医者の処方は意外と当てにならない?抗うつ剤、睡眠薬の失敗事例集

緑と空と雲基本的に医者の処方は信頼していますが、常に100%正しいわけではありません。

ましてや精神という、個別性が強く個々人によって薬の効き方が変わってくる領域においては、やってみないとわからないという部分が多くあります。

そのため、薬の処方がうまくいけばいいのですが、いつもそうとは限らず、しばしば処方の失敗により辛い思いをすることがあります。

ここではそんな、薬の処方の失敗事例をご紹介します。

トフラニール(三環系抗うつ剤)

トフラニールの特徴

トフラニールは世界最古の抗うつ剤であり、かつ私にとっても最古の抗うつ剤(つまり最初に処方された抗うつ剤)です。

このトフラニールという抗うつ剤は、効果は確かなのですが、副作用も確か(というかものすごく多い)という特徴があります。

この強烈な副作用が、私にとってとどめを刺す一撃となりました。

副作用で会社に行けなくなる

当時は仕事が原因でうつ病に罹り、このトフラニールを処方されました。

働きながらこのトフラニールを使い始めた私は、あまりの副作用の多さに驚きを隠せませんでした。

現れた副作用は多岐に渡りましたが、一言でいうと、自分が自分でない感覚になるほどのものでした。

うつ病による辛さに加え、トフラニールの強烈な副作用が加わり、それまで何とか働いていたものが、結局働くことができなくなってしまいました。

未だになぜあの時にトフラニールが処方されたのか謎で仕方ありません。

今と比べ、当時はまだ抗うつ剤の選択肢がそれほど多くなかったという背景もあると思います。

それでもいきなりトフラニールは違うのではないかという思いが今でもあります。

その医者の好みだったのか、何か合理的な理由があったのかはわかりませんが、正直なところ、いきなり使う抗うつ剤としては悪手としか思えません。

アモキサン(三環系抗うつ剤)

アモキサンの特徴

アモキサンは三環系という古いタイプの抗うつ剤ですが、三環系の中では割と新しく、今でも処方されることもある薬です。

特にSSRIが登場する前の90年代はとてもよく処方されていた抗うつ剤です。

このアモキサンという抗うつ剤は、とても切れがいいのですが、使う時期を選ぶ薬です。

というのは、アモキサンは意欲ややる気を上げるのに効果を発揮する抗うつ剤です。

なので、ある程度エネルギーが回復し、活動を増やそうとするようなときにはとても活躍してくれます。

一方で、うつ病の初期の頃のような、エネルギーが枯渇し、とにかく休んでエネルギーの回復を待つという時期には向きません

この時期にアモキサンを使ってしまうと、無駄に意欲を上げ、活動してしまうためせっかく溜まってきたエネルギーを使い果たしてしまうからです。

無駄に意欲が上がり、エネルギーが溜まらない

私の場合、まさにうつ病初期の頃の、休養が必要な時期にアモキサンが処方されました。

この時期は全く動けない為、しばらく寝込み、しばらく休むと少し体が動くようになってきました。

そうすると、アモキサンによって意欲が上がっているので何か活動をしようとします。

そして、活動をすることにより、エネルギーが枯渇し、しばらく寝込むことになります。

その後、エネルギーが少し回復すると、再び活動してしまい、エネルギーを枯渇させてしまいます。

こうしたことを何度も繰り返し、一向に良くなる気配が見られません。

まさに2歩進んで2歩下がるという状態です。

流石にこの状態はおかしいだろうということで、結局は医者を変え、薬も変えることになりました。

その後まずはしっかり休むという方針の処方に変えたことにより、うつ病は徐々に回復に向かっていきました。

このように、アモキサンという抗うつ剤は効果は確かなのですが、それゆえに使う時期を選びます。

適切でない時期に処方されてしまうと、私のように無限ループに陥ってしまう可能性があるため、注意が必要だと思われます。

カリフォルニアロケット処方

カリフォルニアロケット処方とは

カリフォルニアロケット処方というのは、薬の名前ではなく、薬の組み合わせの呼び方です。

抗うつ剤のSNRIとNaSSAを同時に使うことをカリフォルニアロケット処方と言います。

SNRI

SNRIは脳内のセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することにより、セロトニン、ノルアドレナリン両方の脳内の濃度を上げるという作用プロセスを持つ抗うつ剤のカテゴリーです。

セロトニンは不安を和らげ心身を休みやすい状態にし、ノルアドレナリンは意欲ややる気を上げるという特徴があります。

SNRIはこの両方に働きかける特徴を持つ抗うつ剤のカテゴリーとなります。

主なSNRIは以下の通りです。

  • トレドミン
  • サインバルタ
  • イフェクサー

NaSSA

NaSSAは、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害するのではなく、放出量そのものを増やすという特徴があります。

