【2018年版】よく使われている抗うつ剤ランキング

空と雲

どんな抗うつ剤がよく使われているのだろうか?

自分の使っている抗うつ剤はよく使われているものなのだろうか?

このような疑問に答えるため、抗うつ剤の使用状況に関するアンケート調査を行い、どの抗うつ剤がよく使われているかを調べてみました。

ここではこのアンケート調査の結果による、よく使われている抗うつ剤ランキングをご紹介します。

調査対象の抗うつ剤

調査対象とした抗うつ剤は以下の通りです。

なお、全ての抗うつ剤を対象とするのではなく、ある程度使われていると思われる抗うつ剤に絞ってアンケート調査を行っています。

三環系

四環系

SSRI

SNRI

NaSSA

全部で14種類の抗うつ剤が対象です。

よく使われている抗うつ剤ランキング

アンケート調査により判明した、よく使われている抗うつ剤ランキングは以下のようになります。

順位 抗うつ剤 得票率
1位 レクサプロ 17%
2位 サインバルタ 17%
3位 リフレックス、レメロン 12%
4位 ジェイゾロフト 10%
5位 パキシル 10%
6位 イフェクサー 7%
7位 アモキサン 6%
8位 ルボックス、デプロメール 6%
9位 トレドミン 5%
10位 トリプタノール 3%

  ランキングへのコメント

1位:レクサプロ

レクサプロが堂々の1位です。

2位のサインバルタとはわずか僅差でした。

レクサプロは2011年に発売された、SSRIの中では最も新しい抗うつ剤です。

SSRIの中でも副作用の少なさに定評があり、また確かな抗うつ作用も持ち合わせているため、効果と副作用のバランスに優れた抗うつ剤です。

抗うつ剤の有効性と副作用を調べたMANGA Studyという研究では、レクサプロは有効性で2位、忍容性で1位となっており、総合的にはもっとも効果と副作用のバランスに優れた抗うつ剤となっています。

臨床の現場での評判も良く、発売直後からかなりよく使われてきているようです。

昨年は3位という結果でしたが、ここへきて僅差ながら1位となりました。

現在では、うつ病と診断され、しっかり休むという方針を取る際には基本的にこのレクサプロが第一選択薬となっているようです(医師談)

昨年よりも順位が上がっているところから見ても、新しくより効果と副作用のバランスのとれた抗うつ剤が登場しない限り、しばらくこのレクサプロが1位に君臨し続けるのではないかと考えられます。

2位:サインバルタ

サインバルタがわずか僅差で2位です。

昨年は1位だったのですが、今年はレクサプロに抜かれるという結果になりました。

ただこれはサインバルタが使われる頻度が減ったということではなく、レクサプロの使用される頻度が増えたと解釈することができます。

サインバルタは臨床現場での評判もよく、セロトニン、ノルアドレナリンの両者にしっかり効くマルチタスクな抗うつ剤です。

日本のみならず世界的にもとてもよく使われている抗うつ剤です。

SSRI登場以降、セロトニンへの働きかけが中心の抗うつ剤が多かったのですが、このサインバルタはノルアドレナリンにもしっかり働きかけ、意欲ややる気を改善させるという貴重な効果を持ちます。

SSRI、SNRIの中で、意欲ややる気を持ち上げる効果がある程度しっかりあるのはこのサインバルタとイフェクサーくらいではないでしょうか。

そして両者では効果と副作用のバランスからサインバルタの方が一般的には優れていると言われています。

日本での発売は2010年とまだ新しい部類に入る抗うつ剤ですが、既に定番中の定番となっている抗うつ剤です。

3位:リフレックス、レメロン

レクサプロ、サインバルタとは一線を画すNaSSAというカテゴリーに属するリフレックス/レメロンが3位となりました。

SSRI、SNRIとはそもそもの作用プロセスが異なり、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害するのではなくそもそもの量を増やすというユニークな作用プロセスを持ちます。

一方で副作用もユニークで、眠気や便秘、体重増加といったSSRI、SNRIとは異なる副作用が出現します。

そのため、胃腸の不具合や食欲不振などの副作用が出現しやすいSSRIやSNRIが使えないという人は、このリフレックス/レメロンと相性がいい可能性があります。

また、上記のようにSSRI、SNRIとは作用プロセスが異なるため、特にNaSSAとSNRIを併用して、相乗効果を狙うことをカリフォルニアロケットといったりします。

