【2019年版】よく使われている睡眠薬ランキング

リラックス

睡眠薬は、その名の通りなかなか寝付けなかったり、途中で起きてしまったりと、睡眠に支障をきたした時に処方される薬です。

この睡眠薬が処方されたときに、

「どんな睡眠薬がよく使われているのだろうか?」

「自分の使っている睡眠薬はよく使われているものなのだろうか?」

と疑問に思うことがあります。

そこで、このような疑問に答えるために、睡眠薬の使用状況に関するにアンケート調査を行い、どの睡眠薬がよく使われているかを調べてみました。

ここではこのアンケート調査の結果による、よく使われている睡眠薬ランキングをご紹介します。

調査対象の睡眠薬

調査対象とした睡眠薬は以下の通りです。

作用時間のカテゴリー別に掲載しています。

なお、全ての睡眠薬を対象とするのではなく、ある程度使われていると思われる睡眠薬に絞ってアンケート調査を行っています。

超短時間型(作用時間約5時間以内)

短時間型(作用時間5時間~10時間程度)

中時間型(作用時間10時間~24時間程度)

  • ベンザリン、ネルボン
  • ユーロジン
  • エリミン
  • ベルソムラ

長時間型(作用時間24時間以上)

  • ドラール
  • ダルメート、ベジノール
  • ソメリン

対象は全部で16種類です。

なお、デパスは睡眠薬としてもよく使われている薬ですが、抗不安薬のカテゴリーに入れていますのでここでは対象外としています。

よく使われている睡眠薬ランキング

アンケート調査により判明した、よく使われている睡眠薬ランキングは以下のようになります。

順位 抗うつ剤 得票率
1位 マイスリー 17%
2位 レンドルミン 14%
3位 ロヒプノール、サイレース 12%
4位 ルネスタ 11%
5位 ハルシオン 10%
6位 ベルソムラ 9%
7位 ロゼレム 6%
8位 ユーロジン 5%
9位 エバミール、ロラメット 5%
10位 アモバン 4%

ランキングへのコメント

1位:マイスリー

非常によく使われているマイスリーが堂々の1位です。

マイスリーは非ベンゾジアゼピン系というカテゴリーに属する、超短時間型の睡眠薬です。

効果の出現の速さと作用時間の短さから主に入眠障害に使われる薬です。

副作用も従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬に比べると少ないため、よく処方されるとてもポピュラーな睡眠薬の1つです。

精神科のみならず、内科でも「なかなか眠れない」と訴えるとよく処方される薬でもあります。

個人的には作用時間が短すぎてあまり好きではない睡眠薬なのですが(早く寝なけらばというプレッシャーにつながるため)、効果と副作用のバランスからよく使われる睡眠薬と言えます。

2位:レンドルミン

レンドルミンはマイスリーと並び、とてもポピュラーな睡眠薬で、内科で処方されるケースも多いです。

マイスリーよりは作用時間が長く、入眠障害だけではなく中途覚醒にもそれなりの効果のある薬です。

かくいう私も最初に内科で処方された睡眠薬はこのレンドルミンです。

このレンドルミンという薬の効果は賛否両論で、よく眠れるという人もいれば、全然眠れないという人もいます。

この辺りは薬との相性と、あと薬の耐性(ずっと使っていると薬が効きにくくなる)も影響しているのではないかと思います。

とにもかくにも特に初心者によく処方されやすく、軽い睡眠障害には使い勝手のいいレンドルミンが2位となりました

3位:ロヒプノール、サイレース

ロヒプノール/サイレースが3位となりました。

ロヒプノールは決してソフトな睡眠薬ではなく、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の中で最強クラスの睡眠作用を持つと言われている薬です。

作用時間がある程度長いため、中途覚醒及び早朝覚醒にも有効な睡眠薬です。

ただし、軽い睡眠障害の場合には、このロヒプノールを使うと翌日まで眠気が残ってしまうこともあります。

このようにヘビー級の睡眠薬であるにも関わらず3位になるところに、重い睡眠障害で悩む方の多さを感じずにはいられません。

いきなりこの薬を処方されるのではなく、他の睡眠薬では十分に眠れないという人が多く使っている印象があります。

その睡眠作用の強さから、しばしば犯罪などにも使用されてしまうというちょっとよくないイメージもつきまとう薬です。

なお、アメリカでは危険薬物に指定されており、持ち込みが禁止されていますので渡米される際にはご注意ください

4位:ルネスタ

ルネスタは2012年に発売された比較的新しい睡眠薬です。

非ベンゾジアゼピン系に属し、従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬に比べると副作用は低減されていると言われています。