そのため、作用プロセスの異なるSNRIと組み合わせることで、相乗効果が見込めるというのがカリフォルニアロケット処方の狙いとなります。

現在NaSSAのカテゴリーに属するのは、リスレックス/レメロンの1種類のみです。

カリフォルニアロケット処方でセロトニン症候群発生

当時は抗うつ剤のリフレックスを主に使っていましたが、なかなか回復せず、何か別の手を打とうという話になりました。

そこで出てきたのがこのカリフォルニアロケット処方です。

具体的には、既存のリフレックスに加え、サインバルタが追加されました。

そして結果はというと・・・セロトニン症候群という危険な状態を引き起こし、即サインバルタが中止となりました。

セロトニン症候群というのは、脳内のセロトニンの量が過剰になることにより起こる様々な不具合のことを言います。

例えば、動悸がしたり、異常に汗をかいたり、吐き気がしたり、手が勝手に動いたり・・・などなど。

とにかく「これなんか明らかにおかしいぞ」という症状がいくつも現れてきます。

基本的に一度吸収してしまった抗うつ剤を取り出すことはできないため、セロトニン症候群が発生している間は耐えることしかできません。

そして、この状態に耐えることがなんと辛いことか・・・。

結局サインバルタをやめて1日程度でこの症状は治まりましたが、二度と経験したくない症状です。

サインバルタ(SNRI系抗うつ剤)

サインバルタの特徴

サインバルタはSNRIというカテゴリーに属します。

SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの両方に作用し、うつ症状を改善させる抗うつ剤です。

サインバルタは、SNRIの中でも効果がしっかりしており、よく使われている抗うつ剤の1つです。

一方で、吐き気や下痢、胃腸の痛みなどの副作用が出やすいという特徴もあります。

下痢と吐き気と食欲不振で服用中止

サインバルタは確かな抗うつ作用を持つといわれており、私の通っている医者も以前からサインバルタを使ってみないかと何度か勧めてきていました。

しかしながら、胃腸が弱い私はサインバルタの副作用が気になり、使うことを拒否していました。

体調が悪くなるたびにサインバルタを勧められるということが続きある時いよいよでは一度使ってみようということになりました。

そして使い始めると・・・。

強烈な胃腸の不快感に襲われました。

まず、元々下痢ぎみだったのですが、1日中下痢という状態が続きます。

そして吐き気もひどく、食べても戻してしまいます。

まさに上からも下からもという状態です。

そして、食欲もなくなり、見る見る体重も減っていきました。

流石にこの状態はまずいだろうということで、サインバルタは中止になりました。

中止をすると、胃腸の不具合は治まり、以前通りになりました。

サインバルタは臨床の現場での評判がよく、確かな効果を持つ抗うつ剤と言われていますが、このように合わない人には合わないのです。

このような出来事があってからは、医者はサインバルタという言葉を口にすることはなくなりました。

レクサプロ(SSRI系抗うつ剤)

レクサプロの特徴

レクサプロはSSRIというカテゴリーに属する抗うつ剤です。

上記のSNRIとは異なり、SSRIはセロトニンのみに作用する抗うつ剤です。

このレクサプロはSSRIの中でも新しい薬で、効果の割に副作用が少ないのが特徴となっています。

そのため、最近では他の抗うつ剤より処方しやすいということで、処方されるケースが増えているようです。

サインバルタの副作用の残像

SSRIはSNRI同様、胃腸への副作用が存在します。

レクサプロは比較的副作用は少ないと言われていますが、それでもその程度の大きさは人によりまちまちです。

レクサプロが発売された後、「効果とバランスのよい抗うつ剤が出たので使ってみないか」と医者から進められました。

私はサインバルタの経験から、胃腸系の副作用は正直しんどいと思ったのですが、この副作用も低減されているということだったので思い切って使ってみました。

そして使ってみると・・・。

やはり出ました胃腸の不調。

吐き気はするわ、下痢はするわ、食欲は落ちるわ、まさにサインバルタの呪いが再び舞い降りてきたようでした。

これはまずいということで、レクサプロは即中止にしました。

抗うつ剤は、しばらく使っていれば副作用は収まるということもよく言われます

しかしながら、経験的には確かに時間が経つと副作用は弱まってきますが、完全になくなることはなく、一定のレベルで残り続けます。

元々胃腸が弱く、そして食欲もない私にしてみたら、胃腸の副作用が多少で残り続けるというのは死活問題になりかねません。

というわけで、サインバルタ、レクサプロに限らず、SSRI、SNRIが使えないという大きなデメリットを抱えながらうつ病と付き合っています。

イフェクサー(SNRI系抗うつ剤)

