので、必要な方はコピーを事前にとっておくことをお勧めします。

障害者控除の還付申告によって還付される金額

障害者控除を使うことで、実際にどの程度の金額が還付されるのか?というのはとても気になる点です。

ただここで難しいのは、障害者の区分によって控除が額が異なり、また所得によって税率もことなるため、一概には言えない点です。

ですので、ここでは割と一般的な例を使って障害者控除により還付される金額がどの程度のものかを紹介します。

障害の種別による控除枠の違い

障害の種別により、控除額は変わります。

以下は種別による控除額を示しています。

所得税控除

  • 障害者控除:27万円
  • 特別障害者控除:40万円
  • 同居特別障害者控除:75万円

住民税控除

  • 障害者控除:26万円
  • 特別障害者控除:30万円
  • 同居特別障害者控除:53万円

ここで注意したいのは、控除額=還付される金額、ではないということです(勘違いされている方が割と多いようです)

控除額に税率をかけた額が、実際には還付されます

ここでは一番上の障害者控除27万円を例として使います。

所得税率と住民税率の前提

所得税率と住民税率は、所得により大きく異なりますので、個々人で差があります。

一般的には、年収が上がるほど、支払う税金が額が上がっていきます(累進課税制度)。

ただ所得の額別にシミュレーションしているととても大変ですので、ここでは

  • 所得税率15%
  • 住民税率10%

として簡便的に計算します。

還付金額の目安

さて、計算の前提は障害者控除が27万円、所得税率が15%、住民税率が10%です。

これを前提にすると、還付される金額は以下のようになります。

  • 所得税分:27万×15%=約4万円
  • 住民税分:26万×10%=2.6万円
  • 合計:4万+2.6万=約6.6万円

合計で6万円以上が還付される計算になります。

もちろんここでは簡便的に計算しているため、個々人によって差が生じることは必須です。

でも規模感として6万円というのはかなり大きくないでしょうか?

ただでさえ経済的に貧窮しがちな障害者がこの金額をみすみす逃すのはもったいないので、是非障害者控除は活用されることをおすすめします。

ひょっとしたら障害者手帳で経済的に最も大きいのはこの障害者控除ではないか?と思ったりします。

会社にバレずに障害者控除を使う方法まとめ

大分内容が長くなりましたが、最後に会社にバレずに障害者控除を使う方法をまとめます。

  1. 会社の年末調整や確定申告は行わない
  2. 控除の対象となる年の翌々年の6月以降に税の還付申告を行う(2017年分であれば2019年の6月以降)
  3. 申告を行う場所は、住まいの所轄の税務署
  4. 還付申告の際に必要なものは、対象となる年の源泉徴収と障害者手帳、銀行の通帳、印鑑
  5. 申告後実際に税金が還付されるまでの期間は概ね1か月から2か月程度
  6. 所得額にもよるが、比較的大きな額の税金が還付される

こうして書くと、結構複雑なような気もしますが、実際にはそれほど煩雑な作業ではありません。

実際にやってみるとわかりますが、作業自体はとてもあっさりしています。

そして、一度申告をすれば、要領がわかるので2度目以降はもっと楽にできます。

障害者控除を会社にバレずに使い方は、是非試してみてください。

なお、所属する自治体によって手順が異なる可能性もありますので、事前に所轄の役所(の税務課)及び税務署に確認することをお勧めします。

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