病気などの理由により会社を休職する際には、お金の心配が頭をよぎります。
給料はどうなるのだろうか、ボーナスの扱いはどうなるのだろうか、収入はゼロになってしまうのだろうか、何か手当はあるのだろうか・・・、などなど。
ここではそのような疑問に応えるべく、休職した際のお金にまつわる話をご紹介します。
病気休暇
会社を休職すると、もちろん会社から給料は出なくなります。
しかしながら、会社によっては病気休暇といって、病気によりやむを得ず働けない場合に使える休暇が存在します。
全ての会社にこの病気休暇が存在するわけではありませんが、一般的には規模が大きく、福利厚生が整っている会社ほど、このような制度が整備されていることが多いです。
この病気休暇の使える長さは、1か月であったり3か月であったり、会社によって様々です。
また、勤続年数によって使える長さが変わる場合もあります。
この病気休暇の期間中はきちんと給料が出ますので、言ってみれば長い有給休暇のようなものです。
この制度はあまり表には出ず、日陰の存在のようなものですが、いざというときにはお世話になる可能性があるため、気になる方は自身の勤める会社にこのような制度があるかどうかをあらかじめ調べておくとよいと思います。
調べ方としては、就業規則などを読み込むか、もしくは人事部や総務部などしかるべき部署に問い合わせてみましょう。
傷病手当金
上記の病気休暇を使い切るか、もしくはそもそもそのような制度が存在しない場合には、会社は休職という扱いになります。
当然休職ですので給料は出ず、無給となります。
しかしながら、休職により収入が途絶えるわけではありません。
会社は健康保険組合に入っており、病気により休職となった場合には、この健康保険組合から傷病手当金というものを受け取ることができます。
傷病手当金は、給与の約3分の2の額が、最長1年半にわたり支給される制度です。
また、この傷病手当金は所得ではないため、所得税などの税金を払う必要がありません。
そのため、実質的には手取りでは給与とそれほど遜色のない額を受け取れることになります。
このように、休職すると無給になるのではなく、傷病手当金という制度により、収入の多くの部分をカバーすることができます。
関連記事:休職する場合、傷病手当金を活用してお金の負担と不安を減らそう
ボーナスの扱い
基本的には支給されないと思った方がよい
率直に言って、会社を休むことになった場合には、ボーナスはもらえないと思った方がいいです。
そもそもボーナスというのは会社に支払いの義務があるわけではなく、その期に頑張ってくれた社員に対して臨時的にお金で報いるという制度です。
サラリーマンを長くやっていると、ボーナスをもらえるのが当たり前と思い込んでいる人もいますが、ボーナスはあくまでも成果に応じて臨時でもらえるものと認識すべきです。
休職をすると、当然会社に対して貢献することは不可能なため、ボーナスはもらえないのか?と思うこと自体がおかしな考えということになります。
規定によっては貰えることもある
ただし、難しいのは、ボーナス対象期間の一部を休職した場合です。
例えば冬のボーナスの対象期間が4月から9月で、7月から9月まで休職したとします。
つまり、ボーナス対象期間6か月中3か月だけで働いていたことになります。
この場合にボーナスが支給されるかどうかは会社の規定次第になります。
対象期間中ずっと働いていたことをボーナスの条件とする会社の場合には、一部の期間だけ働いていてもボーナスは支給されません。
一方で対象期間中に一時でも働いていた場合には、その期間についてはボーナスの対象とするという会社もあります。
この場合、上記の例では6か月のうち3か月働いていたことになるため、3か月分はボーナスの対象となり支給されるということになります。
ただし、通常会社を休職する場合には会社での評価は著しく下がるため、3か月分でかつ最も評価が低いとした場合の額が支給されることになります。
つまり、単純にボーナスがこれまでの半分になるのではなく、それよりも著しく低い額が支給されるということになります。
このように、休職をした場合にも、働いていた期間のみを対象としてボーナスが支給されるケースもあります。
ただし、一般的には、上記でも述べたように、ボーナスというのは仕事の成果に対して支払われるものの為、休職する場合にはボーナスはないものとして考えておいた方が無難です。
もし少額でももらえる場合には、ラッキーと思って有難く受け取りましょう。
復職後の給料、ボーナスについて
ここでは休職中の給料やボーナスを主題としていますが、復職後の扱いについても簡単に述べておきます。
復職後の給料
まず給与ですが、復職すれば(減給などがなければ)休職以前の給与がもらえます。
ただし、時間短縮勤務など、以前より勤務時間が短い勤務体系になった場合には、その分の給与は控除されます(その分の給与は減額して支払われます)。
復職後のボーナス
続いてボーナスの扱いについてですが、ボーナスの対象期間の途中で復職した場合の扱いは、上記で述べた通りです。
つまり、会社によって支給されるところと支給されないところがあります。
一方で、例えば4月から復職して、冬のボーナス対象期間が4月から9月のケースを考えます。
この場合には、9月まで働けば、ボーナス対象期間中ずっと働いたことになるため、当然ながらボーナスの支給対象となります。
ただし、一般的には復職後の仕事の評価というのは著しく悪い(場合によっては通常の評価とは別枠で評価がつけられる)ため、ボーナスが支給されたとしても、以前健康に働いていた時に比べると著しく低い額になるケースが大半です。
もちろん、ボーナスというのは会社の業績に大きく左右される部分もありますので一概には言えませんが、復職後もしばらくはボーナスはそれほどの額がもらえないということは覚悟しておいた方がよいです。
復職後の昇給、昇格について
ついでに、復職後の昇給や昇格についても述べておきます。
基本的に病気で休職という事実は会社から見るととてもネガティブです。
そのため、休職をすると評価は地に落ち、復職をしてもなかなか上がらないというのが現実です。
残念ながら、病気で休職という事実は会社ではずっとついてまわります。
特にうつ病などの精神疾患を原因としたものであればなおさらです。
残念な現実ではありますが、努力したところで過去が変わるわけではないので、この辺りは気持ちを割り切っていく必要があるのではないかと思います。
関連記事:うつ病による休職と会社での評価への影響
まとめ
以上、病気で会社を休職する際のお金の話をご紹介しました。
簡単にまとめると、
- 病気休暇がある場合には、その対象期間中は給料が出る
- 休職となっても、健康保険組合から傷病手当金が出てある程度給料をカバーできる
- 会社を長期で休む以上は基本的にボーナスは期待できない
ということになります。
こうしてみると、病気で会社を休むことになっても、セーフティネットを活用することで収入はある程度確保できるということがわかります。
そういう意味では、やはりサラリーマンというのは会社という後ろ盾のおかげで、ある程度守られている存在であるという見方もすることができるのではないかと思います。