トリプタノールは効果・副作用とも最強の抗うつ剤

癒しの空

トリプタノールは三環系というカテゴリーに属する抗うつ剤です。

三環系とは、化学構造中に環状構造が3つあることから由来している名前で、抗うつ剤のカテゴリーとしては最古のものになります。

トリプタノールは数ある抗うつ剤の中でも最強との呼び声の高い抗うつ剤です。

ここではこのトリプタノールの効果・副作用と特徴をご紹介します。

トリプタノールの概要

トリプタノールは日本では1961年に発売された抗うつ剤です。

三環系のカテゴリーの中でも第一世代と呼ばれる古い世代の抗うつ剤で、かなりの歴史があります。

発売から実に50年以上経っていますが、他には見られない非常に強い効果があるため、未だに処方されるケースもあるようです。

以下にトリプタノールの基本情報をご紹介します。

抗うつ剤としてのカテゴリー

  • 三環系抗うつ剤

三環系は、抗うつ剤としては最古のカテゴリーとなります。

まさに抗うつ剤はこの三環系からスタートしています。

現在では処方されるケースが少ないようですが、かつてはうつ病治療の主力として活躍していたカテゴリーになります。

作用時間

  • 半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間):約31時間
  • 血中濃度最高点到達時間:約4時間

薬の効果は服用後約4時間で最大になり、約31時間で血中の濃度が半分になります。

半減期がおおよそ薬が効果を発揮する時間の目安になります。

ただし、抗うつ剤の場合、効果が出るまでに時間差があり、実際の効果の継続時間も必ずしも半減期とは一致しません。

あくまで参考程度に見ておくとよいと思います。

効果が出るまで2週間以上必要

なお、一般的に抗うつ剤は服用してから効果が現れるまでに2週間以上かかるといわれています。

この2週間という期間は、その期間が過ぎたら効果をすぐに実感できるということではなく、2週間過ぎたぐらいから徐々に効果が表れ始めるという意味です。

実際に十分な効果が表れるまでには月単位の時間がかかると言われています。

適応疾患

  • うつ病・うつ状態
  • 夜尿症

基本的にはうつ病に使われる薬ですが、夜尿症(いわゆるおねしょ)にも適応のある薬です。

なお、適応外ではありますが、応用として疼痛治療にも使用されることがあります。

トリプタノールの効果

抗うつ剤の効果を考える際には、まずその抗うつ剤がどのカテゴリーに属するかが重要になります。

抗うつ剤の5つのカテゴリー

抗うつ剤には5つのカテゴリーが存在します。それぞれの特徴は以下になります。

  • 三環系:効果は強いが副作用も強い
  • 四環系:三環系に比べ副作用は低減されているが、効果もマイルド
  • SSRI:三環系と同等の強さを持ちながら副作用は低減されている
  • SNRI:SSRIに更に意欲ややる気といった効果が加わる
  • NaSSA:確かな効果がある一方で、副作用にはくせがある

