リーゼは作用時間が短く、効果も副作用も弱い抗不安薬

空と雲

リーゼは抗不安薬というカテゴリーに属する薬です。

抗不安薬とは脳の緊張や興奮を抑え、不安を和らげる効果のある薬のことを言います。

リーゼは抗不安薬の中でも効果が弱い分、副作用も少ないという特徴のある薬です。

比較的初心者やお年寄りなど、薬に対して忍容性の低い(薬に反応しやすい)方に用いられることが多いです。

ここではリーゼの概要と効果・副作用、リーゼを使った感想をご紹介します。

リーゼ(抗不安薬)の概要

リーゼは日本では1979年に発売された抗不安薬でかなり歴史のある薬です。以下にリーゼの基本情報をご紹介します。

抗不安薬の系統

  • チエノジアゼピン系抗不安薬

チエノジアゼピン系抗不安薬とは、現在主流として使われているベンゾジアゼピン系抗不安薬と概ね同一の系統です。

効果や副作用についてもベンゾジアゼピン系と類似しています。

ちなみに日本一有名な抗不安薬デパスもチエノジアゼピン系の抗不安薬で、そういった意味で両者は構造上は親戚とも言えます(効果には大分違いがありますが)

作用時間

  • 半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間):約6時間
  • 血中濃度最高点到達時間:約1時間

薬の効果は服用後約1時間で最大になり、約6時間で血中の濃度が半分になります。

半減期がおおよそ薬が効果を発揮する時間の目安になりますが、実際に効果を実感する長さはそれより短いです。

リーゼの場合、効果を実感するのは概ね3~4時間程度です。

適応疾患

  • 心身症(消火器疾患、循環器疾患)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
  • 自律神経失調症におけるめまい・肩こり・食欲不振
  • 麻酔前投薬

リーゼの効果と強さ

リーゼをはじめとした抗不安薬は、作用時間の長さと作用の強さという2つの軸で特徴が表現されます。

抗不安薬の作用時間の分類

まず、抗不安薬の作用時間の4つの分類を見てみます。

  • 短期作用型:作用時間が概ね6時間以内
  • 中期作用型:作用時間が6時間から12時間程度
  • 長期作用型:作用時間が12時間から24時間程度
  • 超長期作用型:作用時間が24時間以上

大まかなイメージとしては、急に現れる不安や焦燥感への対処は短期から中期作用型の薬が使われることが多く、体を1日中休みやすい状態にしたり、漠然と長く続く不安への対処には長期から超長期作用型の抗不安薬が使われることが多いです

リーゼの場合、短期作用型、つまり作用時間が短いというのが1つの特徴となります。

リーゼの強さ

抗不安薬には主に以下の4つの効果があります。

  • 抗不安作用:不安を和らげる効果
  • 催眠作用:睡眠を促す効果
  • 筋弛緩作用:筋肉の緊張を和らげる効果
  • 抗けいれん作用:けいれんを抑える効果

抗不安薬の場合、最も肝心なのは抗不安作用ですが、その他にも3つの作用があります。

催眠作用については、抗不安薬は睡眠薬の親戚のようなものなので、多かれ少なかれ、どの抗不安薬にもついてきます。

筋弛緩作用と抗けいれん作用は薬によって強弱があります。

リーゼの場合、抗不安作用も含め全体的に作用はやや弱く、マイルドな効果を持つ抗不安薬となっています。

抗不安薬の等価換算表(強さを比較する目安)

抗不安薬には等価換算表という、効果の強さを横比較する基準があります。

この換算表は、ジアゼパム(商品名:セルシン、ホリゾン)5mgを基準として、他の抗不安薬の場合何mgに相当するかを記載したものです。

そのため、数字が小さいほど効果が強いという見方になります。

効果時間 商品名 等価換算
短期 セディール 25
グランダキシン 125
リーゼ 10
デパス 1.5
コレミナール 15
中期 ワイパックス 1.2
レキソタン 2.5
ソラナックス・コンスタン 0.8
長期 マイスタン 10
セパゾン 1.5
セルシン・ホリゾン 5
ランドセン・リボトリール 0.25
メレックス 1.67
コントール・バランス 10
セレナール 20
エリスパン 0.5
レスミット 10
メンドン 7.5
超長期 メイラックス 1.67
レスタス 1.67

この等価換算表を見ると、リーゼは10mgとなっており、他の抗不安薬に比べ効果が弱いと読み取れます(セルシン5mgとリーゼ10mgが同じ程度の効果という見方になります)

