【2017年版】よく使われている抗うつ剤ランキング

空と雲

どんな抗うつ剤がよく使われているのだろうか?

自分の使っている抗うつ剤はよく使われているものなのだろうか?

このような疑問に答えるため、抗うつ剤の使用状況に関するアンケート調査を行い、どの抗うつ剤がよく使われているかを調べてみました。

ここではこのアンケート調査の結果による、よく使われている抗うつ剤ランキングをご紹介します。

調査対象の抗うつ剤

調査対象とした抗うつ剤は以下の通りです。

なお、全ての抗うつ剤を対象とするのではなく、ある程度使われていると思われる抗うつ剤に絞ってアンケート調査を行っています。

三環系

四環系

SSRI

SNRI

NaSSA

全部で12種類の抗うつ剤が対象です。

よく使われている抗うつ剤ランキング

アンケート調査により判明した、よく使われている抗うつ剤ランキングは以下のようになります。

順位 抗うつ剤 得票率
1位 サインバルタ 20%
2位 ジェイゾロフト 14%
3位 レクサプロ 13%
4位 パキシル 13%
5位 リフレックス、レメロン 9%
6位 アモキサン 9%
7位 ルボックス、デプロメール 7%
8位 イフェクサー 5%
9位 トリプタノール 4%
10位 アナフラニール 3%

(全得票数163)

  ランキングへのコメント

1位:サインバルタ

サインバルタが堂々の1位。

臨床現場での評判もよく、セロトニン、ノルアドレナリンの両者にしっかり効くマルチタスクな抗うつ剤。

日本のみならず世界的にもとてもよく使われている抗うつ剤です。

SSRI登場以降、セロトニンへの働きかけが中心の抗うつ剤が多かったのですが、このサインバルタはノルアドレナリンにもしっかり働きかけ、意欲ややる気を改善させるという貴重な効果を持つ抗うつ剤です。

SSRI、SNRIの中で、意欲ややる気を持ち上げる効果がある程度しっかりあるのはこのサインバルタとイフェクサーくらいではないでしょうか。

そして両者では効果と副作用のバランスからサインバルタの方が一般的には優れていると言われています。

日本での発売は2010年とまだ新しい部類に入る抗うつ剤ですが、既にも最も多く使われる抗うつ剤となっています。

2位:ジェイゾロフト

2位から4位までは僅差で、いずれもSSRIがランクインしました。

2位のジェイゾロフトはSSRIの中では日本で3番目に発売された抗うつ剤です。

MANGA Studyという12種類の抗うつ剤の有効性と忍容性(副作用の大きさ)を調べた研究がありますが、その中でジェイゾロフトは有効性が4位、忍容性は2位と高い評価を得ています。

このように、効果と副作用のバランスが優れており、よく使われているというのも納得できる抗うつ剤です。

3位:レクサプロ

レクサプロは2011年に発売された、SSRIの中では最も新しい抗うつ剤です。

SSRIの中でも副作用の少なさに定評があり、また確かな抗うつ作用も持ち合わせているため、効果と副作用のバランスに優れた抗うつ剤です。

ジェイゾロフトでも取り上げたMANGA Studyでは、レクサプロは有効性で2位、忍容性で1位となっており、総合的にはもっとも効果と副作用のバランスに優れた抗うつ剤となっています。

そのため、発売直後からかなりよく使われているようです。

正直私はこのレクサプロがSSRIの中では1位になるのではないかと思っていましたが、今回のアンケートでは僅差でジェイゾロフトの後塵を拝すことになりました。

将来的にはSSRIの主力はこのレクサプロになるのではないかと個人的には予想しています。

4位:パキシル

おそらくSSRIの中で最も有名な抗うつ剤ではないでしょうか。

SSRIの中でも抗うつ作用が強いことが特徴ですが、一方で副作用が出やすかったり、離脱症状が起こり易いというデメリットも存在する抗うつ剤です。

SSRIの中ではややハイリスク、ハイリターンの特徴を持つといったところでしょうか。

SSRIとしては日本では2番目に発売された抗うつ剤で、2000年に発売されています。

発売された当初は、それ以前に発売されたルボックス/デプロメールより優れた抗うつ作用があることから、よく使われたようです。

しかしながら、ここ数年はより副作用や離脱症状などのリスクの少ないレクサプロに押され気味です。

5位:リフレックス、レメロン

現在主流のSSRI、SNRIとは一線を画すNaSSAというカテゴリーに属する抗うつ剤がリフレックス/レメロンです。

SSRI、SNRIとはそもそもの作用プロセスが異なり、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害するのではなくそもそもの量を増やすというユニークな作用プロセスを持ちます。

一方で副作用もユニークで、眠気や便秘、体重増加といったSSRI、SNRIとは異なる副作用が出現します。

そのため、胃腸の不具合や食欲不振などの副作用が出現しやすいSSRIやSNRIが使えないという人は、このリフレックス/レメロンと相性がいい可能性があります。

また、上記のようにSSRI、SNRIとは作用プロセスが異なるため、特にNaSSAとSNRIを併用して、相乗効果を狙うことをカリフォルニアロケットといったりします。