また、このルネスタはアモバン(後述)の改良版で、副作用と(かなり強烈な)苦味が低減されているという特徴があります。

個人的には入眠障害に使う睡眠薬としては評価の高い薬なのですが、現状ではマイスリーの後塵を拝する結果となっています。

まだ新しい部類の睡眠薬であり、昨年からは順位を上げていますので、よく使われている睡眠薬の1つと言っても過言ではないかと思います。

5位:ハルシオン

かつては一世を風靡し、睡眠薬の代名詞ともなったハルシオンが5位に入ってきました。

80年代~90年代にはとてもよく処方され、睡眠障害の方以外にも出回るほどの有名な薬でした。

一方で、乱用が問題になったり、本来の意図とは違う使い方をされたりといろいろな問題が引き金にもなり、徐々に処方が減っていった薬でもあります。

現在ではハルシオンと類似の効果を持ちながら、副作用のより少ない睡眠薬がいくつかありますので処方は大分少なくなった印象があったのですが、それでも5位にランクインしました。

確かに超短時間型の中では睡眠作用が強いため、やはり今でも一定数のファンがいるということなのでしょうか。

年々徐々にランキングが下がることを予想していましたが、なかなか下がっていかないところにハルシオンの根強い人気の高さを感じます。

6位:ベルソムラ

2014年に発売された新しい睡眠薬ベルソムラが6位に入りました。

昨年より2つ順位を落としています。

昨年は順位を上げてきていましたが(4位)、この辺りが落ち着きどころなのでしょうか。

ベルソムラはオキシレン受容体拮抗薬と呼ばれる、これまでにない新しい作用プロセスを持つ睡眠薬です。

また、従来の睡眠薬は海外で使われていたものが遅れて日本でも発売されることが多かったのですが、このベルソムラに関しては日本で先行的に発売された珍しい睡眠薬です。

そのため、本当に効くのかどうか、安全性に問題がないかどうか発売前には懐疑的な声もあったようですが、蓋を開けてみるとわりとしっかりした効果があり、副作用も少なく、とてもバランスの良い睡眠薬として評価されています。

この薬にはひょっとするとベンゾジアゼピン系を上回るポテンシャルがあるのではないか?という期待もあったのですが、さすがにそこまではいかず、まあまあ使われている睡眠薬という位置づけで落ち着きそうな感じです。

7位:ロゼレム

ロゼレムは2010年に発売された比較的新しい睡眠薬です。

メラトニン受容体作動薬という他の睡眠薬とは異なる作用プロセスを持つ睡眠薬です。

ざっくり言ってしまうと、メラトニンという睡眠を促すホルモンを増やすことで自然に近い形で眠りを促すという効果を持つ睡眠薬です。

ただ、実際の効果としてはとてもマイルドで、重い睡眠障害には全く向かない睡眠薬になっています。

軽い睡眠障害や副作用の気になるお年寄りに比較的使われやすい印象があります。

また、個人的には時差ぼけの解消に重宝しています。

7位という順位から、よく使われている睡眠薬とは言えませんが、一定のニーズはある薬と言えそうです。

8位:ユーロジン

唯一中~長時間型の睡眠薬で10位以内に入ったのがこのユーロジンです。

そもそも睡眠薬というのはその名の通り睡眠用に使われるものなので、作用時間が24時間以上の睡眠薬は、睡眠以外の意図ももって処方されていると思われます。

そういった意味で純粋に睡眠薬として使われているかどうかは疑問な部分がありますが、このような睡眠薬も一部では処方されているということのようです

9位:エバミール、ロラメット

この辺りに来ると、どちらかというとあまり使われていない睡眠薬という部類といった方がいいかもしれません。

エバミール/ロラメットはベンゾジアゼピン系に属し、入眠障害及び中途覚醒に有効な睡眠薬です。

個人的にはレンドルミンと似たような効果を持つ睡眠薬という印象を持っています。

これといった特徴のない睡眠薬のためなのか、レンドルミンと効果や作用時間が重複するためなのか、9位というそれほど処方されていない部類の睡眠薬という結果となりました。