具体的にはリフレックスとサインバルタ、リスレックスとイフェクサーなどの組み合わせが有名ですが、アンケート調査ではリフレックスとレクサプロという組み合わせで使っている方もいました。

このようにリフレックス/レメロンはユニークな特徴を持つ抗うつ剤ですので、今後も一定の割合で使われ続けていくのではないかと思います。

なお、ここまでの1位から3位までで得票数の約半数を占め、現在抗うつ剤を使っている方の半数は、レクサプロ、サインバルタ、リフレックスのいずれかを使っていることになります。

この3つが、現時点でのよく使われている抗うつ剤の3強と言ってしまってもよいかもしれません。

4位:ジェイゾロフト

SSRIの代表的な薬の1つであるジェイゾロフトが4位となりました。

SSRIの中ではレクサプロに続く、2番目の順位です。

こののジェイゾロフトはSSRIの中では日本で3番目に発売された抗うつ剤です。

レクサプロのところで述べましたが、MANGA Studyという12種類の抗うつ剤の有効性と忍容性(副作用の大きさ)を調べた研究では、ジェイゾロフトは有効性が4位、忍容性は2位と高い評価を得ています。

つまり、レクサプロほどではありませんが、ジェイゾロフトも効果と副作用のバランスが優れた抗うつ剤ということになります。

以前はもう少し上の順位にいたのですが、年々レクサプロの存在感が増していることもあり、今年は4位という結果になりました。

5位:パキシル

おそらくSSRIの中で最も有名な抗うつ剤ではないでしょうか。

SSRIの中でも抗うつ作用が強いことが特徴ですが、一方で副作用が出やすかったり、離脱症状が起こり易いというデメリットも存在する抗うつ剤です。

SSRIの中ではややハイリスク、ハイリターンの特徴を持つといったところでしょうか。

SSRIとしては日本では2番目に発売された抗うつ剤で、2000年に発売されています。

発売された当初は、それ以前に発売されたルボックス/デプロメールより優れた抗うつ作用があることから、よく使われたようです。

一方、ここ数年はより副作用や離脱症状などのリスクの少ないレクサプロやジェイゾロフトに押され気味です。

ただ、5位という順位から見ても、依然としてよく使われている抗うつ剤の1つと言えます。

6位: イフェクサー

日本では2015年に発売された新しい抗うつ剤ですが、世界的には1990年代から使われている歴史のある抗うつ剤です

サインバルタに次いで発売されたSNRIですが、世界的には既にイフェクサーよりサインバルタの方がよく使われていますので、今後日本で使われる頻度が増えるかどうかは未知数なところがあります。

ただ、昨年の8位から順位は上げてきていますので、徐々に日本でも定着しつつあると見ることもできます。

SNRIの中ではサインバルタの方が主流であり続けると思いますが、抗うつ剤には個人差がありますので、一定の割合でイフェクサーも使われ続けるのではないかと思います。

7位:アモキサン

最も古いカテゴリーである三環系の抗うつ剤アモキサンがこの順位に入ってきました。

三環系の抗うつ剤は確かな効果を持つ一方、重い副作用も持つため、現在では第一選択薬として使われる頻度はめっきり減ったと言われています。

しかしながら、現在主流であるSSRIやSNRIなどで効果が不十分な場合には、現在でもわりと使われるケースがあるようです。

アモキサンは特に意欲ややる気を持ち上げる効果に優れた抗うつ剤ですので、ある程度エネルギーは溜まってきたものの、意欲ややる気がどうしても持ち上がってこないというような方に処方されているケースが多いのではないかと想像します。

いずれにせよ、未だに三環系の抗うつ剤が使われるケースはそれなりにあるということがこのアモキサンの順位から言えるかと思います。

8位:ルボックス、デプロメール

日本で最初に発売されたSSRI。

かつてはよく使われていた時期もありましたが、同じカテゴリーのパキシル、ジェイゾロフト、レクサプロの発売により、徐々に使われる頻度が減ってきています。

SSRIの中では、効果はマイルドな一方、副作用もややマイルドな部類というローリスク、ローリターン的な抗うつ剤に位置します。

そのため、このプロファイルが合う方には依然として使われ続けるのではないかと考えられます。

9位:トレドミン

SNRIの中で最も早く日本で発売されたトレドミンがこの順位です。

SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの両方に働きかけ、心身を休みやすい状態にするとともに、意欲ややる気を上げるという特徴がありますが、このトレドミンはいかんせん効果が弱いです。

