酸棗仁湯の効果と副作用。睡眠に特化した漢方薬

空と海酸棗仁湯は主として睡眠を改善するために使われる漢方薬です。

漢方薬には睡眠への効果を示すものがいくつか存在しますが、酸棗仁湯はそれらの中の代表的な漢方薬です。

特に、神経症から来る不眠によく使われる漢方薬になります。

かつては、ナインティナインの岡村が使用していたことでも少し有名になりました。

ここでは漢方薬の特徴とともに、酸棗仁湯の効果や副作用、そして実際に使ってみた体感をご紹介します。

漢方薬の特徴

漢方薬は、自然の草木を原料とする「生薬」の組み合わせでできています。

西洋の薬のように人工的な作りではなく、自然界の力を借りて徐々に症状をよくするというものです。

そのため、漢方薬には即効性はあまりありませんが、継続して使うことで、徐々に体質が改善していくという特徴があります。

今すぐに症状をよくしたいと考える人にはあまり向かないかもしれませんが、自然の力を借りて、少しずつ症状を改善していきたいと考える人に向いていると言えます。

使い始めた当初はあまり効果がわからなかったけれど、振り返ってみると体質が改善してきている、と感じるのが漢方の効き方になります。

漢方薬の飲み方

漢方薬は基本的に空腹時に服用します。

空腹時の方が生薬がよく吸収されるためです。

そのため、食前や食間などに服用することが基本です。

よく言われるのは、食事前の30分くらい前に服用するとよいということです。

ただ、飲み忘れてしまった時には、食後でも問題ないかと思います。

私自身よく飲み忘れて食後になってしまうことがありますが、それで何か問題になったことはありません。

漢方薬は病院でも処方が可能

漢方薬は東洋医学に属し、一般的な病院で行われる西洋医学とは異なる学問と考えられています。

そのため、病院と漢方は関係がないと考えている方も多くいますが、実は病院でも漢方薬の処方は可能です。

処方には制限がある

ただし、注意点としては、全ての漢方が処方可能なわけではなく、処方できる漢方は限られています。

また、処方の際には、漢方は2種類までという制限があります。

そして、当たり前ですが、医者が必要と判断した時にしか処方はしてもらえません。

例えば、風邪になった時のために、葛根湯をくださいというのはNGということです。

(実際に風邪の引き初めであれば、処方されるかもしれません)

このような制約はありますが、病院で処方してもらえると保険が使え、安く漢方を使うことができます。

そのため、漢方を必要とされている方は、かかりつけの医師とご相談されることをおすすめします。

「証」の考え方

漢方薬を使う際には、「証」という考えを理解する必要があります。

というのは、漢方薬は基本的にその人の特徴を表す「証」をベースに選ばれるためです。

「証」には、「虚証」と「実証」の2つが存在します。

虚証の特徴

虚証の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 体力があまりない
  • 痩せている
  • 顔色が悪い
  • 肌が荒れている
  • 声が小さい
  • 胃腸が弱い
  • 寒がり

これらによく当てはまる人は、「虚証」という特徴を持つことになります。

実証の特徴

逆に、虚証の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 体力がある
  • 筋肉質で体格が良い
  • 血色がよい
  • 肌にツヤがある
  • 声が大きい
  • 胃腸が強い
  • 暑がり

これらによく当てはまる人は、「実証」という特徴を持つことになります。

「証」により、使う漢方薬が異なる

この「虚証」と「実証」は、どちらがいいとかそういうものではありません。

漢方薬には「虚証」に効くものと「実証」に効くものがあるため、あくまでも漢方薬の選択を行う際の判断材料という位置づけです。

実際には、虚証と実証どちらにも使われたり、虚証だけど実証向けの漢方が処方されたりということもあるようですが、判断のベースとなるのは「虚証」か「実証」かという体質の違いになります。

「気・血・水」の考え方

漢方には、「証」に加え、「気・血・水」という考え方もあります。

ただし、実際のところ、個人的にはこの「気・血・水」に従って漢方が処方された記憶がほとんどありません。

やはり判断のメインとなるのは「証」であり、「気・血・水」はあくまで参考程度という見方をすることが多いようです。

ご参考までに、「気・血・水」のそれぞれの特徴を簡単にご紹介します。

「気」とは

目に見えない生命エネルギーのことです。

「気功」の「気」と言えばわかりやすいでしょうか。

もしくは「気合」の「気」とも言えるかもしれません。

いずれにせよ、生命エネルギーの源が気になります。

ですので、この「気」に不調があると、疲労感や食欲不振などが起こることがあります。

「血」とは

「血液」の「血」です。

全身を巡って栄養素を届ける役目をしています。

ですので、「血」に不調をきたすと、貧血になったり、顔色が悪くなったりします。

「水」とは

体内には多くの水分があります。

これらの水分のうち、血液以外が「水」に当たります。

この「水」に不調をきたすと、「水毒」といってめまいや頭痛などが現れます。

酸棗仁湯の適応証

酸棗仁湯の適応は以下になります。

  • 「証」:虚証
  • 「気・血・水」:気虚

つまり、主に体力がなく、エネルギーが不足している人に用いられる漢方になります。

酸棗仁湯に含まれる「生薬」

漢方薬はいくつかの「生薬」の組み合わせでできています。

酸棗仁湯に含まれる生薬は以下になります。

  • 酸棗仁(サンソウニン):睡眠作用、鎮静作用
  • 知母( チモ):火照りを抑える
  • 茯苓(ブクリョウ):利尿作用、鎮静作用
  • 川芎(センキュウ):鎮静作用、鎮痛作用
  • 甘草(カンゾウ):炎症や痛みを緩和する