ただし、実際の使用に際しては効果の強さは量で調整できるため、あくまで1つの目安として見ておくとよいと思います。

リーゼの副作用

リーゼをはじめとしたチエノジアゼピン系やベンゾジアゼピン系の抗不安薬には主に以下の4つの副作用があります。

  • 耐性
  • 依存性
  • 眠気
  • ふらつき

「耐性」とは、その薬を使い続けることによりその薬に体が慣れてしまい、同じ効果を得るためにより多くの量を使用しなければならない状態になることをいいます。

「依存性」とはその薬が体内に入ってくることが当たり前になってしまい、その薬なしではいられなくなってしまう状態になってしまうことをいいます。

「眠気」は効果の「催眠作用」の裏返しですが、抗不安薬というのはそもそもの構造が睡眠薬と類似しているため、多くの薬で眠気を生じます。

「ふらつき」は効果の「筋弛緩作用」の裏返しですが、筋肉のこわばりを和らげる効果がある一方で、それがふらつきにつながり、転倒などが起こりやすくなります。

これら4つの副作用のうち、リーゼは全ての副作用が少ない(つまり安全性が高い)という特徴があります

つまり、ここに記載したような副作用はあまり気にしなくてよいことになります(もちろん過信は禁物ですが)

リーゼを使った感想

ここで、リーゼを使った感想をいくつかご紹介します。

不安やイライラがおさまる

やる気が起きないとき、不安な時、イライラする時、わけもなく胸がざわざわするときなどに頓服として使っています。服用すると間もなくこれらの症状がおさまります。

リーゼは効果が弱く、なかなか効いている実感が得られにくいのですが、このコメントのように効く人には効くようです。

この辺りはやはり個人差が大きいのではないかと思います。

詳細は後述しまうすが、私の場合にはリーゼはあまり効きませんでした。

パニック発作の頓服として使用

パニック状態になったとき、なりそうな時に頓服として使用。間もなくパニック状態はおさまります。

いわゆるパニック発作の頓服として使用しているようです。

パニック発作には抗不安薬が効くことが知られていますが、効果の弱いリーゼでも十分対応できているようです。

対人恐怖に効果

いやな人に会うときとか、仕事で不安になってしまったときとかに使います。とても落ち着いて仕事ができるようになります。

対人不安に対しても効果が見れれるというコメントです。

リーゼに限らず、抗不安薬にはこのような効果が見られます。

人と接するのが楽に

使うと緊張が和らぎます。笑顔も作れるようになります。人に話しかけるのも楽になります。

緊張が和らぐことで、人と接することも楽になるようです。

私の経験でも、抗不安薬を使うといい意味でどうでもいいような気持になるため、人と接するのもいくぶん楽になります。

ただし合わない薬の場合には、ただ眠くなったり、逆に頭がぼーっとしすぎることに対しイライラしたりするので、注意が必要です。

参考文献:精神科のくすりを語ろう

日本初のチエノジアゼピン系抗不安薬

リーゼは日本で初めて発売されたチエノジアゼピン系の抗不安薬です。

ただし、日本初とはいっても、チエノジアゼピン系の薬はベンゾジアゼピン系の薬の類似品なので、ベンゾジアゼピン系の薬を含めると日本初ではなくなります。

同じチエノジアゼピン系の抗不安薬としてはデパスが有名ですが、リーゼはデパスに比べると日陰の存在で、それほど人気のない感の否めない抗不安薬です。

背景にはデパスはとても切れがよく、服用すると効果がはっきりと実感できるのに対し、リーゼの効果はマイルドで、薬に慣れてしまった人からするとあまり使ってる実感を感じないということがあるように思います。

セディールの代用としてリーゼを使用

ちなみに私の場合、当時セディールという抗不安薬を使っていたのですが、どうも効果の実感が持てず、医者にもっと効果があるけどあまり眠くならない頓服として使える短時間型の抗不安薬はないかと聞いたところ(ずいぶん要求が多いですね)、このリーゼが処方されました。

実際に使ってみると確かにセディールに比べると効果があるようには感じましたが、切れはよくなく、とてもマイルドな効果でした。

そのため、多少緊張を落ち着ける程度であればそれなりの活躍をしてくれたのですが、強い不安に対してはほとんど効果がありませんでした。

やはりある程度の不安に対してはワイパックスやデパスのような切れのよい抗不安薬の方が効果を発揮してくれます。

一方で、リーゼの催眠作用が少なく、依存性などの副作用も少ないという点は大きなメリットだと思います。

もしこの薬で済むのであれば、わざわざより依存性が問題になりやすいデパスなどを使う必要はないのではないかと思います。

そういう意味で、初めて抗不安薬を使う人や、薬に対する忍容性の低い(薬に対し反応しやすい)人には合う薬なのではないかという気がします。

リーゼの特徴まとめ

以上をまとめると、リーゼの特徴は以下のようになります。

  • 効果は弱いものの、副作用も弱い
  • 作用時間は短く、6時間以内に効果がなくなる(感覚的には3~4時間程度)

また、以下のような人には合うのではないかと思います。

  • 初めて抗不安薬を使う人
  • 副作用が気になる人
  • 短時間作用型でマイルドな効果の抗不安薬が必要な人
  • 抗不安薬で眠くなると困る人
  • 抗不安薬に対する忍容性の低い(反応しやすい)人

以上がリーゼに対する所感になります。

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