うつ病で療養中・休職中の過ごし方まとめ(急性期~回復期~社会復帰)

透き通った空うつ病からの回復には3つのステップがあります。

具体的には最も症状の重い「急性期」、徐々に回復の見られる「回復期」、そして社会復帰に向けて準備を進める「社会復帰準備期」です。

そして、各ステップごとに適切な過ごし方をしていくことが、うつ病から回復するための道筋となります。

ここでは、うつ病で休職中や療養中の過ごし方のまとめを、これまでの記事とともにご紹介します。

うつ病からの回復の3つのステップ

うつ病からの回復には3つのステップがあります。

最も症状の重く辛い急性期(最悪期)、徐々にできることが増えてくる回復期、復職や社会復帰に向けて体を調整して行く社会復帰準備期の3つです。

うつ病からの回復においては、各ステップに応じて適切な過ごし方をすることがとても大切です。

以下では、この「急性期」「回復期」「社会復帰準備」の過ごし方のポイントと具体的な過ごし方をご紹介します。

急性期(最悪期)における過ごし方

過ごし方のポイント

うつ病の急性期は最も症状が重く、つらい時期です。

この時期はエネルギーが枯渇してしまっているため、ほとんど何もすることができず、ただただ寝ているだけという状態で過ごすことが多いかと思います

急性期においては、失われてしまったエネルギーを再び溜めるために、ただただひたすら休み、エネルギーの回復を待つというのが基本的な過ごし方になります。

質のいい休息を取るために、抗うつ剤のみならず睡眠薬や抗不安薬なども適切に使用していく必要があります。

具体的な過ごし方

まず朝起きたらカーテンを開け、日光を取り入れます。

そして朝食を食べます。

朝食後、薬を飲み再び寝ます。

昼前に置き、昼食を食べます。

昼食後は、眠れるときは寝て、そうでないときはひたすらぼーっとして過ごします。

夜になったら夕食を食べます。

夕食後はぼーっとしたり、本を読んだり、音楽を聴いたりリラックスしながら過ごします。

そして就寝の時間になったら薬を飲んで寝ます。

寝る時間は理想は10時頃ですが、できれば日付が変わる前には眠りたいところです。

以上が具体的な過ごし方になります。

活動らしい活動をするのは夜だけで(しかも軽い活動ですが)、その他の時間はひたすら休養に徹していることがわかるかと思います。

なお、急性期においては、睡眠障害がひどく、生活のリズムが乱れてしまうことがよくあります。

そのような場合には、無理に朝起きるのではなく、ここに記載したようなことを時間をずらして行えばよいかと思います。

急性期の終わりを見分けるポイント

上記のように、ただただよく休むという状態を継続していくと、徐々にエネルギーが回復し、動けるようになってきます。

そして、次第に自発的に何かをしたいと思えるようになってきます。

そして徐々に活動ができるようになってきます。

ここでのポイントは、無理やりではなく、自発的に何かをしたいと思うことです。

このような気持ちが芽生え、実際に活動ができるようになってくると次の回復期へ進んでいくことになります。

個人差はありますが、急性期の期間は概ね一か月から三か月程度の場合が多いです。

この時期にしっかりと休まずに無理をしてしまうと、回復が長引いてしまうことが多いです。

急性期には、とにかくエネルギーの消耗を減らし、ひたすら守備に徹するということを心がけていきましょう。

なお、この時期の過ごし方のポイントや1日の生活スケジュール、急性期から回復期へ進んだことを見分けるポイントの詳細は以下の記事に記載していますのでご参考までにどうぞ

