ロヒプノール(サイレース)の効果・副作用と睡眠作用の強さ

空と雲ロヒプノール(サイレース)はベンゾジアゼピン系に属する睡眠薬です。

睡眠作用の強い睡眠薬として知られており、よく使用される睡眠薬の1つです。

ここではこのロヒプノール(サイレース)の概要と効果・副作用、そしてその睡眠作用の強さについてご紹介します。


なおロヒプノールとサイレースは名前は違いますが、中身は同じ薬になりますので以下ではロヒプノールという記載で統一します。

ロヒプノール(サイレース)の概要

ロヒプノールは日本では1984年に発売された睡眠薬です。

発売から30年以上経っていますが、いまだによく使用される睡眠薬です。

以下にロヒプノールの基本情報をご紹介します。

睡眠薬としての系統

  • ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬というのは現在主流として使われている睡眠薬の系統となります。安全性の高さがその特徴の1つとなっています。

脳内の不安や催眠に関わるGABA受容体に作用し、睡眠を促すというのが大まかな作用プロセスになります。

作用時間

  • 半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間):約10時間
  • 血中濃度最高点到達時間:約1.5時間

薬の効果は服用後約1.5時間で最大になり、約10時間で血中の濃度が半分になります。

半減期がおおよそ薬が効果を発揮する時間の目安になりますが、実際にはそれよりやや短く感じることが多いです。

ロヒプノールに関しては、実際には5~8時間程度効果を実感します。

適応疾患

  • 不眠症
  • 麻酔前投薬

ロヒプノール(サイレース)の効果

おくすり110番にはロヒプノールの効果は以下のように記載されています。

  • 睡眠薬として広く使用されている系統です。比較的安全性が高く、効き目もよいので、不眠症の治療には、まずこの系統が使われます。
  • 同類薬のなかでは、持続時間が中間型です。寝つきの悪いときや、夜中に何度も目が覚めてしまう人に向きます。
  • 翌朝に不快な症状が残ることが比較的少ないです。

比較的安全性が高く、効き目もよいという記載になっています。

また、寝つきの悪さや途中で目が覚めてしまう場合に用いられるとされています。

もう少し効果について踏み込んで説明します。

ロヒプノールをはじめとした睡眠薬は、「作用時間の長さ」と「作用の強さ」という2つの軸で特徴が表されます。

睡眠薬の作用時間の分類

まず、睡眠薬の作用時間の4つの分類を見てみます。

  • 超短時間型:作用時間が概ね6時間以内
  • 短時間型:作用時間が6時間から12時間程度
  • 中時間型:作用時間が12時間から24時間程度
  • 長時間型:作用時間が24時間以上

どの作用時間の睡眠薬を使うかは、睡眠障害の種類によって異なります。

睡眠障害には以下の3つのタイプがあります。

  • 入眠障害:なかなか寝付けない
  • 中途覚醒:途中で起きてしまう
  • 早朝覚醒:早朝に起きてしまう

睡眠薬の作用時間と、睡眠障害の種類の関係は概ね以下のようになります。

  • 超短時間型:入眠障害
  • 短時間型:入眠障害及び中途覚醒
  • 中時間型:中途覚醒及び早朝覚醒
  • 長時間型:早朝覚醒

ロヒプノールは半減期約10時間の短時間~中時間作用型の睡眠薬のため、主に入眠障害から中途覚醒、早朝覚醒にも使われる薬となります。

この薬1つで3つの範囲をカバーするという守備範囲の広い睡眠薬です。

ロヒプノールの強さ

ロヒプノールはベンゾジアゼピン系の睡眠薬の中で最強の強さを持つと言われています。

実際に使ってみた感想も、レンドルミンエバミールといった同系統の睡眠薬に比べ、一段効果が強いと感じます。

レンドルミンでは途中で起きてしまうような場合でも、ロヒプノールを使うと途中で起きずに朝までよく眠れることが多いです。

ただし、効果が強いということは、初心者には向かない睡眠薬とも言えます。

ロヒプノールは半減期が約10時間と睡眠薬の中ではやや長いため、睡眠薬に慣れていなかったり、軽い睡眠障害の場合には翌朝まで眠気が残ってしまう場合があります。

そのため、どちらかというとレンドルミンのような初心者向けの睡眠薬で効果が十分に得られないような場合に、より強い作用を求めてロヒプノールが使われるというケースが多いです。

ロヒプノールの副作用

ロヒプノールをはじめとしたベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、基本的に安全性が高いです。

