よく使われている抗精神病薬(統合失調症向けの薬)ランキング

空と雲

抗精神病薬は主に統合失調症向けに使われる薬ですが、その効果の多様性から双極性障害やうつ病にも使われることがあります。

このような薬が処方されたときに、

どんな薬がよく使われているのだろうか?

自分の使っている薬はよく使われているものなのだろうか?

と思うことがあります。

このような疑問に答えるため、抗精神病薬の使用状況に関するアンケート調査を行い、どの抗精神病薬がよく使われているかを調べてみました。

ここではこのアンケート調査の結果による、よく使われている抗精神病薬ランキングをご紹介します。

よく使われている抗精神病薬ランキング

順位 抗精神病薬 得票率
1位 エビリファイ 37%
2位 ドグマチール 16%
3位 リスパダール 13%
4位 ジプレキサ 11%
5位 セロクエル 11%
6位 コントミン 6%
7位 ルーラン 4%
8位 シクレスト 2%
9位 ロナセン 1%

※レキサルティは新薬のため対象外としている

ランキングへのコメント

1位:エビリファイ

非常に有名な抗精神病薬であるエビリファイが堂々1位。

1/3以上の得票率でした。

使っていなくても名前くらいは聞いたことがある人がいるのではないでしょうか。

松本ハウスの加賀谷さんがこの薬を使ったことで、大いに症状が改善したことでも(一部では)有名です。

エビリファイは不思議な薬で、使用量によりその効果が変わります(というか効果が逆になります)

少量ではドーパミンを増やしますが、ある程度の量を増やすとドーパミンを減らします。

そのため、うつ病では少量が使用されますが、統合失調症の場合、ある程度以上の量が使われることになります。

統合失調症のみならず、双極性障害やうつ病でも使用されることもあり、その守備範囲の広さがこのような結果につながっているのではないかと思われます。

2位:ドグマチール

ドグマチールは現在スルピリドという名前のジェネリックが主流の為、こちらの方が聞く機会は多いかもしれません。

元々は胃腸薬として使われていましたが、その後抗うつ作用もあることがわかり、ドーパミンをコントロールする薬としても使われることになりました。

そのため、この薬には食欲を増したり、意欲を改善したりといった効果もあります。

守備範囲が広く、軽度のうつ病などにも使われるため、2位という結果になったのではなかいと思われます。

統合失調症にも使われる薬ですが、エビリファイ同様ドーパミンを抑制するにはある程度の量を使う必要があります。

しかしながらこの薬には生理不順などの好ましくない副作用が存在するため、特に多くの量を使うのは敬遠されがちです。

つまり、現在においては、ドグマチールが純粋に統合失調症の治療に用いられる頻度は減っているということです。

それでもこの順位にいるのは、軽いうつ状態などに用いられるケースが多いからだと考えられます

3位:リスパダール

第二世代の抗精神病薬であるリスパダールが3位に入りました。

第二世代というのは、新しいカテゴリーになり、昔の抗精神病薬に比べると、副作用が少ないという特徴があります。

気分安定薬としての効果もあり、双極性障害やうつ病にも用いられることがあります。

SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)という、ドーパミンだけでなくセロトニンもブロックする効果のある薬です

SDAの中では発売が1996年と一番古いですが(他のものは2000年代)、最もよく使われているという結果になりました。

同じSDAでは、2001年発売のルーランが7位、2008年発売のロナセンが9位となっています。

4位:ジプレキサ

こちらも第二世代の抗精神病薬であるジプレキサがランクイン。

MARTA(多元受容体標的化抗精神病薬)というカテゴリーに入り、過剰なドーパミンの働きを抑える効果があります。

こちらも気分安定薬としての効果もあることから、双極性障害やうつ病にも用いられることがあります。

この薬、とっても眠く、日中だるく、そして食欲が上がります。

そのため、アメリカでは使用の際には十分注意が必要とされています(アメリカでは肥満が大きな問題なのです)

個人的には非常によく休める薬という感想なのですが、個人差は大きいと思われます。

5位:セロクエル

ジプレキサと同じ第二世代かつMARTAに属するセロクエルが5位にランクイン。

発売も2001年と(偶然にも?)ジプレキサと同じです。

鎮静作用があるところなどもジプレキサと似ており、このカテゴリーでは、セロクエルとジプレキサが2強と呼べるかもしれません。

ちなみにMARTAの3種類のうち、最も新しいシクレスト(2016年発売)は8位となっています。

ランキングへの感想

やはりエビリファイよく使われていますね。

事前にトップはエビリファイだろうとは予想していましたが、ふたを開けていると予想以上の圧勝でした。

統合失調症のみならず、双極性障害、うつ病にも比較的よく使われているため、これらを含めると非常によく使われているということなのだと思います。

また、実際に使った際の効果も実感しやすいため、使われ易いのではないかと想像します。

2位のドグマチールはちょっと驚きですが、おそらく純粋に統合失調症向けに使われているケースはそれほど多くはないのではないかと思います。

むしろ軽度のうつ病や一時的な気分の落ち込み、胃腸の不具合を伴う症状などに使われるケースが多いです。

そういう意味で、このカテゴリーはもしかすると不適切かもしれません。

3位以降は概ね純粋に統合失調症によく使われている薬が並んだなあという印象です。

やはり、第二世代と呼ばれる昔より副作用が少ない薬の使用頻度が多い点が特徴かと思います。

なお、睡眠薬、抗不安薬(精神安定剤)についても同様の調査を行っていますので、ご興味がありましたら以下の記事をどうぞ。

参考記事:よく使われている睡眠薬ランキング

参考記事:よく使われている抗不安薬(精神安定剤)ランキング

参考記事:よく使われている抗うつ薬ランキング

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