うつ病で休職、休養するとむしろ体調が悪化するように感じることがあるのはなぜか

青い空と雲うつ病で休職、休養すると、むしろ体調が悪化するように感じられることがあります。

これまではなんとか動けていたけれど、休養したとたんに全然動けなくなった、ほとんど布団から出られなくなった・・・などなど。

このような現象は珍しいことではなく、回復の1つのプロセスとして現れてくるものです。

ここでは、なぜ休むとむしろ体調が悪化するように感じることがあるのかを解説します。

これまでの疲れの蓄積

休養、休職する前というのは、それまでの疲れが蓄積し、ピークに達している状態です。

残りわずかなエネルギーを振り絞り、何とか日々をやりくりしている状態です。

うつ病によりエネルギーが消耗され、動くことが困難になっても、ノルアドレナリンが分泌されることにより、最後の一滴を振り絞るまで人間は活動することができます。

しかしながら、このノルアドレナリンに頼った活動というのは一時的に発揮されるもので、ずっと続くものではありません。

そして、いざ休養するという段階になると、それまでの蓄積された疲れがどっと出て、動けない、ベッドから出られないという状態に陥ります。

ですので、休養したら体調が悪くなったという解釈は間違えで、そもそもぼろぼろの体調にも関わらず無理を重ねていた部分が、休むことで顕在化したということです。

そういう意味で、休養したら動けなくなるというのは、本質的には体調が悪化したのではなく、回復プロセスの1つと捉えることができます。

無理に動くと回復を遅らせる

ここでの注意点は、休養して動けなくなったときに、無理に動こうとしないことです。

動けないというのは、動いてはいけないという体からのサインになります。

このサインを無視して無理に動いてしまうと、失われたエネルギーがなかなか溜まらず、回復することができません。

前は動けたのだから今も動けるはずだと思うのではなく、よく体の声に耳を傾け、動けない時には動かずにしっかりと休養することが大切です。

無理を重ねている人程影響は大きい

休養、休職するとむしろ動けなくなるのは正常なプロセスと申し上げましたが、全ての人がこうなるのではなく、個人差があります。

具体的には、無理を重ねてきた人ほど、休養、休職することにより体が動かなくなるというケースが多いです。

無理を重ねてきた人というのは、その分疲労を自分の中に押し込めてきています。

そして、休むことにより、その疲労の顕在化の度合いが大きくなるのです。

発症間際には活動性が上がることがある

しばしば言われることですが、うつ病の発症間際というのは活動性が一時的に高まることがあります。

これは人間の本能に根差した現象で、失われていくエネルギーを補うために、ノルアドレナリンを過剰に分泌している状態です。

例えて言うなら、ガス欠になった車を、アクセルを更に踏むことによってなんとかスピードを維持しようとしている状態になります。

もちろんこのような状態は長くは続かず、この状態が長引けば長引くほど休養時の落ち込みも大きくなります

抗うつ剤の影響の可能性

休養したら体調が悪化するように感じられるもう1つの原因として、抗うつ剤の影響が挙げられます。

ここで言いたいのは、抗うつ剤が悪いということではありません。

抗うつ剤にはいろいろな種類がありますが、基本的にはセロトニンを増やし、心身をリラックスさせ、休みやすい状態にするというのが抗うつ剤の特徴です。

そのため、それまでずっと無理を重ねてきた人が、抗うつ剤を使ってしっかり休むと、これまでの疲労が顕在化し、むしろ動けなくなるというのはよくあることです。

これは抗うつ剤によって動けなくなったのではなく、むしろ休みやすい状態にすることで、本来のあるべき姿に戻ったと捉えられます。

もちろん中には心身を休ませるのではなく、状態を持ち上げる抗うつ剤もありますが、現在主流のSSRIやNaSSAといった抗うつ剤は、ここで述べたような心身を休ませる効果を持つものです。

ですので抗うつ剤を使ったら動けなくなったという場合には、それは薬のせいではなく、本来あるべき状態に戻ったと解釈すべきです。

なお、場合によっては、抗うつ剤の副作用が実際に悪さをする場合もありますので、この辺りは医者としっかりとコミュニケーションをとっていきましょう。

休日に動けなくなるという謎

ここで記載した休んだら動けなくなるという現象は、働いている場合の休日にも起こり得ます。

平日は仕事で無理を重ねているため、疲れがどんどん蓄積されていきます。

しかしながら、なんとか体を奮起し、無理を重ねながら働いています。

この蓄積された疲れが、休日になるとどっと出てきます。

そして、平日にはなんとか会社に行けていたのに、休日はほとんど部屋から出ることができないという状態になります

この現象は、休日が悪いのではなく、悪いのはあくまでも平日に無理をしているということです。

その反動が休日に出ているというだけです。

このようなことは、うつ病発症後のみならず、復職直後にもよく起こる現象です。

もし休日になると動けないという状態が発生したら、それは体の発する危険信号です。

そのような場合には、平日の過ごし方をより無理のないように調整していくことが必要です。

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