うつ病に旅行はよくないのか。それは体調の回復度合いと滞在方法による

夕焼けの空一般的にうつ病で旅行に行くことはよくないと言われています。

旅行というのは心身に負担を掛け、また環境の変化もうつ病によくないと言われているためです。

しかしながら、一方で旅行に行くことにより気分転換を図ることができ、回復にも貢献することもあります。

個人的にはうつ病だからいい、ダメというわけではなく、あくまでもその時の回復度合いや状態が大切だと思っています。

ここではうつ病で旅行に行くことの是非と、旅行に必要な回復度合いをご紹介します。

うつ病だと旅行を控えた方がいいという考えの背景

うつ病を患っている場合、旅行を控えた方がよいという意見があります。

その背景には以下のようなものが挙げられます。

  • 旅行はエネルギーを消耗し、症状を悪化させる
  • 未知の地に行くことは脳を疲れさせ、うつ病にネガティブに働く
  • 環境の変化によりうつ病を悪化させる

確かにこれらの考えには一理あります。

基本的に旅行というのは体力を消耗しますし、環境変化も脳に負担を掛けるものです。

しかしながら、うつ病だと常に旅行に行くことがネガティブに働くかというと必ずしもそうではありません。

旅行に行ってもよいかどうかは、回復度合い及びその時の状態に依存します。

旅行に行っても大丈夫かどうかの目安

一般的にうつ病は時間とともに回復していきます。

そしてその回復には以下の3つのステップが存在します。

  • 急性期:最も症状の重く、辛い時期
  • 回復期:徐々にできることが増え、回復を実感できる時期
  • 社会復帰準備期:社会復帰に向けて、生活リズムや体力を整える時期

順番としては、急性期⇒回復期⇒社会復帰準備期と進んでいくことになります。

急性期には絶対に旅行はダメ

これら3つのステップの中で、絶対に旅行に行ってはいけないのは急性期です。

この時期は枯渇したエネルギーを回復させるため、ひたすら寝て横になり、とにかく安静に過ごすことが第一です。

もしこの時期に無理に旅行にいってしまうと、せっかく溜まってきたエネルギーを使い果たしてしまい、状態が逆戻りしてしまいます。

この時期はとにかく余計なことはせず、エネルギーの消耗を抑えることが大切です。

回復期もまだリスクがある

回復期になると、エネルギーが溜まってくると同時に意欲も上がってくることが多いため、旅行に行きたくなることがあります。

しかしながら、回復期はまだまだ自分の気持ちに体の状態が付いて行っていないことが多いです。

そのため、この時期に旅行に行くことはかなりのリスクを伴います。

例えば、ある程度回復したから大丈夫だろうと思って旅行に行ってみたものの、目的地に到着したらエネルギーを使い果たしてしまい、動けなくなるということも多々あります。

この時期はできることが増えてくるため、特に旅行好きな人が旅行に行きたくなる気持ちはよくわかります。

しかし、旅行というのは想像以上に体力を消耗し、心身に負担を掛けるものです。

回復期においても、旅行に行きたくなっても気持ちをぐっとこらえ、療養に専念することが大切です。

ですのでこの時期においても、旅行は控えた方が無難です。

社会復帰準備期になると旅行は可能になる

社会復帰準備期というのは、状態が概ね安定し、社会復帰に向けて準備を進める時期になります。

この時期になると、体力的にも精神的にもかなり安定し、楽になってきます。

この社会復帰準備期においては旅行に行くことは可能であると思います。

もちろんこの時期においても体調の良し悪しがあるため、いつでも大丈夫というわけではありませんが、基本的に体調が安定しているという意味で旅行に行くことに問題はないと思います。

既に述べたように、旅行というのはかなり心身に負担を掛けるため、かなり回復度合いが高まらないと旅行を楽しむことはできません。

一方で社会復帰準備期というのは、体力がしっかり戻っていることを前提として、社会復帰に向けて準備を進める時期になりますので、状態は発症前にかなり近くなっています。

ここまできてようやく旅行は無理なく行くことができ、かつ楽しむことができるようになります。

望ましい旅行の形態

社会復帰準備期になると旅行に行くことが可能になると述べましたが、旅行の仕方には注意する必要があります。

海外旅行はリスクが高い

まず、行く場所は海外ではなく国内にすべきです。

言うまでもなく海外に行くのはとても疲れます。

2時間前のチェックイン、長い飛行時間、日本語があまり通じない環境、慣れない食事などなど、どれをとっても疲弊するようなことばかりです。

いくらある程度回復したからといっても、エネルギーの消耗が一定レベルを超えると途端に体調は悪くなってしまいます。

そして体調が悪くなったときに、言葉もよく通じない海外で時間を過ごすということはそれだけでもかなりのストレスになります。

このように、海外旅行に行くことはかなりリスクが高いため、おすすめしません。

もちろんうつ病になったら一生海外に行けないという意味ではなく、もっと時間をかけて体調を回復させ、完治したような状態になってから海外は行くべきです。

一か所滞在型がいい

また、旅行の仕方にも注意する必要があります。

例えば国内旅行をするとしても、ヒッチハイクで全国を回るというようなヘビーな旅行は絶対にダメです(わざわざそんなことをする人はいないと思いますが・・・)

そこまで行かなくても、例えば北海道一周ドライブのような、いろいろな場所を周遊するような形態はとても疲れるためおすすめできません。

やはり旅行形態として一番いいのは一か所滞在型です。

できるだけアクセスがよく、移動に負担のかからない場所でかつのんびり過ごせる所が最適です

あまり体力を消耗せずに滞在先に行き、そこでのんびり過ごし、温泉にでも入ってリフレッシュする。

このような旅行の過ごし方がうつ病を患う人にとっては最適ではないかと思います。

かつて急性期に旅行に行き旅先で寝込んだ

私の経験で言うと、かつて急性期に旅行に行ったことがあります(振り返ってみると発症するかしないかのギリギリくらいの時期だったと思います)

もちろん急性期にもかかわらず旅行に行きたくなったわけではなく、旅行を予約したものの、その後うつ病を発症してしまい、どうするか迷った挙句に無理やり行ってみたというのが実態です。

そして結論から言うと、体調を相当悪化させることになりました。

まず旅先に行くまでがとても大変で、まさに地を這うような気持で目的地に向かいました。

そして滞在先に着くとそこで力尽き、ずっと寝込んでいました。

帰りも地を這うように帰ってきて、帰宅後はベッドに倒れ込みました。

そしてその後数日間ずっと寝たきりになりました。

このように急性期において旅行に行くことは百害あって一利なしです。

旅行を楽しむどころか、苦行以外の何物でもありません。

急性期において旅行に行くことは絶対に控えましょう。

社会復帰準備期の旅行はリフレッシュできた

社会復帰準備期においても旅行に出かけたことがあります。

この時は上記の急性期の時の経験とは違い、十分な体力がある状態でしたので旅行を楽しみリフレッシュすることができました。

旅先で温泉に浸かり、自然の景色を眺め、新鮮な空気を吸い、非日常的な時間を楽しむことができました。

そして、心身をリフレッシュさせることにより、その後の回復にもプラスに働いたように思います。

このようにうつ病を患っている場合、時期によって旅行は毒にも薬にもなるため、自分の回復度合いを見極めることがとても重要であると思います。

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