カテゴリーとしては三環系が最も古く、下に行くほど新しいカテゴリーとなります。

トリプタノールは三環系に属し、古いカテゴリーの抗うつ剤となります。

効果は強いものの、副作用も強いという特徴を持つことになります。

三環系の中でのトリプタノールの強さ

更に三環系の中には、以下のような抗うつ剤が存在します。

第一世代と第二世代

三環系の抗うつ剤は、更に第一世代と第二世代の2つの分けることができます。

第二世代の抗うつ剤は、効果は第一世代と同等で副作用が低減しているという特徴があります。

トリプタノールは三環系の中で第一世代に属し、確かな効果を持つ一方、副作用も多いという特徴があります。

効果の強さという点では、三環系の中でも最強の強さを持つ抗うつ剤と言われています。

三環系で最強ということは、つまりSSRIやSNRIなども含めた全抗うつ剤の中でも最強ということになります。

トリプタノールの効果の特徴

三環系の抗うつ剤には、セロトニンとノルアドレナリンの両方を増やすという効果があります。

トリプタノールに関してはセロトニンを増やす効果とアドレナリンを増やす効果がほぼ同等です。

つまり、不安を和らげたり、心を落ち着かせたりして休みやすい状態にする効果と、意欲ややる気を上げる効果をバランスよく持つ抗うつ剤となっています。

この両者の強く作用する、というのがトリプタノールの特徴になります。

トリプタノールの副作用

三環系の副作用の特徴

トリプタノールをはじめとした三環系抗うつ剤は、効果が強い反面、副作用も強いという難点があります。

三環系は古いタイプの抗うつ剤なので、セロトニンとノルアドレナリンのみならず様々な受容体に作用してしまうため、多くの副作用が存在します。

主な副作用としては、抗コリン作用と抗ヒスタミン作用によるもの2つに分類することができます。

抗コリン作用

抗コリン作用の代表的なものとしては、

  • 口渇
  • 便秘
  • 目のかすみ
  • 尿閉
  • 眼圧上昇

抗ヒスタミン作用

抗ヒスタミン作用としては、

  • 眠気
  • 体重増加

などがあります。

その他の作用

また、その他にも

  • 手が震える
  • 立ちくらみ

といった副作用もあります。

三環系抗うつ剤の副作用はとにかく強い

要するに三環系の抗うつ剤には多くの副作用が存在し、またその強さの程度も個人差はありますがかなり不快なレベルまで感じることがあります。

そのため、副作用に耐えられずに脱落してしまう人も多くいます。

三環系の抗うつ剤は現在主流のSSRIやSNRIに比べても強い抗うつ作用を持つ薬が多いのですが、このような副作用が多いという難点から現在では処方される頻度が減ってきています。

なお、抗うつ剤の副作用全般にいえることですが、使用当初は大きく副作用を感じますが、時間とともに副作用は軽減されてくることが多いです。

それでもなお多くの副作用が残るというのが三環系の抗うつ剤の特徴です。

三環系の中でのトリプタノールの副作用の特徴

トリプタノールは三環系の中でも第一世代に属するため、三環系の中でも副作用は多いです。

多いどころか、効果と同様に副作用に関しても最強と言われています。

上記に挙げたような副作用はかなりの確率で起こると考えた方がよいです。

特にトリプタノールの場合には、抗ヒスタミン作用が強く、眠気や鎮静が多く出るという特徴があります。

そのため、トリプタノールを服用後はしばらく何もすることができなかったというのはよく聞く話です。

トリプタノールの効果の強さは確かなのですが、副作用も強烈に出現するため、使用する際には多くの副作用が現れるという覚悟で使う必要があります。

トリプタノールが最強と呼ばれる所以

トリプタノールは抗うつ剤の中での最強との呼び声の高い抗うつ剤です。

最強の抗うつ剤と聞くと、服用すると元気になる印象を持たれてしまいそうですが、実際には逆の作用を持ちます。

トリプタノールの作用プロセス

トリプタノールを使うと、まずは強烈な鎮静作用が働き、一旦状態がドンと落ち、ぐったり体が重くなります。

そしてこの活動レベルが底辺までに下がった状態が一定期間続きます。

しばらくすると、エネルギーの回復と共に、自然と活動性が増してくる、というのがトリプタノールの特徴となります。

つまりこのプロセス、まさにうつ病からの回復プロセスそのものになります。

このような特徴があるため、働きながら使うということは難しい反面、時間をかけてしっかり治すという場合にはとても適したプロファイルを持つ抗うつ剤であると言えます(副作用に耐えられればですが・・・)

現在では副作用の重さ故に処方が減っている

トリプタノールの素晴らしい効果にも関わらず、現在ではあまり使われていないのは、ひとえにその副作用の重さにあるといえます。

今となっては一番最初の抗うつ剤として使用されることは稀です。

SSRIやSNRIなどのより副作用の少ない薬をいくつか試してもダメな場合、最終手段としてこのトリプタノールが使われる、というケースが多いようです。

そして驚くことに、他のどの抗うつ剤でもダメだったにもかかわらず、トリプタノールのおかげでよくなったというケースもままあるようです(さすが最強と呼ばれるだけあります)

このトリプタノールの効果をそのままにして、副作用の少ない抗うつ剤ができればとても素晴らしいと思うのですが、残念ながら現時点ではそのような素晴らしい薬はまだ登場していません。

抗うつ剤の進化というのは、どうもこの効果と副作用のバランスをどうするか、という点でせめぎあっているように思えます。

トリプタノールの特徴のまとめ

以上、トリプタノールの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 三環系の抗うつ剤に属し、効果が強いものの、副作用も強い
  • 効果、副作用共に最強との呼び声が高い
  • 副作用の中では特に抗ヒスタミン作用が強く、眠気やだるさなどの鎮静作用が強く働く
  • 服用後に一旦ドスンと状態が落ちるが、その後時間と共に徐々に状態が上がってくる
  • セロトニンとノルアドレナリンにバランスよく作用する
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらも読まれています
こちらも読まれています