うつ病の治療には、状態を持ち上げるか、心身を休ませるかの2つの方向性がある

空に架かる虹うつ病の治療には2つの方向性があります。

1つは意欲ややる気といった部分を持ち上げるという方向性、もう一つはしっかりと心身を休ませるという方向性です。

どちらの方向性が適切なのかはその時の状態に依存します。

ここではどのような時にどちらの方向性をとるのがいいのかをご紹介します

心身を休ませるという方向性をとる場

基本的にうつ病を発症した後は、心身を休ませる方向性が治療の中心となります。

心身をきちんと休ませ、枯渇してしまったエネルギーを溜めるというのがこの方向性の主旨となります。

ですのでこの時に用いられる薬は、SSRIやNaSSAなどの不安や焦燥感を取り除き、安心して休めるようにするような薬が使われることが多いです。

また、加えて睡眠の質を上げるために睡眠薬を使ったり、日中の不安を取り除き、心身を休みやすい状態にするために抗不安薬もよく使われます。

過ごし方としても、ひたすら休息を取り、よく寝て、よく食べて、枯渇してしまったエネルギーを取り戻していくということが基本になります。

うつ病治療にいては、この「心身を休ませる」という方向性が9割くらいを占めるのではないかと思います。

意欲ややる気を上げ、活動性を上げるという方向性を取る場

上述のように、うつ病の治療にいては心身を休ませるという方向性をとり、失われたエネルギーを溜めていくということが基本になります。

しかしながら、以下のような場には、意欲ややる気を持ち上げ、活動性を上げるということも行われます。

  1. 一定期間しっかりと休み、エネルギーは溜まってきたものの、意欲ややる気といった部分がなかなか上がってこない場
  2. 仕事をしながらうつ病の治療をしてり、働き続けるために活動性を上げる必要がある場

1の場には散歩や水泳などの体を動かす活動をすることにより、意欲ややる気が回復してくることもありますが、手っ取り早く薬が処方される場もあります。

2の場に活動性を上げるのは、個人的にはギャンブルのようであまりよくない方向性のように思えるのですが(活動性を無理に上げないと継続できないような状態は既に破たんしている可能性が高い)、このような場にも持ち上げるための薬が処方される場があります。

この1,2ような場合には以下のような薬が処方されることが多いようです。

これらの上げる系の薬を使うことで、働けるようになったり、また働き続けられるようにしようというのが持ち上げる方の治療の意図になります。

まとめ

うつ病治療の基本はしっかり休める状態を作り、失われたエネルギーをしっかりと溜めていくことです。

そのため、治療の基本的な方向性としては前者のしっかり休ませる方向性ということになります。

しかしながら、によっては意欲ややる気といった部分を上げていく必要があるため、そのような場には上記のように状態を「上げる」効果を持つ抗うつ剤や抗精神病薬などが使われることがあります。

つまり、休むことを基本としながらも、必要に応じて「上げる」ということも行っていくというのが、大まかなうつ病治療の進め方ではないかと思います。

私自身の経験でも、多くの期間は休ませる方向の薬を使っていますが、場合に応じて持ち上げる方向性の薬も必要に応じて使うというような棲み分けをしています。

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