薬を使っているの治らない!うつ病を治すのは抗うつ剤ではなく自然治癒力である

不安を和らげるうつ病の治療に対する誤解の1つは、うつ病は薬(抗うつ剤)を使えば治るという考えではないかと思います。

確かにうつ病の治療において、薬は重要な役割を果たしますが、必ずしも薬で治るわけではありません。

薬はあくまでの回復をサポートするためのものです。

結局のところ、病気を治すのは自身の自然治癒力です。

抗うつ剤を使っているのにうつ病が治らない

長年抗うつ剤を使っているのに、全然うつ病が治らないということをしばしば耳にします。

おそらく背景には、抗うつ剤によってうつ病が治るという考えがあるのではないかと思います。

実際にうつ病になり、病院に行くと基本的に抗うつ剤を処方され、きちんと飲むように指導されます。

そのため、抗うつ剤によってうつ病が治ると思ってしまうのも無理のないことかもしれません。

そして、うつ病を治すのに薬にだけに頼り続けると、薬を使っているのに治らないという状態が続いてしまうことにもなり得ます。

この抗うつ剤によってうつ病が治るという誤解は、とても危険な考えです。

抗うつ剤は対症療法

ここで、うつ病治療における抗うつ剤の役割を確認しておきます。

抗うつ剤というのは、うつ病により減ってしまった脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質を補う効果のあるものです。

例えば、代表的な抗うつ剤のカテゴリーであるSSRIを例として考えます。

簡単に言ってしまうと、SSRIは脳の中のシナプス間のセロトニンの再取り込みを阻害することにより、セロトニン濃度を増やすというメカニズムになっています。

つまり、人工的な作用を働かせることにより、うつ病の症状を和らげるというのが抗うつ剤の役割になります。

そのため、抗うつ剤を使うことにより状態がよくなるということはあっても、うつ病が治るということにはならないのです。

上記のSSRIの例でいうと、いくら再取り込みを阻害してセロトニンを増やしても、そもそもの放出されるセロトニンの量が増えなければ、回復は一定のところで止まってしまいます。

このように、抗うつ剤にはうつ病の状態をある程度和らげる効果はあっても、根本的に治す力はないのです。

抗うつ剤を使う意味

それでは、抗うつ剤にはうつ病を根本から治す力がないものの、なぜ使うのでしょうか。

それはひとえに回復のスピードを速めるためと言えます。

抗うつ剤を使うことにより、うつ病により引き起こされる辛い症状を和らげ、心身を休みやすい状態にすることができます。

この休みやすい状態を作り出すことにより、しっかりと休むことができ、回復の速度を上げることができます。

そしてある程度まで回復が進むと、自分で散歩をしたり、日光浴をしたりして能動的に自然治癒力を高めるための活動ができるようになります。

これらの活動と、抗うつ剤による状態の底上げにより、寛解までのスピードを更に上げることができます。

つまり、抗うつ剤を使う意味は、うつ病の辛い症状を和らげ、回復のスピードを上げるということになります。

うつ病を治すのは自然治癒力

このように、抗うつ剤はうつ病からの回復を助けてくれるものですが、最終的にうつ病を治すのは自身の自然治癒力になります。

上記のセロトニンの例で言えば、自分の力で十分なセロトニンを作り出せるようにならなければ治ったとは言えません(更にその量が安定する必要もあります)

自然治癒力を高める活動

では、自然治癒力を高めるにはどうしたらよいかというと、私の経験では以下のような活動が有効です。

  • 日光浴
  • 散歩
  • 水泳
  • 深い呼吸
  • ストレッチ

これらの活動は、最も症状の重い急性期(ほとんど寝たきりの状態)においては行うことは困難ですが、ある程度活動できるようになる回復期以降においては、とても有効な活動です。

自然治癒力を高める行動指針

また、自然治癒力を高めるには、以下のような行動指針も重要です。

  • うつ病の発症原因となったストレスを取り除く
  • できるだけストレスのない生活を続ける
  • 無理をしない。疲れに敏感になる
  • 自分の嫌いなものは避け、自分の好きなことをする

要は、しっかりと日光に当たり、適度な運動をし、ストレスの少ない生活を送っていくということがうつ病を治すのに大切なことではないかと思います。

なお、うつ病からの回復のための過ごし方の詳細は、以下の記事にまとめてありますのでご参考までにどうぞ。

まとめ

抗うつ剤はうつ病からの回復をサポートしてくれる存在ですが、頼りすぎると危険な存在でもあります。

抗うつ剤に限らず薬というものは基本的に対症療法(一時的に症状を抑えるためのもの)
のため、頼るのではなく、うまく使っていくという心構えが大切ではないかと思います。

最終的にうつ病を治すのは薬ではなく自身の自然治癒力です。

日々自然治癒力を高めるような生活をしていくことを是非心がけていきましょう。

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