うつ病からの回復には3つのステップがあると言われています。
最も症状の重い急性期(最悪期)、少しずつ活動ができるようになる回復期、社会復帰に向けて準備する社会復帰準備期の3つです。
ここでは、最もつらい時期である急性期(最悪期)の過ごし方のポイント及び、実際の1日の生活スケジュールについてご紹介します。
うつ病の急性期(最悪期)の過ごし方
うつ病における急性期は発症直後の最もきつい時期になります。
エネルギーが完全に枯渇しているため何もすることができず、また精神的にも不安定なため日々過ごすのがとても辛い時期になります。
この時期における過ごし方のポイントは以下の5つになります。
- 十分な睡眠をとる
- とにかく何もしない
- ストレスを避ける
- 薬を十分に使う
- 食事はとれる範囲でしっかり摂る
それぞれ説明していきます。
1、十分な睡眠をとる
うつ病からの回復において最も重要なのは睡眠です。
十分な睡眠を取ることで、脳内の神経伝達物質のアンバランスが解消されていきます。
そのため、この時期はとにかくよく眠ることが何より大切です。
目安としては1日12時間くらいでしょうか(もちろんそれ以上でも問題ないと思います)
ひたすら眠ることによって、少しずつエネルギーが溜まり、また精神的な不安定さも徐々に和らいできます。
自律神経のバランスが乱れてしまってなかなか十分な睡眠がとれない場合は、十分な薬を使って眠ることをおすすめします。
2、とにかく何もしない
うつ病の急性期は枯渇してしまったエネルギーを溜める時期なので、エネルギーを使うようなことは何もしないことが大切です。
日中変動により朝は何もできないけど、夜になるとある程度活動できるという場合でも、極力活動は控え、とにかくエネルギーを溜めることに集中しましょう。
この何もしないというのは意外と難しく、私の場合も少し体調がいいと何かやろうとしてしまったりしたのですが、そういう活動は結局回復を遅らせることにつながります。
とにかくこの時期はエネルギーを溜めることに専念し、調子がよくても何もしないということに徹しましょう。
3、ストレスを避ける
うつ病の原因の多くはストレスに起因すると言われています。
また、ストレスは交感神経を刺激し、体を休みにくい状態にしてしまうため、うつ病からの回復においては百害あって一利なしです。
特にこの時期は心のバリアーがとても弱く、ちょっとたことでも精神的なダメージを食らってしまうため、とにかく外部からのストレスを減らすように環境を調整しましょう。
例えば、仕事がストレスになっている場合には仕事から離れ、家事や育児がストレスになっている場合はそれらから離れ、とにかく療養に専念することが大切です。
4、十分に薬を使う
うつ病治療において薬を使うかどうかは賛否両論かと思います。
しかしながらこの急性期においては自律神経が暴走しており、自身の自然治癒力が発揮される状態にはないため、とにかく心身を休めるために十分な薬を使うことは必要だと思われます。
実際に眠れなかったり、1日中不安で心休まることがなかったりすると回復どころか更に体調が悪化することにもつながりかねませんので、状態にあった十分な薬を使うことをお勧めします。
5、食事はとれる範囲でしっかり摂る
この時期はなかなか食欲がないかもしれません。
しかしながら、食事はうつ病からの回復において重要な役割を果たします。
当たり前ですが、人間の体は食べたものからできているため、食べないことには体が健康な方へ向かっていってくれません。
無理しすぎる必要はありませんが、多少無理してでも食べられる範囲でしっかり食事をとることをおすすめします。
また、経験上、しっかりと睡眠がとれると、次第に食事もきちんととれるようになってきます。
ポイントのまとめ
以上、5つほどポイントをご紹介しました。
繰り返しになりますが、急性期はなによりこの世のものとは思えないほどとても辛い時期です。
ですので辛さを和らげる薬をしっかりと使い、とにかくよく寝てエネルギーを溜め、意識のある時間を少なくし、ただひたすら回復を待つというのがこの時期の基本的な過ごし方ではないかと思います。
個人差はあると思いますが、急性期の長さは大体1か月~3か月くらいが目安になります。
1日の生活スケジュール
それでは、ここから具体的な急性期における1日の生活スケジュールをご紹介します。
なお、これから紹介する内容は、最初からこのような生活をしていたわけではなく、紆余曲折を経てたどり着いた私が最も回復に寄与したと思える過ごし方になります。
朝の過ごし方
まず朝起きたらカーテンを開けます。
カーテンを開けることで、日光が目に入り、生活リズムを整えることを意識します。
そして朝食をとります。
食欲がなければ無理にとる必要はないのですが、食べられるときにはしっかり食べます。
シリアルと果物などであれば、比較的楽に食べることができます。
朝食後に抗不安薬を飲み、ベットに入り再び寝ます。
昼の過ごし方
昼頃に起き、昼食を食べ、抗不安薬を飲みます。
眠い時は再びベッドに入って寝ますが、眠くないときはしばらくぼーっとして過ごします。
この辺りはケースバイケースですが、回復が進みにつれ、昼食後の睡眠は減ってくることが多いです。
睡眠を取らない場合も、ぼーっとして過ごし、何も活動はしないようにします。
夜の過ごし方
寝ていた場合、夕方頃に起き、ぼーっとして時間を過ごします。
そして夜になったら夕食を食べます。
夕食後はぼーっとしたり、読める時には本を読んだりしてリラックスしながら過ごします。
活動らしい活動をするのは夕食後くらいです。
活動といっても、本を読んだり、音楽を聴いたり、部屋の中でリラックスをしながら行えるものになります。
午後10時半頃に抗うつ剤と抗不安薬と睡眠薬を飲みます。
そして夜11時頃ベッドに入ります。
とにかくエネルギーを使わずに過ごす
以上が、1日のおおよその流れになります。
睡眠時間は1日あたりトータルで12時間から15時間くらいです。
ですので1日の半分以上を寝て過ごしていたことになります。
また、起きている時間もぼーっとしていることが多いので、ほとんど1日エネルギーを使わない状態で過ごしていたことになります。
エネルギーを使うことといえば呼吸をしたり心臓を動かしたりといった生きるために必要最低限の無意識による行動くらいでしょうか。
このようにうつ病の急性期においては、ひたすら休みエネルギーをためることを心がけました。
このような生活を1か月ほど続けていると、次第にエネルギーが溜まってきて自然と何かをしたいという気持ちになってきます。
またきちんと休むことで食欲が戻ってきて、食べるのが楽しいという状態になってきます。
ここまでくると回復期がもうすぐそこまで来ています。
過去に間違った過ごし方をして回復しなかった経験
ここで記載した急性期における過ごし方は、試行錯誤の末の最終的にたどり着いたものになります。
実はこのような過ごし方にたどり着くまで様々な紆余曲折がありました。
例えば。何かをすることによってうつ病回復させようと考え、重い体を引きずりながらウォーキングやジョギングをしたり、また無理やり図書館に通ったりしたこともありました。
しかしながら、急性期においては体力が十分でないためこのような活動をするたびにエネルギーを使い果たしてしまい、再び何日も寝込むということを繰り返していました。
そして、なかなか急性期から抜け出せないというジレンマに陥っていました。
このような紆余曲折を経てたどり着いたのが上記に書いたようなひたすら休むという過ごし方です。
ざっくりとまとめますと、急性期おいてはとにかくよく眠り、起きている時間もできるだけ何もせずぼーっとして過ごし、エネルギーを溜めるということが大切だと思われます。
この急性期において、十分なエネルギーを貯めることができれば、これに続く回復期において 順調な回復が期待できる可能性が高まるのではないかと思います。