うつ病で休職しても傷病手当金を活用すればお金の負担と不安を減らせる

青い空と雲うつ病で休職する場合、経済的な不安が大きくのしかかるかと思います。

しかしながら、会社に勤めている場合、休職中も経済的にサポートしてくれる制度が存在します。

それが傷病手当金です。

ここでは、傷病手当金の概要及び、利用する際の注意点をご紹介します。

傷病手当金とは

傷病手当金とは、病気やけがなどで業務を行えない場合、会社の所属している健康保険組合から一定の金額が支給される制度です。

詳しくは以下のリンクに記載があります。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139

以下ではこのリンクの情報を参考にしながら私見を交えてご説明していきます。

支給条件

傷病手当金が支給される条件は以下の4つを満たすことです。

  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  2. 仕事に就くことができないこと
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと

1については、業務中に発生した病気やけがの場合には労災という区分になるため、対象外となります(この場合、お金の出所が変わります)。

正直なところ、うつ病というのは業務に起因するケースが多いと思うのですが、現実的には労災と認められるケースは少なく、基本的にここで述べている健康保険組合による傷病手当金を受け取るケースが大半です。

ただ、うつ病による労災認定は年々増えてきていますので、将来的には傷病手当金を利用するケースが減る可能性もあります。

2については、仕事に就くことができない証明として、医師の診断書が求められます。

4については、会社によっては病気休暇というような、一定の期間であれば会社は休むけど給料は出るという制度を導入しているところもあり、このような場合には傷病手当金は支給されないという意味になります(病気休暇の期間が終わり、無給になればその時点から支給されます)

いずれにせよ、うつ病により就業が不能となり、無給の状態で長期にわたり会社を休む場合には傷病手当金の支給対象となります(補足:うつ病に限らず、上記の4つの条件を満たしていれば支給対象になります)

支給期間

以下全国健康保険協会からの引用です。

傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。

これは、1年6ヵ月分支給されるということではなく、1年6ヵ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も1年6ヵ月に算入されます。

支給開始後1年6ヵ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。

補足で説明すると、傷病手当金が受け取れるのは最長で1年6か月までで、その期間を過ぎると支給がストップします。

ただし、会社によっては独自により長い期間を設定しているところもあり、最長で2年であったり3年であったりという場合もあります。

大企業で健康保険組合がしっかりしているほどこの辺りの手当は充実しているケースが多いようですが、実際にはご自身の会社に確認しておくことをおすすめします。

また、支給開始から1年6か月の間に復帰し、その後順調に勤務を継続できればいいのですが、再度休職せざるを得ない場合もあります。

そのような場合には、最初に休んだ月から1年6か月が支給対象になりますので、再度休んだ時から再び1年6か月が対象となるわけではないことをご注意ください。

支給金額

支給額は以下のように決まります。

支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した値)÷30日×2/3

パッと見でよくわかりにくい式ですが、ざっくり言ってしまうと、過去1年間の平均月給の3分の2がおおよその支給額になります。

この平均月給は残業代も込みの実際に支給された給与です。

この金額が最長1年6か月にわたり支給されます。

なお、会社の所属する健康保険組合によっては、平均月給の3分の2ではなく、もう少し上乗せした金額を支給しているところもありますので(例えば6分の5など)、この辺りは会社に確認することをおすすめします。

傷病手当金は絶対に認識しておくべき制度

一般的に傷病手当金という制度はあまり認知されていません。

そのため、うつ病で休職する場合に、収入がなくなりまずいと考えてしまう人も多くいます。

そしてそうならないために無理をして働き続けてしまい、結局病気を更に悪化させてしまうというケースもあります。

このようなことにならないためにも、この傷病手当金という制度は是非認識しておくべき制度だと思います。

きちんとした会社であれば、休職時に人事部などから案内があるケースが多いと思います。

また、もし案内がなかったとしても、健康保険組合に加入していれば使える制度ですので、しかるべき部署や健康保険組合などに問い合わせましょう。

会社に勤めていて、健康保険に加入していれば誰もが使える制度です。

そして休み中もそれまでの月給の3分の2を支給してくれる制度です。

経済的な不安を軽減し、治療に専念するためにも是非認識し、いざというときには活用したい制度です。

二度目の同一傷病による傷病手当金は支給されないので注意

例えば、うつ病により休職し、1年間会社を休んだとします。

この1年分の傷病手当金は支給されます。

さらに復帰後1年で再びうつ病が悪化し、休職することになったとします。

残念ながら、この場合には傷病手当金は支給されません。

なぜなら傷病手当金は同一傷病による2度の支給は認められていなからです。

ただし、例えば復職後5年経った後、再びうつ病で休職した場合には傷病手当金が認められる場合もあるようです。

このケースでは、十分に時間が経った後であれば、同一傷病ではなく別の傷病として扱うということのようです。

この辺りの解釈については健康保険組合の判断によりますので、気になる方は確認しておくとよいかと思います。

いずれにせよ、休職し1度傷病手当金の給付を受けると、2度目は基本的になく、経済的にとても苦しくなるのですが、しかしまだ経済的なセーフティネットは残っています。

それは以下に述べる障害年金です。

傷病手当金支給後1年6か月が経過したら障害年金の対象となる

うつ病で休職したものの、1年6か月が過ぎても社会復帰できない場合、もしくは一度復帰したものの再度休職となり最初の休職から1年6か月を経過した場合、障害年金の対象となります。

ですので1年6か月を過ぎたから必ずしも収入が0になるわけではありません。

ただ、この障害年金というのは支給要件が厳しく、必ずしも支給がなされるわけではありません。

また、傷病手当金は会社の属する健康保険組合の制度ですが、障害年金は国の制度になりますので、申請などの手間も格段に上がります。

このように、かなり使いにくい側面を持つ制度なのですが、このような制度があるということ自体が精神的にも金銭的にもプラスに働く可能性があります。

ここでは障害年金についての詳細は差し控えますが、傷病手当金の支給期間1年6か月を過ぎたら収入が全く途絶えるのではなく、障害年金というセーフティネットが更に存在するということを頭の片隅に置いておくとよいと思います。

まとめ

うつ病で休職する際ネックになることの1つは収入の減少ですが、これは会社の健康保険組合の傷病手当金という制度を使うことである程度緩和することができます。

ですので経済的な面を心配されている方は、まずこの制度があるということを認識していただければと思います

仮に休職することなく過ごすことができたとしても、いざというときこのようなセーフティネットが存在するということを認識しておくだけで、精神的な余裕も生まれます。

うつ病の支援制度としては、医療費の自己負担が1割になる自立支援医療制度と合わせてぜひ押さえておきたい制度です。

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