ソラナックス(コンスタン)の効果と副作用。即効性は強いが眠くなる抗不安薬

緑と雲と空

ソラナックス(コンスタン)は抗不安薬というカテゴリーに属する薬です。

抗不安薬とは脳の緊張や興奮を抑え、不安を和らげる効果のある薬のことを言います。

ここではソラナックス(コンスタン)の概要と効果・副作用、そして特徴についてご紹介します。

なお、ソラナックスとコンスタンは名前は異なりますが、中身は同じ薬になりますので、以下ではソラナックスに記載を統一します。

ソラナックス(コンスタン)の概要

ソラナックスは日本では1984年に発売された抗不安薬です。

30年以上使われている歴史のある抗不安薬になります。

以下に薬の基本情報をご紹介します。

抗不安薬の系統

  • ベンゾジアゼピン系抗不安薬

ベンゾジアゼピン系抗不安薬というのは、現在主流として使われている抗不安薬の系統となります。

確かな効果と安全性の高さがその特徴の1つとなっています。

脳内の不安や催眠に関わるGABA受容体に作用し、不安を和らげるというのが大まかな作用プロセスになります。

作用時間

  • 半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間):約14時間
  • 血中濃度最高点到達時間:約2時間

薬の効果は服用後約2時間で最大になり、約14時間で血中の濃度が半分になります。

半減期がおおよそ薬が効果を発揮する時間の目安になりますが、実際にはそれよりやや短いという印象を受けます。

ソラナックスに関しては、概ね5~8時間程度効果を感じます。

適応疾患

  • 心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

これら以外にも強迫性障害やパニック障害に用いられることもあります。

ソラナックス(コンスタン)の効果と強さ

ソラナックスをはじめとした抗不安薬は、作用時間の長さと作用の強さという2つの軸で分類されます。

抗不安薬の作用時間の分類

まず、抗不安薬の作用時間の4つの分類を見てみます。

  • 短期作用型:作用時間が概ね6時間以内
  • 中期作用型:作用時間が6時間から12時間程度
  • 長期作用型:作用時間が12時間から24時間程度
  • 超長期作用型:作用時間が24時間以上

大まかなイメージとしては、急に現れる不安や焦燥感への対処は短期から中期作用型の薬が使われることが多いです。

一方で、体を休みやすい状態にしたり、漠然と長く続く不安への対処には長期から超長期作用型の抗不安薬が使われることが多いです。

ソラナックスの場合、中期作用型の抗不安薬になります。

そのため、頓服として急な不安に対処するのに用いられたり、また1日効果を持続させるには、1日に複数回服用する必要があります。

なお、うつ病などにより発生する不安に対処する以外にも、パニック障害や強迫性障害にも使用されることがあります。

ソラナックスの強さ

抗不安薬には主に以下の4つの効果があります。

  • 抗不安作用:不安を和らげる効果
  • 睡眠作用:睡眠を促す効果
  • 筋弛緩作用:筋肉の緊張を和らげる効果
  • 抗けいれん作用:けいれんを抑える効果

ソラナックスの場合、確かな抗不安作用と一般的な睡眠作用を持つ一方、筋弛緩作用と抗けいれん作用は弱いとされています。

抗不安薬の等価換算表(強さを比較する目安)

抗不安薬には等価換算表という、効果の強さを横比較する基準があります。

この換算表は、ジアゼパム(商品名:セルシン、ホリゾン)5mgを基準として、他の抗不安薬の場合何mgに相当するかを記載したものです。

そのため、数字が小さいほど効果が強いという見方になります。

効果時間 商品名 等価換算
短期 セディール 25
グランダキシン 125
リーゼ 10
デパス 1.5
コレミナール 15
中期 ワイパックス 1.2
レキソタン 2.5
ソラナックス・コンスタン 0.8
長期 マイスタン 10
セパゾン 1.5
セルシン・ホリゾン 5
ランドセン・リボトリール 0.25
メレックス 1.67
コントール・バランス 10
セレナール 20
エリスパン 0.5
レスミット 10
メンドン 7.5
超長期 メイラックス 1.67
レスタス 1.67

この等価換算表を見ると、ソラナックスは0.8mgとなっており、他の抗不安薬に比べ効果が強いと読み取れます(セルシン5mgとソラナックス0.8mgが同じ程度の効果という見方になります)

ただし、実際の使用に際しては効果の強さは量で調整できるため、あくまで1つの目安として見ておくとよいと思います。

ソラナックス(コンスタン)の副作用

ソラナックスをはじめとしたベンゾジアゼピン系の抗不安薬には主に以下の4つの副作用があります。

  • 耐性
  • 依存性
  • 眠気
  • ふらつき

「耐性」とは、その薬を使い続けることによりその薬に体が慣れてしまい、同じ効果を得るためにより多くの量を使用しなければならない状態になることをいいます。

「依存性」とはその薬が体内に入ってくることが当たり前になってしまい、その薬なしではいられなくなってしまう状態になってしまうことをいいます。

「眠気」は効果の「睡眠作用」の裏返しですが、抗不安薬というのはそもそもの構造が睡眠薬と類似しているため、多くの薬で眠気を生じます。

「ふらつき」は効果の「筋弛緩作用」の裏返しですが、筋肉のこわばりを和らげる効果がある一方で、それがふらつきにつながり、転倒などが起こりやすくなります。

これら4つの副作用のうち、ソラナックスは耐性や依存性にはやや注意が必要と言われています。

やはりある程度切れの良い薬の場合には、依存性や耐性には注意する必要があります。

一方で、眠気に関しては個人差がありますが、個人的にはそれなりに眠くなる抗不安薬という感想を持っています。

ソラナックスはどの程度使われているのか

ソラナックスはどの程度使われている抗不安薬なのでしょうか。

以前、抗不安薬の使用に関するアンケート調査を行った結果は以下のようになります。

順位 抗不安薬 得票率
1位 デパス 25%
2位 ソラナックス、コンスタン 18%
3位 ワイパックス、ユーパン 14%
4位 レキソタン、セニラン 14%
5位 メイラックス 10%
6位 リボトリール、ランドセン 6%
7位 セルシン、ホリゾン 5%
8位 セパゾン 3%
9位 リーゼ 3%
10位 グランダキシン 1%