全般的に、鎮静作用を持つ生薬が多くなっています。

特に、酸棗仁が生薬の肝となっています(名前からも想像が付きますね)

また、含まれている生薬が5つと、漢方薬の中では比較的少なくなっています(もちろん数と優劣は関係がありませんが)

これらの生薬の組み合わせにより、酸棗仁湯は効果を発揮します。

酸棗仁湯の効果

お薬110番には効果は以下のように記載されています。

神経をしずめて、寝つきをよくします。体力があまりなく、繊細な人に向く処方です。

シンプルに寝つきを良くする漢方と記載されています。

漢方薬の中には、イライラなどの精神症状を和らげることで結果的に睡眠に作用する効果を持つものがいくつか存在しますが、この酸棗仁湯は主として睡眠に特化した漢方薬と言えます。

酸棗仁湯の副作用

基本的に漢方薬には副作用はないため、使うにあたってはほとんど心配しなくてもよいかと思います。

私自身漢方薬で副作用を感じたことはありません。

ただ、全く副作用がないかというとそうでもなく、まれに副作用が現れることもあるようです。

以下はお薬110番からの引用です。

漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなることがあるかもしれません。

しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。

少しは副作用はあると記載されています。

過度に気にする必要はないかと思いますが、もし不具合がある場合には医者や薬剤師と相談しましょう。

酸棗仁湯を使ってみた体感

漢方薬は効果が出るまでに時間がかかる

既に述べたように、漢方薬というのは効果が出るまでに時間がかかります。

そのため、服用し始めた当初は特段変化を感じません。

継続して服用していくうちに、振り返ると体質が変わったと感じることが多いです。

酸棗仁湯を使った理由

私は長年睡眠障害を患っており、睡眠薬以外にも様々な手段を使って睡眠の改善に努めてきました。

そして漢方薬もその手段の1つとして活用してきました。

睡眠に効果があるとされている漢方薬はいくつかあり、いろいろと試してきましたが、酸棗仁湯はその中の1つです。

酸棗仁湯を使ってもあまり効果を感じない

酸棗仁湯は睡眠に効果があるとされていますが、いかんせんその効果はマイルドです。

言い換えると効いているのかどうかよくわからないというのが正直なところです。

元々虚証向きということもあり、効果もマイルドなのだとは思うのですが、この漢方薬を使ってよく眠れるようになったという実感は持てませんでした。

当時は同時に睡眠薬を使っていたこともあり、やはり東洋の薬(漢方薬)というのは、効果の強さという意味では西洋の薬にはかなり劣ってしまいます。

ただし、私の場合にはかなり多くの睡眠薬や漢方薬を使い込んでいたという事情があるため、あまり参考にはならないかもしれません。

酸棗仁湯で睡眠が改善したという声も聞くことがあるため、やはり個人差が大きいのと、あと睡眠障害の程度の大きさが関係しているのではないかと思います。

全く睡眠薬を使っておらず、かつ程度の軽い睡眠障害であれば、酸棗仁湯が効く可能性は高いのではないかと思います。

一方で私のようにある程度以上の睡眠障害があり、かつ睡眠薬を使っているような状態では効果を発揮しにくいのではないかと思います。

もちろん睡眠薬を使っていても、そこに上乗せで効果を発揮してくれている可能性もあるかもしれませんが、いかんせんマイルドな効果なので、時間として効いているとは感じることができませんでした。

ナイナイの岡村が使用

ちなみにナインティナインの岡村はかつて体調を崩した際に酸棗仁湯を使い、睡眠が改善したようです。

当時は無期限活動休止という形でテレビの前から姿を消し、結果として半年程度の療養期間をとっていました。

なぜだかよくわかりませんが、芸能人の方は西洋の薬よりも、東洋の医療を好む方が多いように感じます。

また、「めちゃイケ」という番組内で、早く寝た人が勝ちという企画で、岡村が酸棗仁湯を使って早く寝ようと試みていたこともありました。

ちょっと特殊な例ですが、このように有効性を大いに認めているケースもあるというご紹介です。

酸棗仁湯の特徴まとめ

酸棗仁湯は一言で言うと、寝つきをよくする漢方薬です。

特に、疲れ果てて眠れないという場合に有効であるとされています。

ただし、実際に私が使った限りにおいては、効果は非常にマイルドで明確な効果を感じることはできませんでした。

この辺りは個々人の相性と、そして睡眠障害の程度の大きさによると思います。

そもそも漢方薬というのは全般的に効果がマイルドですので、程度のそれほど重くない睡眠障害を、しっかりと時間をかけて治していきたいというような場合に有効なのではないかと考えられます。

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