そのため、医師の指示通りの服用をしていれば重篤な副作用が発生することはあまりありません。

お薬110番には、副作用については以下のように記載されています。

比較的安全性の高いお薬です。正しく服用するかぎり、重い副作用はまずありません。ただ、人によっては、翌朝に眠気やふらつき、けん怠感や脱力感などが残ることがあります。高齢の人は、転倒にも注意してください。

比較的安全性が高く、正しく服用する限り重い副作用はないという記載となっています。

しかしながら、もちろん副作用が全くないわけではありません。

もう少し詳しく説明すると、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には主に以下の5つの副作用があります。

  • 耐性
  • 依存性
  • 眠気の持ち越し
  • 健忘
  • ふらつき

「耐性」とは、その薬を使い続けることによりその薬に体が慣れてしまい、同じ効果を得るためにより多くの量を使用しなければならない状態になることをいいます。

「依存性」とはその薬が体内に入ってくることが当たり前になってしまい、その薬なしではいられなくなってしまう状態になってしまうことをいいます。

「眠気の持ち越し」は睡眠作用が翌日まで残ってしまうことをいいます。

「健忘」は睡眠薬を服用後、自分のしたことを忘れてしまうことをいいます。

「ふらつき」は睡眠薬の睡眠作用や筋弛緩作用(筋肉を和らげる作用)がふらつきにつながり、転倒などが起こりやすくなります。

ロヒプノールに関しては、半減期がやや長いため、「眠気の持ち越し」には少し注意が必要です。

また、睡眠作用が強いため、「健忘」や「ふらつき」にも注意する必要があります。

服用後にすぐに寝てしまえば問題ないですが、何か作業をしたり、途中で起きてトイレに行くときなどは注意が必要です。

「耐性・依存性」についてはロヒプノールに限らず睡眠薬全般に注意が必要です。

そのため、睡眠薬については基本的に1か月程度の短期での使用が奨励されています。

ロヒプノールの錠剤はなぜ青いのか

犯罪防止のため青くなる

ロヒプノールの錠剤は不自然に青い色をしています。

初めて見ると、不気味な雰囲気を漂わせている錠剤です。

しかし、この青いのには理由があります。

上記のように、ロヒプノールは睡眠作用の強い薬です。

そのため、水に溶かして眠らせて犯罪に使われるということがしばしばありました。

このような事態を避けるため、ロヒプノールの錠剤は不自然に青色に変更されたのです。

なので昔は自然の色(白色)だったのが、数年前から青色に変わっています。

ロヒプノール以外の睡眠薬が使われる可能性

確かに青くすることで水に溶かすとバレればロヒプノールを使った犯罪は減りそうですが、個人的には付け焼刃の印象を受けます。

というのは、ロヒプノールではなく、他の睡眠薬でも、普通の人であれば容易に眠りに落ちてしまうからです。

ロヒプノールを青くしたことにより、犯罪全体が減少するというよりは、他の睡眠薬を使う方法にシフトするのではないかと危惧しています。

この辺りはまさにイタチゴッコと言えそうです。

犯罪によく使われる睡眠薬

個人的な印象では、犯罪によく使われる睡眠薬としては、レンドルミンとハルシオンが思い浮かびます。

きちんと統計をとったわけではありませんが、かつて裁判の傍聴に通っていた時に、犯罪によく使われていたのがレンドルミンとハルシオンでした。

ハルシオンに関してはかつて社会問題にもなったほど一般の人にも知られた睡眠薬なので、よくつかわれそうだなというのは想像に難くありません。

一方のレンドルミンに関しては、おそらく処方の壁が低く、内科でも「眠れない」というと簡単に処方されるような薬なので、犯罪にも使われやすいのではないかと想像します。

ロヒプノール(サイレース)の睡眠作用の強さ

上記のように、ロヒプノールはベンゾジアゼピン系の睡眠薬の中では最強の睡眠作用を持つ薬といわれています。

また、よく使われている睡眠薬でもあり、アンケート調査による「よく使われている睡眠薬ランキング」では1位に輝きました。

関連記事:よく使われている睡眠薬ランキング

強さが最強でしかもよく使われている、このことから世の中には睡眠障害で悩んでいる人がいかに多いかがわかります。

一方で、個人的にはロヒプノールと同等かそれ以上に強いのではと感じている薬があります。

それは同じベンゾジアゼピン系のリボトリールという薬です。

リボトリールという薬は、その効果の多様性から抗てんかん薬と呼ばれたり、抗不安薬と呼ばれたり、色々なラベリングをされる薬ですが、睡眠作用という点についても確かな効果があります 。