(全得票数311)

関連記事:よく使われている抗不安薬ランキング

この結果を見ると、ソラナックスは第2位となっており、非常によく使われている抗不安薬であることがわかります。

さすがに圧倒的な人気を誇るデパスには劣りますが、それに次いでよく使われている抗不安薬です。

確かな抗不安作用を持ち、即効性があり、安全性も比較的高いことから、発売から30年以上経った今でもよく使われているのではないかと思います。

ソラナックスを使った感想

ここでソラナックスを使った感想をいくつかご紹介します。

睡眠薬として使用

抗不安というよりも睡眠導入用に使っています。

0.6mg服用すると翌朝まで残ったような感じがします。

抗不安に対しての効果はあまり実感がありません。

セルシンやワイパックス、レキソタンよりも不眠に対しては効果があります。

ソラナックスは結構眠くなる抗不安薬ですので、このように睡眠薬として使われることもままあるようです。

ワイパックスやレキソタンよりも不眠に対して効果があるという記述は興味深いところです。

個人的な感触では、ワイパックスとソラナックスは特に眠くなりやすい抗不安薬です。

仕事に支障をきたす

ソラナックスを、不安が強いときの頓服として処方されましたが、0.4mgを1錠服むと日中は起きていられません。

不安感はたしかに軽減しますが、頭がぼーっとする感じが強く、仕事であれこれ判断するのに支障が出るのには困りました。

抗不安薬は全般的に眠くなるので要注意ですが、ソラナックスはその中でも眠気が多い薬です。

そのため、仕事をしている時には注意が必要です。

不必要に眠いと、眠気をこらえることがストレスにもなりますので、この辺りは薬をうまく調整する必要があります。

減らすと効いているのがわかる

不安と焦燥感が強いときは、効いているのか効いていないのかわからないような感じですが、減らしてみたらやはり効いているのだということがわかります。

また、服み忘れると、めまいがしたり不安感が出たりしました。

これ、抗不安薬に限らず、抗うつ剤でもよくあるんですよね。

使っているときは効いているかどうかよくわからないのですが、減らしたり止めたりすると影響が出て、効いていたことがわかるということはままあります。

このような時は、そのまま様子を見るか、元に戻すかですが、影響が大きいようであればすぐに戻してしまった方が生活の質は保てることが多いように思います。

効かない

当初は日に3錠でも効かず、たびたび頓用で服んでいました。

しかし結局、私にはあまり効きませんでした。

ひどいときは、まったく用をなさない感じです。

ソラナックスは比較的効果の強い薬ですが、このように効かないケースもあるようです。

抗うつ剤に比べると抗不安薬は個人差が少ないように感じますが、それでも人によって効いたり効かなかったりすることはあるようです。

この辺りは精神科の薬の難しさですね。

一般的には、忍容性の高さ(薬に対する反応性)が薬の効き具合と関係していると考えられています。

参考文献:精神科のくすりを語ろう

ソラナックス(コンスタン)の特徴

ソラナックスの歴史

ソラナックスは日本では3番目に発売されたベンゾジアゼピン系の抗不安薬です。

発売された当初はそれまでの主流であったセルシンにとって代わり、多くの処方がなされた歴史があります。

発売されてからだいぶ経ちますが、確かな効果がある反面、それほど副作用が多くないというバランスのよさから、上記のように現在でもよく処方されています。

眠気の副作用

また、抗不安薬にしてはめずらしく、若干の抗うつ作用も持ち合わせているという特徴もあります。

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬の中では比較的睡眠効果は弱いとされていますが、人によってはとても眠くなることもあり、この辺りは個人差があるようです。

ちなみに私の場合にもソラナックスを使うと必ず眠くなります(元々薬に対する忍容性が高くないので、大抵の抗不安薬で眠くなります)

依存性や離脱症状には注意

ソラナックスの注意点としては依存性や離脱症状でしょうか。

元々作用時間が短く、効果の強い薬は依存性や離脱症状が起こりやすいと言われています。

ソラナックスの場合には、作用時間は中間程度で効果もそこまで強いわけでないにも関わらず離脱症状が起こりやすいのはちょっと不思議な感じがします。

もちろん離脱症状の起こりやすさは薬を使用している期間や使用量、個々人の体質にもよると思いますので一概には言えません。

個人的には徐々に容量を減らしていくなりちゃんとした止め方をすれば、それほど問題にはならないのではないかという感想を持っています。

以上、ソラナックスの特徴をまとめると、

  • 標準的な強さで作用時間も中時間程度というバランスのよい抗不安薬
  • 確かな抗不安作用を持つ一方で副作用はそれほど多くない
  • ただし、離脱症状には注意が必要

となります。

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