セルシン(一般名:ジアゼパム)は抗不安薬と呼ばれるカテゴリーに属する薬です。
抗不安薬とは、精神安定剤とも呼ばれ、不安や緊張などを和らげる効果のある薬です。
セルシンはかつては非常によく使われ、現在でもなお現役の薬です。
かつて、そわそわしたり、落ち着かないといった症状が出ていたときに使っていました。
ここではセルシンの効果・副作用と、実際に使ってみた体感をご紹介します。
なお、セルシンとホリゾンは名前こそ違いますが、中身は同じ薬になりますので、ここでは表記をセルシンに統一します。
セルシン(ホリゾン)の効果と副作用
セルシンの効果
セルシンはベンゾジアゼピン系と呼ばれるカテゴリーに属する抗不安薬です。
ベンゾジアゼピン系というのは、現在主流として使われているカテゴリーになります。
発売されたのは1964年と50年以上前になり、大変歴史のある薬です。
かつては抗不安薬としてはトップレベルによく使われていた薬になります。
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬の元祖はバランスという薬ですが、その後に主力となったのがこのセルシンです。
そして、発売から50年以上経過した現在でも処方される機会があります。
セルシンの半減期(血中濃度が半分になるまでの時間)は50時間程度で、長期作用型の抗不安薬に属します。
半減期が長いため、一度服用すると効果は1日中持続します。
お薬110番には効果は以下のように記載されています。
このお薬は、おだやかな作用の心の安定薬です。
不安や緊張感をやわらげ、気持ちを落ち着かせます。
神経症やうつ病など精神的な不具合にはもちろん、心身症のような体の不調が前面にでる病気にも使われます。
穏やかに作用し、不安や緊張を和らげる効果があるという記載になっています。
セルシンの副作用
副作用については以下のように記載されています。
この系統の優れた特徴として「安全性が高い」ということがあげられます。
重い副作用はほとんどありません。
比較的多いのは、眠気、ふらつき、けん怠感、脱力感などです。
安全性が高く、重い副作用はほとんどないという記載になっています。
一般的なベンゾジアゼピン系の薬と同等の副作用の記載になっています。
セルシンを使ってみた体感
不安を感じた時の頓服として使用
セルシンはそわそわしたり、不安を感じたり、焦燥感を感じた時のための頓服薬としてかつて処方されました。
実際に使ってみた体感としては、飲んで少しすると頭がぼんやりとしてきます。
またそれと同時に眠気も感じます。
脳全体の機能が低下して、全体的にぼーっとした感じといったところでしょうか。
その為、そわそわしたり、焦燥感といった感覚が麻痺し、低減されたように感じます。
効いている時間はかなり長く、一度使うとその日はずっと頭がぼーっとしたような状態が続きます。
キレはよくないがじわじわと長く効く
効き方の感覚としては、ワイパックスやデパスのように短時間ではっきりと効果を実感するのではなく、じわじわと長時間効き続けるという感じです。
他の抗不安薬では、メイラックスと似ている印象があります。
ですので、突発的な不安に対処するのではなく、ぼんやりと続く不安に対処する効果に優れた抗不安薬と言えるのではないかと思います。
また、長時間効果が持続することから、心身を休みやすい状態にし、しっかりと休みを取るための薬としても優れているというのが個人的な感想です。
悪夢を軽減するという効果
セルシンの不思議な効果の1つに悪夢を軽減するというものがあります。
化学的な根拠は(おそらく)ないのですが、経験的にセルシンは悪夢を軽減することが知られています。
マイスリーやハルシオンなどの長短時間型の睡眠薬は悪夢を見やすいと言われていますが、類似のベンゾジアゼピン系のセルシンではその逆の効果があるというのは不思議な話です。
理由はわからないけどなぜか効く、というのは、脳という複雑な臓器に作用する精神科の薬ならではの事象のような気がします。
医療ドラマで出てくる「ジアゼパム」の正体
医療ドラマを見ていると、しばしば「ジアゼパム」という言葉が出てきます。
例えば、緊急の患者が運ばれてきたとき、
「ジアゼパム5mg投与して!」
などという会話が出てくることがあります。
このジアゼパムの正体はまさにここで紹介しているセルシンのことです。
なぜ緊急の患者に投与されているかというと、セルシンは麻酔前に投与されることがしばしばあるためです(麻酔前だけでなく、けいれんなどを抑えるために投与される場合もあります)
ちょっとした豆知識ですが、知っているとドラマをより一層楽しめるかもしれません。
また、最近のドラマでもジアゼパムはよく登場することからも、現在でもなお使われ続けている薬であるということがよくわかります。
セルシンを使った感想
ここでは、セルシンを使った感想をいくつかご紹介します。
穏やかに効く
不安になったときや、緊張して胃痛がしたり、喉の違和感が強いとき、頓服で服んでいます。比較的即効性があって、穏やかに効いてくれる感じがします。
私も頓服として使っていましたが、この感想はとてもしっくりきます。
穏やかに効くという表現が合った薬ではないかと思います。
肩こりに効く
不安に対しても、筋弛緩剤としても使えるので、困ったときには最初に使います。重症の肩こり・首の痛みには頓服として使用
ベンゾジアゼピン系の薬には筋弛緩作用といって筋肉の緊張やこりを和らげる効果があります。
そのため、このように肩こりや首の痛みなどにも使われるようです。
バランスのよい薬
若干の眠気、抗不安作用、筋弛緩作用がありますが、どれも強すぎず弱すぎず、なかなかバランスのとれた薬です。 後発のデパスなどに比べると、効果発現はシャープさに欠けますが、それゆえに安心して使える薬です。
効果のバランスがよく、安心して使える薬とのことです。
長く歴史があり、広く使われてきたことから、安心感のある薬と言えそうです。
また、デパスに比べるとマイルドというのはその通りで、シャープさに欠ける反面、離脱症状や依存性といった問題は軽減しているように感じます。
おかしさがこみあげる
イライラしていたので、一度だけセルシンを服用したことがあります。イライラが消えて、何もないのに楽しいというか、おかしさがこみ上げて、逆に怖くなりました。
いわゆるトランス状態が起こったようです。
抗不安薬や睡眠薬は基本的に状態を下げる(心身を休みやすくする)ものですが、人によって、また薬によってはテンションが上がるということがあるようです。
セルシンではこのような話はあまり聞かないのですが、睡眠薬のハルシオンなどでは昔よくハイになるという話を聞きました。
このようなよからぬ作用が発生する可能性があることから、特にお酒と同時に服用することはNGです。
参考文献:精神科のくすりを語ろう
セルシンのまとめ
以上、セルシンの特徴をまとめると、以下のようになります。
- 長時間作用する抗不安薬
- 一度服用すると、効果は1日中持続する
- 効果のキレはよくないが、じわじわと長時間効き続ける
- 発売が古く、かつては抗不安薬の主力として使われていた
- 悪夢を軽減する効果がある