ただ難点は半減期が約27時間と長く、翌日まで眠気を持ち越してしまいます。

ですので、働きながらリボトリールを使うと、翌日仕事に支障をきたすというリスクを負うことになります。

そのため、働きながら眠気を翌日まで持ち越さず、かつ強い睡眠薬を使いたいと言った場合にはこのロヒプノールが適切なのではないかと思います。

ロヒプノールを実際に使った体験談

ここで、ロヒプノールを使った方の体験談をいくつかご紹介します。

睡眠持続作用が大きい

ロヒプノールは睡眠持続作用が大きいです。

起床したあとに眠気が持続するということはなく、すっきりと目覚めることができます。深い眠りに入ることが多かったです。

内服して1時間以内に入眠することができました。

このケースでは、ロヒプノールがよく効いたようです。

1時間以内に入眠し、深い眠りに入り、すっきりと目覚めることができるというのは理想的な睡眠のように思います。

早朝覚醒が少ない

ロヒプノールが入ると早く目が覚めてしまうことは少ないです。

ロヒプノールは睡眠薬の中では比較的作用時間が長いため、早朝覚醒にもよく効くと言われています。

このケースはその典型ではないかと思います。

レンドルミンからの変更

あまり状態のいいときではなかったのか、レンドルミンが全然効きませんでした。

サイレースに変えてもらって、なんとか眠れているようにしむけられました。

レンドルミンはどちらかというと初心者向けの睡眠薬で、ある程度以上の睡眠障害の方にはあまり評判がよくありません。

このケースでも、サイレース(ロヒプノールと同じです)に変えてようやく眠れるようになったようです。

「しむけられました」という記述あたりに、人工的な雰囲気を感じますね。

よく効くが翌日に残る

よく効きますが、多少ふらつきが出ます。若干残る感じもあります。

ロヒプノールは強い睡眠薬なので、服用後に活動をすると、ふらつきが出ることがあります。

また、作用時間も長めの為、人によっては翌日まで残るようです。

薬が体に慣れてしまう

処方された当初は「眠い」と言うよりはくらくらとめまいがして、12時間くらい抜けませんでした。

けれど、身体はすぐに薬に慣れてしまい、今では効果があるのかないのかも不明です。

ここにあるように、薬が体に慣れてしまうということがよくあります。

特にベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬、抗不安薬の場合、耐性といって使っているうちに徐々に効きが悪くなってくることがしばしばです。

私も経験しましたが、できれば短期間の使用に留めるのが望ましい姿なのだと思います(もちろん無理に止める必要はないと思いますが)

使わないと睡眠が悪化する

深い睡眠がとれるようになったのはいいのですが、ロヒプノールを断つとまるで寝つけず、夢ばかり見ている状態でとても苦しいです。

いったん服みはじめると、今度は薬断ちするのが難しくなります。

これはロヒプノールに限らず、睡眠薬ではよくある悩みです。

使えば眠れるけど、止めると睡眠が悪化し、体調にも影響がでる。

そのためなかなかやめられなくなる。

まさに睡眠薬の依存性の問題と言えます。

徐々に減らすなり、より効果の弱い薬に置き換えるという方法もありますが、それでも止めるまでには大変な苦労をすることが多いです。

いっそのこと一生飲み続けようかと思うことも多々あります。

気持ちよく眠れた

サイレースを服んではじめて、「気持ちよく眠れた」と感じることができました。

夢ばかり見ることもなく、途中で目が覚めることもほとんどありませんでした。

朝もすっきり起きられて、眠気が残ることもなかったです。「ぐっすり眠れることがこんなに幸せだったなんて」と思いました

サイレース(ロヒプノール)がとても合っていた例ですね。

夢をあまり見ず、中途覚醒もなく、朝もすっきり起きられるというのは理想的な睡眠です。

「ぐっすり眠れることがこんなに幸せだったなんて」というコメントもうなずけます。

参考文献:精神科のくすりを語ろう

ロヒプノールの特徴まとめ

以上をまとめると、このロヒプノールという薬は

  • 入眠障害、中途覚醒及び早朝覚醒に有効で
  • 睡眠薬の中では強い効果を持ち
  • 翌日まで眠気を持ち越すことが少ない

という特徴があり、そのため

  • 寝つきが悪いだけでなく途中で起きてしまう
  • 睡眠が乱れていて強い効果を持つ薬が必要
  • 翌日まで眠気を持ち越したくない

というような場合に有効な薬だと思います。

また、犯罪に使われることを防ぐ為に、不自然に青い色をした薬となっています。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらも読まれています
こちらも読まれています
コメントの入力は終了しました。