具体的にはリフレックスとサインバルタ、リスレックスとイフェクサーなどの組み合わせが有名ですが、アンケート調査ではリフレックスとレクサプロという組み合わせで使っている方もいました。

このようにリフレックス/レメロンはユニークな特徴を持つ抗うつ剤ですので、今後も一定の割合で使われ続けていくのではないかと思います。

6位:アモキサン

最も古いカテゴリーである三環系の抗うつ剤アモキサンがこの順位に入ってきました。

三環系の抗うつ剤は確かな効果を持つ一方、重い副作用も持つため、現在では第一選択薬として使われる頻度はめっきり減ったと言われています。

しかしながら、現在主流であるSSRIやSNRIなどで効果が不十分な場合には、現在でもわりと使われるケースがあるようです。

アモキサンは特に意欲ややる気を持ち上げる効果に優れた抗うつ剤ですので、ある程度エネルギーは溜まってきたものの、意欲ややる気がどうしても持ち上がってこないというような方に処方されているケースが多いのではないかと想像します。

いずれにせよ、未だに三環系の抗うつ剤が使われるケースはそれなりにあるということがこのアモキサンの順位から言えるかと思います。

7位:ルボックス、デプロメール

日本で最初に発売されたSSRI。

今となっては効果と副作用という観点でより優れた抗うつ剤があるため、この辺りの順位に落ち着いたと思われます。

SSRIの中では、効果はマイルドな一方、副作用もややマイルドな部類というローリスク、ローリターン的な抗うつ剤と言えるかもしれません。

8位: イフェクサー

日本では2015年に発売された新しい抗うつ剤ですが、世界的には1990年代から使われている歴史のある抗うつ剤です

サインバルタに次いで発売されたSNRIですが、世界的には既にイフェクサーよりサインバルタの方がよく使われていますので、今後日本で使われる頻度が増えるかどうかは未知数なところです。

9位: トリプタノール

現存する抗うつ剤の中で最強の抗うつ作用を持つと言われている抗うつ剤。

一方で副作用の重さも最強と言われており、まさにハイリスク、ハイリターンを地で行く、古典的な三環系の抗うつ剤。

その副作用の重さから、現在では処方される頻度は多くないようですが、一方で難治性や他の抗うつ剤との相性が合わない場合には今でも処方されるケースがあるようです。

10位:アナフラニール

古典的な三環系に属する抗うつ剤。

三環系の抗うつ剤はノルアドレナリンに優位に働きかける効果のある薬が多いのですが、このアナフラニールはセロトニンに優位に働きかけるという三環系の中ではやや特殊な抗うつ剤です。

そういう意味では、三環系の中では現代的な抗うつ剤といえるかもしれません(副作用は全く現代的ではないですが)

全体的な感想

よく使われている抗うつ剤ランキングは、全体的には予想通りの結果でしたが、いくつかおやっと思った点もあります。

まず、6位に三環系のアモキサンが入っていること。

アモキサンはSSRIが登場するまでは主力として使われていた抗うつ剤ですが、その後使用頻度はだいぶ減った印象がありました。

しかしながら、未だに6位というところに少し驚きを覚えました。

やはり三環系の強い効果というのは今でも一定の人に必要とされているのではないかと感じます。

またSSRIはジェイゾロフト、レクサプロ、パキシルがほとんど同率という結果になりました。

現在主流のSSRIですが、その中で何を使うかは現状ではかなりばらけてようです。

今後はレクサプロが頭一つ抜けるのではないかと予想していますが、その通りになるかどうかは保証の限りではありません。

全般を通して、非常に示唆に富む結果を得られましたので、今後も定期的に調査を行っていきたいと思っています。

なお、睡眠薬、抗不安薬(精神安定剤)についても同様の調査を行っていますので、ご興味がありましたら以下の記事をどうぞ。

参考記事:よく使われている睡眠薬ランキング

参考記事:よく使われている抗不安薬(精神安定剤)ランキング

番外編:どのカテゴリーの抗うつ剤がよく使われているか

今回の調査では、合わせてどのカテゴリーの抗うつ剤がよく使われているかも調べましたので番外編としてご紹介します。

カテゴリー 得票率
SSRI・SNRI 77%
NaSSA 5%
三環系 15%
四環系 3%

これを見ると、やはりSSRI、SNRIが主流として使われていることがよくわかります。

抗うつ剤を使っている方のうち、実に4人に3人程度がSSRI、SNRIを使っています。

一方で、最も古い三環系も15%と未だにそれなりに使われているという結果になっています。

やはり抗うつ剤には相性がありますので、SSRIやSNRI、NaSSAが合わなかったり、効果が十分でないような場合には、三環系の抗うつ剤の出番はまだまだあるのではないかと思われます。

いずれにせよ、治療の柔軟性を高めるという意味では、多くのカテゴリーの抗うつ剤が存在することはよいことではないかと思います。

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