回復期における過ごし方

急性期においてひたすら休み、エネルギーが溜まってくると徐々に動けるようになってきます。

そうしたら次の回復期へと進んでいきます。

過ごし方のポイント

回復期はその名の通り、回復が進んでいく時期になりますが、そのスピードはあくまで緩やかです。

少しずつできることを増やしていき、1日を無理なく普通に過ごすことができ、生活リズムが安定している状態に持っていくことが回復期のゴールです。

回復期においては、徐々にできることが増えていくため、無理のない範囲で徐々に活動量を上げていきます。

例えば、徐々に家事をこなしていったり、身の回りの世話をしていったり、また散歩などの軽い運動に取り組むことも回復によい影響を与えます。

ただし、注意点はあくまでも無理のない範囲で活動を広げていくということです。

回復期には回復を実感しやすいため、自分の許容量を超えて活動してしまうことがしばしばあります。

そしてそのような活動を続けていくと、せっかく溜まったエネルギーを使い果たしてしまい、場合によっては急性期に逆戻りしてしまいます。

あくまでも無理のない範囲で活動するということを徹底することが大切です。

もし活動して苦しいと感じることがあれば、すぐに活動を止め、休養に徹するようにしましょう。

具体的な過ごし方

朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を取り入れます。

そして朝食を食べます。

朝食後、軽く散歩に行きます。

そして家に帰ったらぼーっとしたりしてのんびり過ごします。

昼になったら昼食を食べます。

昼食後は本を見るなり、音楽を聴くなりしてゆったりと過ごします。

そして2回目の散歩に出かけます。

帰宅後、リラックスして過ごします。

日によっては掃除や洗濯などの家事、そして買い物などに行きます。

夜になったら夕食を食べます。

夕食後はリラックスして過ごし、就寝時間が来たら寝ます。

回復期においては生活リズムが大切なので、できれば10時頃に、遅くとも0時には眠るようにしましょう。

回復期の終わりを見分けるポイント

回復期においては、生活リズムを整えること、十分な体力をつけることがゴールです。

そのため、生活リズムが整い、生活に必要な体力がつけば回復期は終わりと言えます。

体力面については、1日1万歩を問題なくこなせることが目安になります。

もちろん完全に毎日1万歩が必要というわけではありませんが、基本的に毎日1万歩を歩けるという安定感が必要です。

この回復期の期間の目安は概ね二か月から四か月程度です。

以上のポイントがクリアできたら、最後の社会復帰準備期へと進んでいきます

なお、回復期における過ごし方のポイントや1日の生活スケジュール、回復期から社会復帰準備期へ見分けるポイントは以下の記事に詳細を書いていますのでご参考までにどうぞ。

社会復帰準備期における過ごし方

社会復帰準備期は、その名の通り社会復帰や復職に向けて準備を進めていく期間になります。

まず、社会復帰準備期へ進む前提として、1日を無理なく普通に過ごすことができ、生活リズムが安定し、精神的にも概ね安定してきている必要があります。

以上の条件をベースにして、社会復帰へ向けた準備を進めていく期間になります。

過ごし方のポイント

社会復帰準備期には、図書館通いをして家の外で過ごす練習をしたり、通勤練習をしたりして実際の出社を想定した生活リズムを作っていきます

つまり、回復期までは家で過ごすことがベースになっていましたが、社会復帰準備期においては、外で過ごす時間を増やし、社会復帰のための地合いを整えていくことになります。

外での過ごし方は、個人的には図書館がお勧めですが、人によってはリワークに通ったりしてもよいと思います。

ともかく、この期間においては、外で過ごすことに慣れ、社会復帰への準備を進めることがポイントになります。

具体的な過ごし方

朝起きたらカーテンを開け、日光を取り入れます。

起きる時間は、社会復帰を意識した時間にします。

朝食を食べ、その後散歩に出かけます。

社会復帰準備期においても、散歩は重要な活動です。

散歩から帰ってきたら一呼吸おいて図書館に出かけます。

そして午前中は図書館で過ごします。

昼になったら昼食を食べます。

そして午後は再び図書館で過ごします。

夕方になったら2度目の散歩を行います。

その後は家でゆっくり過ごします。

夜になったら夕食を食べ、リラックスして過ごします。

そして就寝の時間になったら寝ます。

寝る時間は、社会復帰を想定した時間にします。

社会復帰準備期が終わる目安

社会復帰準備期の期間の目安は概ね一か月から二か月程度です。

回復期において十分な回復をしていれば、この社会復帰準備期は割と苦しまずに乗り切れることが多いです。

上記のような活動が問題なく行えれば、社会復帰準備期は終わり(つまり社会復帰への準備が整った)の目安になります。

一方でもしこの社会復帰準備がしんどいようであれば、それはまだ回復が十分ではないサインです。

まずは、きちんと体力を回復させてから社会復帰準備期に臨むようにしましょう。

なお、社会復帰準備期における過ごし方のポイントや1日の生活スケジュール、復職を判断するポイントは以下にまとめてますのでご参考までにどうぞ。

復職(社会復帰)直前に不安を感じたときの対処法

社会復帰準備期を順調に過ごすと、いよいよ復職や社会復帰が現実味を帯びてきます。

そして社会復帰が具体的に決まると、不安を感じる場合が多々あります。

不安の背景としては、本当に社会復帰できるのだろうか、周りとうまくやっていけるだろうか、会社は自分をちゃんと受け入れてくれるだろうかなどなど社会復帰に伴う環境変化に起因するものです。

このような不安を感じたときには、

  • 不安を感じるのは当たり前と開き直る
  • 散歩など体を動かして気を紛らわす
  • 不安な気持ちを吐き出す
  • 薬を使う
  • 復職を先延ばしにする

などの対処法があります。

詳細については、以下の記事にまとめていますのでご参考までにどうぞ。

社会復帰というのはうつ病などの精神疾患を患う人にとっては人生における一大イベントですが、きちんと準備をして臨めば大丈夫です。

これまでの回復までの道筋を心に刻み、(できるだけ)自信をもって社会復帰に臨みましょう。

その他療養中の注意点など

その他にも、療養中、休職中の過ごし方には様々な注意点やポイントがあります。

ここではすべてを書き切ることができませんので、詳細については以下の記事をご参照ください。

まとめ

以上がうつ病の休職中、休養中における過ごし方のまとめになります。

このうつ病からの回復のための過ごし方は、特に渾身の力を込めて書いている部分になりますので、是非リンク先の記事と併せて参考にしていただければと思います。

かつて私も療養中の過ごし方に悩み、苦しい思いを何度もしたため、その時の経験をできる限り伝えたいというのがこの記事の趣旨になります。

うつ病という病は基本的に適切な過ごし方をしていれば治る病気です。

ここに書いたことが少しでもうつ病で苦しむ方の助けになれば幸いです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらも読まれています
こちらも読まれています