イフェクサーの特徴

イフェクサーはサインバルタと同じSNRIというカテゴリーに属する抗うつ剤です。

そのため、効果と副作用は、概ねサインバルタに類似しています。

ただし、臨床の現場ではサインバルタの方が評判がよく、サインバルタに比べると処方頻度は多くないようです。

それでもサインバルタは合わないけどイフェクサーは大丈夫という人もいるため、それなりに処方はされているようです。

この辺りは抗うつ剤の個別性の強さを感じるところですね。

サインバルタの呪い再び

上記のように、かつてカリフォルニアロケット処方で苦い(というか辛い)思い出のある私ですが、再びカリフォルニアロケット処方を勧められることがありました。

当時はリフレックスを使っていましたが、状態が沈んだまま上がらず、医者も私も困り果てていました。

そんな中浮上した案が、リフレックスにイフェクサーを加えるカリフォルニアロケット処方でした。

カリフォルニアロケット処方は、NaSSAとSNRIの組み合わせなので、リフレックスとイフェクサーの組み合わせもカリフォルニアロケットになります。

この提案を受けたのですが、正直過去の辛い思い出があるため、素直に使いますとは言えませんでした。

サインバルタはだめでもイフェクサーは大丈夫という方も中にはいるので、その可能性に賭けてみようか、といのが医者の意図だったのですが、抵抗感が強く、使う気にはなれませんでした。

しかし、時が過ぎても一向に状態が上向かず、しかたないのでダメ元で試してみようということになりました。

そして結果は・・・・・やはりダメでした。

もはやお決まりですが、SNRI特有の胃腸関連の副作用が出まくり、ああまたかよという感じでした。

この副作用は自分との相性がとても悪いことが分かっているため、出てきた段階ですくイフェクサーはやめました。

何度も試しましたが、やはり胃腸系に副作用の出るSSRI、SNRIとは相性が悪いということを再確認したのでした。

エバミール・ロラメット(ベンゾジアゼピン系睡眠薬)

エバミール(ロラメット)の特徴

エバミールはベンゾジアゼピン系というカテゴリーに属する睡眠薬です。

作用時間は短時間作用型で、寝付けない、途中で起きてしまうという症状に使われる割とスタンダードな睡眠薬です。

なお、エバミールとロラメットは名前は違いますが、中身は全く同じ薬になります(製薬会社の違いですね)

思い睡眠障害にはほとんど効かない

エバミールが処方されたのは、体調がすこぶる悪く、睡眠障害が非常に重い頃でした。

既に同系統の薬は使っていたのですが、それでも眠れないということで、エバミールが追加されました。

実際に使ってみると・・・・ほとんど効果はありませんでした。

そもそも同系統の薬を使ってるのに、更に同じような薬を使う処方もどうかと思いますが、案の定使ってみてもほとんど意味がないという結果でした。

まあ全く意味がないのではなく、使うと少しは眠気が訪れるのですが、ただ眠れるほどではないといった感じです。

むしろそれなりの量の薬を使っているのにも関わらず眠れない状態が続くので、体がムズムズしたり、不随意運動(体が勝手に動く症状)してしまったりとおかしくかつ不快な症状が出現してしまいました

当然のことながら、エバミールは中止になりました。

軽い睡眠障害程度であればエバミールはちゃんと効くのですが、重い睡眠障害にはほとんど無意味です。

マイスリー(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)

マイスリーの特徴

マイスリーは非ベンゾジアゼピン系と呼ばれるカテゴリーに属する睡眠薬です。

非ベンゾジアゼピン系とは、主流のベンゾジアゼピン系とほぼ同類の薬になります。

作用時間が短く、服用すると間もなく眠気が訪れ、2時間程度で効果がなくなるのが特徴です。

つまり、入眠障害(なかなか寝付けない)に使われる睡眠薬となります。

途中で起きてしまう

上記のように、マイスリーは入眠障害に使われる睡眠薬です。

ここを間違えると、使う意味のない薬になってしまいます。

私の場合、「よく眠れない」と医者に訴え、マイスリーが処方されました。

この「よく眠れない」というのは、なかなか寝付けないし、寝付いても途中で起きてしまうという意味だったのですが、医者にはどうも寝つきが悪いとだけ捉えられたようです。

案の定マイスリーを使うと、確かに寝つきはよくなるのですが、いかんせん作用時間が短いため、途中で起きてしまいます。

そしてその後寝付けずに、睡眠不足のまま朝を迎えるという状態に陥ってしまいました。

当時は薬についての知識も乏しく、医者の処方を盲目的に信用していたのですが、流石に睡眠薬を使っているのに十分に眠れない状態はおかしいだろうと思い、医者に途中で起きてしまってちゃんと眠れないと訴えました。

そうすると、当然マイスリーではなく、より作用時間の長い睡眠薬へと処方が変更されました。

マイスリーはとてもよく処方される睡眠薬ですが、入眠障害にしか効かないということは是非頭の片隅に置いておくとよいと思います。

最後に

いくつか思い出せる限りの処方の失敗とおぼしき事例を書き出してみましたが、おそらく他にもあると思います。

こうして書いてみて思うのは、やはり精神の薬というのは人によって相性があるため、合う人には合うけど、合わない人には合わないということが往々にして起こるということです。

そして、事前に合う合わないを判断するのは難しいため、半ば実験のようにとりあえず使ってみて、ダメだったら他のを試そうということになるのだと思います。

精神
と長く付き合って思うのは、精神の処方は毒にも薬にもなるということです。

そういう意味で、精神の薬を盲信してしまうのは危険で、ある程度のリスクも考えながら使っていく必要があるのだと思います。

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