そのため、SNRIの中ではより効果がしっかりとしたサインバルタやイフェクサーの方が使われやすい傾向があります。

その結果、このような順位に落ち着いたと思われます。

10位: トリプタノール

現存する抗うつ剤の中で最強の抗うつ作用を持つと言われている抗うつ剤。

一方で副作用の重さも最強と言われており、まさにハイリスク、ハイリターンを地で行く、古典的な三環系の抗うつ剤。

その副作用の重さから、現在では処方される頻度は多くないようですが、一方で難治性や他の抗うつ剤との相性が合わない場合には今でも処方されるケースがあるようです。

このトリプタノールが現在でも10位に入ってくるあたりに、うつ病治療の難しさを感じます。

ランキングへの感想

よく使われている抗うつ剤ランキングは、全体的には予想通りの結果でしたが、いくつかおやっと思った点もあります。

まず、7位に三環系のアモキサンが入っていること。

アモキサンはSSRIが登場するまでは主力として使われていた抗うつ剤ですが、その後使用頻度はだいぶ減った印象がありました。

しかしながら、未だに7位というところに少し驚きを覚えました。

やはり三環系の強い効果というのは今でも一定の人に必要とされているのではないかと感じます。

10位にトリプタノールが入っているという点についても同様の理由で驚かされました。

またSSRIに関しては、昨年はジェイゾロフト、レクサプロ、パキシルがほとんど同率でしたが、今年になってからレクサプロが頭一つ抜けてきました。

この動きは予想通りではありましたが、抗うつ剤の進歩を感じるようで少しうれしさも感じました。

抗不安薬のランキングではほとんど新しい薬が上位に入ることはないのですが、抗うつ剤に関しては少しづつ進歩しているなと実感できる結果となっています。

抗うつ剤は数年に1度のペースで新薬が出てきていますので、今後もよりよい抗うつ剤の登場を期待しています。

なお、睡眠薬、抗不安薬(精神安定剤)についても同様の調査を行っていますので、ご興味がありましたら以下の記事をどうぞ。

参考記事:よく使われている睡眠薬ランキング

参考記事:よく使われている抗不安薬(精神安定剤)ランキング

どのカテゴリーの抗うつ剤がよく使われているか

今回の調査では、合わせてどのカテゴリーの抗うつ剤がよく使われているかも調べましたので番外編としてご紹介します。

カテゴリー 得票率
SSRI・SNRI 77%
NaSSA 5%
三環系 15%
四環系 3%

抗うつ剤を使っている方のうち、実に4人に3人程度がSSRI、SNRIを使っています。これを見ると、やはりSSRI、SNRIが主流として使われていることがよくわかります。

一方で、最も古い三環系も15%と未だにそれなりに使われているという結果になっています。

やはり抗うつ剤には相性がありますので、SSRIやSNRI、NaSSAが合わなかったり、効果が十分でないような場合には、三環系の抗うつ剤の出番はまだまだあるのではないかと思われます。

いずれにせよ、治療の柔軟性を高めるという意味では、多くのカテゴリーの抗うつ剤が存在することはよいことではないかと思います。

2017年版のランキング

ご参考までに、昨年のよく使われている抗うつ剤ランキングを以下にご紹介します。

こちらを見ていただくと、昨年と今年とで何が変わったのかがわかりやすくなります。

順位 抗うつ剤 得票率
1位 サインバルタ 20%
2位 ジェイゾロフト 14%
3位 レクサプロ 13%
4位 パキシル 13%
5位 リフレックス、レメロン 9%
6位 アモキサン 9%
7位 ルボックス、デプロメール 7%
8位 イフェクサー 5%
9位 トリプタノール 4%
10位 アナフラニール 3%

ランキングの変動まとめ

簡単にまとめますと、サインバルタは昨年1位でしたが今年は2位になり、レクサプロが3位から1位に上がっています。

リフレックス/レメロンが5位から3位に上がり、ジェイゾロフト、パキシルが少しづつ順位を落としています。

イフェクサーは8位から6位へと順位を上げています。

こうしてみると、新しい抗うつ剤ほど順位が上がった傾向が見て取れます。

やはり新しい薬ほど徐々に使用頻度が増えていきますので、今後もこの傾向は続くのではないかと予想されます。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらも読まれています
こちらも読まれています