ドグマチール(スルピリド)は、非定型抗精神病薬と呼ばれる薬の一つで、統合失調症、
抗うつ剤というカテゴリーで説明される場合もあるようですが、従来の抗うつ剤とは作用経路が異なるため、非定型抗精神病薬とカテゴリーされることが多いようです。
ここではこのドグマチールの効果と、実際に使ってみた体感をご紹介します。
なお、ドグマチールとスルピリドは名前は違いますが、中身は同じ薬のため、以下では表記をドグマチールに統一します。
ドグマチール(スルピリド)の効果・副作用
ドグマチールは非定型抗精神病薬というカテゴリーに属し、様々な疾患に用いられる用途の広い薬です。
具体的には統合失調症、
ドグマチールの効果
お薬110番には、ドグマチールの効果は以下のように記載されています。
【作用-1】
胃の粘膜の血流をよくして、胃潰瘍の治りを助けます。また、胃腸の動きを活発にして、吐き気やもたれの症状をよくします。胃腸症状に対しては、比較的少量を用います。【作用-2】
気分が晴れず落ち込んだり、悲観的になったり、眠れない・・そんなこじれた心の症状「うつ」を治します。脳の活動をよくして、気持ちが前向きになるのを助けます。脳内の神経伝達物質ノルアドレナリンの放出を促進する作用があるといわれます。この場合、やや多めの量を用います。【作用-3】
心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達系に不調を生じる病気です。現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなります。幻聴や幻覚、妄想を生じることもあります。このお薬を多めに用いると、そのような脳内の混乱を改善する作用がでてきます。おもに、ドーパミンという神経伝達物質をおさえる作用によります。とくに陽性症状(妄想、幻覚、幻聴、混乱、興奮)によい効果が期待できます。
いろいろと書かれていますが、かみ砕いてわかりやすく説明します。
まず、ドグマチールという薬は、「胃腸薬」「うつ病」「統合失調症」の3つの疾患に対し使われることがあります。
胃腸薬としてのドグマチール
ドグマチールは元々胃腸薬として使われていた薬です。
上記の【作用-1】が胃腸薬としての効果の記載となっています。
この場合、胃の粘膜の血流をよくして、胃潰瘍の治りを助け、また、胃腸の動きを活発にして、吐き気やもたれの症状をよくするというのが主な効果になります。
うつ病治療薬としてのドグマチール
ドグマチールは元々胃腸薬ですが、その後抗うつ効果も併せ持つことがわかり、うつ病にも使用されるようになりました。
上記の【作用-2】がうつ病治療薬としての効果の記載になります。
具体的には、意欲ややる気に関わる脳内のノルアドレナリンという神経伝達物質の放出を促進する作用により、うつ病の症状を改善させます。
統合失調症治療薬としてのドグマチール
上記の【作用-3】が統合失調症治療薬としてのドグマチールの記載になります。
具体的には、ドグマチールという薬は、多くの量を使用すると脳内のドーパミンという神経伝達物質をおさえる作用があります。
この作用により、特に統合失調症による陽性症状(妄想、幻覚、幻聴、混乱、興奮)の改善に効果が期待できます。
なお、統合失調症の症状は主に陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)と陽性症状(妄想、幻覚、幻聴、混乱、興奮)の2つがありますが、ドグマチールは特に陽性症状に対し有効な薬とされています。
症状により使用量が異なる
上記のように、ドグマチールは胃腸の症状とうつ病、統合失調症に使用されることがありますが、使用量によりそれぞれの症状への使い分けを行います。
具体的には胃腸の症状へは少量を使用し、うつ病の場合には中程度の量、統合失調症の場合には多めの量を使用します。
そのため、自己判断で使用量を変えてしまうと、薬の効果が変わってしまうため、必ず医師の指示通りの量を使用するようにしましょう。
ドグマチールの副作用
ドグマチールの副作用はお薬110番には以下のように記載されています。
比較的多いのは、生理不順と乳汁分泌です。女性によっては生理が止まってしまうことがあります。
これは、プロラクチンというホルモンが過剰になるためです。
まれに、男性の乳房が大きくなることもあります。
これらは危険な副作用ではなく、薬をやめれば治りますが、回復まで少し時間がかかることがあります。気になるときは早めに受信てしください。
指が震えたり腕がこわばるなどパーキンソン病のような症状があらわれることもあります。
高齢の人では、表情が乏しくなり、認知症やうつと間違えられることがあるようです。さらに多めの量を長く飲んでいると、口周辺の異常運動や舌のふるえが続く「遅発性ジスキネジア」を起こすことも知られています。
これは治りにくいことがあります。長期大量服用時、とくに女性や高齢の人は注意が必要です。
いろいろと記載がありますが、副作用は大きく分けると、プロラクチンの過剰によるものと、パーキンソン症状の2つに分けることができます。
プロラクチンの過剰による副作用
プロラクチンというのはホルモンの一種ですが、ドグマチールにはこのプロラクチンを増やしてしまうという副作用があります。
その結果として、上記にもあるように生理不順や乳汁分泌といった副作用が起こることがあります。
乳汁分泌に関しては女性のみならず、男性でも起こる場合があります。
パーキンソン症状
パーキンソン症状はドグマチールのみに関わらず、抗精神病薬全般で起こりうる副作用です。
具体的には上記のように指が震えたり腕がこわばるなど症状や、口周辺の異常運動や舌のふるえといった症状が起こる場合があります。
なお、ドグマチールの使用による副作用は少量であればそれほど問題にならないことが多いでうすが、使用量が増えるほどより注意が必要になってきます。
ドグマチール(スルピリド)を使ってみた体感
私の場合、うつ病を患い、ドグマチールを処方されましたので、以下ではうつ病治療におけるドグマチールを使ってみた経験になります。
効果には即効性がある
従来の抗うつ剤は効果を発揮するまで約2週間程度時間を必要としますが、このドグマチールに関しては割と即効性を感じることが出来ました。
飲んで数時間経つと少し気持ちが楽になり、重い体も少し軽くなるような感じがします。
そのため、具体的な使い方としては朝起きた時に体調の悪い日や、ここだけはちょっと無理してでもなんとか乗り越えたいというときに使っていました。
効果の強さはマイルド
ただし、即効性があるとはいっても効き方としては非常にマイルドなので、この薬だけでうつ病の治療を行うというのは難しいのではと感じます。
あくまで既存の抗うつ剤や抗不安薬に加えて、補助的に使うという使い方がよいのではないかと思います。
また、うつ病とまではいかないものの、体調が優れないときなどに一時的に使う薬としてもよいのではないかと思います。
頓服薬として使える
上記のように、ドグマチールには即効性があります。
そのため、従来の抗うつ剤とは異なり、頓服として使うことができます。
この柔軟に使用できるという点はドグマチールの大きなメリットとして挙げられます。
副作用はわずかな眠気のみ
副作用としては飲むと少し眠気を感じました。
一方で胃腸が改善することにより体重が増えるとよく言われますが、私の場合にはそれほど食欲は上がりませんでした。
ただ、胃腸の状態は少し改善したように思います(下痢の頻度が減ったなど)。
この辺りはさすが元々は胃腸薬として使われているだけのことはあると思います。
その他、乳液の分泌やパーキンソン症状などの副作用は特に現れませんでした。
また、離脱症状に関しても特には起こりませんでした。
ただ、女性の場合には生理不順などの副作用が出現する可能性が高いと言われているため、使用の際には注意が必要だと考えられます。