10位:アモバン

かつてはハルシオンのライバルとも目された睡眠薬です。

ハルシオンと同等の効果を持ち、副作用がより少ないというのがうりの薬ですが、かなり強い苦味があるというのが残念な特徴ともなっています。

現在ではより副作用と苦味を低減した改良版であるルネスタ(前述)がありますので、あまり使われていないということなのではないかと思います。

昨年より順位も下げてきています。

ランキングに対する感想

全般的に大きな驚きはありませんでしたが、やはりロヒプノール/サイレースが3位というところは少し驚きです。

お世辞にも優しい薬とは言えないのですが、この薬が上位に位置するところに睡眠障害で悩む方の多さを感じずにはいられません。

2014年に発売されたベルソムラですが、意外と伸び悩んでいる印象です。

臨床の現場での評価はよいようなので、もっと上位に入ってくる睡眠薬になるのではないかと思っていましたが、どうやら真ん中あたりに落ち着きそうな感じです。

医学・薬学というのは日々進歩していますので、やはり使われる薬というのも徐々に変わっていくものだと思います

そういう意味で、このような調査はとても大きな示唆を与えてくれます。

今後も1年に一回くらいのペースで同じような調査を行っていきたいと考えています。

なお、抗不安薬(精神安定剤)と抗うつ剤についても同様の調査をしていますので、ご参考までにどうぞ。

参考記事:よく使われている抗不安薬ランキング

参考記事:よく使われている抗うつ剤ランキング

どの系統の睡眠薬が使われているか

追加で、どの系統の睡眠薬が使われているかについても調査を行いましたのでご紹介します。

対象の系統は以下の通りです。

  • ベンゾジアゼピン系
  • 非ベンゾジアゼピン系
  • メラトニン系・オキシレン系
  • バルビツール酸系

よく使われている睡眠薬の系統ランキング

よく使われている睡眠薬の系統のランキングは以下のようになります。

カテゴリー 得票率
ベンゾジアゼピン系 65%
非ベンゾジアゼピン系 26%
メラトニン・オキシレン系 6%
バルビツール酸系 3%

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系が主流

やはり、これを見ると、圧倒的にベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が多いです。

この2つで全体の約9割を占めています。

メラトニン系とオキシレン系はまだそれほど多くない

新しいタイプのメラトニン系とオキシレン系の睡眠薬は、合わせて6%程度となりました。

ちなみに、メラトニン系の睡眠薬は「ロゼレム」、オキシレン系の睡眠薬は「ベルソムラ」になります。

近年ベンゾジアゼピン系/非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の副作用がしばしば問題視されている中で、徐々にシェアを伸ばしてきている印象のある系統ですが、今回の調査ではまだそれほど多くはないという結果になりました。

おそらく将来的にはもっとシェアを伸ばしていく系統なのではないかと思います。

未だにバルビツール酸系が使われている

個人的に驚きだったのは、3%と割合は多くないものの、未だにバルビツール酸系の睡眠薬が使われているということです。

バルビツール酸系の睡眠薬はその依存性の強さや、広範囲にわたる脳の機能へ影響を与えることから近年ではほとんど処方されることはないと言われていますが、実際にはわずかではありますが現在でも処方されている方がいるようです。

やはり効果という点では主流のベンゾジアゼピン系/非ベンゾジアゼピン系よりも上を行くため、重い睡眠障害を患っている方には必要ということなのでしょうか。

ちなみに私自身もイソミタールというバルビツール酸系の睡眠薬が処方されたことがありますが、その際は依存性への恐怖から使うことができませんでした・・・。

参考記事:イソミタールという睡眠薬が怖すぎて使えなかった話

総括すると、近年新しい系統の睡眠薬は出てきているものの、未だに主力はベンゾジアゼピン系/非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬という結果になっています。

過去のランキング

ご参考までに、過去のランキングを以下にご紹介します。

2018年

順位 睡眠薬 得票率
1位 マイスリー 17%
2位 ロヒプノール、サイレース 15%
3位 レンドルミン 13%
4位 ベルソムラ 12%
5位 ルネスタ 9%
6位 ハルシオン 9%
7位 ロゼレム 5%
8位 アモバン 4%
9位 ドラール 3%
10位 エバミール、ロラメット 3%

2017年

順位 睡眠薬 得票率
1位 ロヒプノール、サイレース 21%
2位 マイスリー 18%
3位 レンドルミン 17%
4位 ベルソムラ 10%
5位 ハルシオン 8%
6位 ルネスタ 8%
7位 ロゼレム 4%
8位 エバミール、ロラメット 3%
9位 アモバン 3%
10位 ドラール 3%

ランキングの変動について

こうしてみると、毎年順位はそこそこ入れ替わっていますが、薬の顔触れはほとんど同じであることがわかります。

要するに睡眠薬は使われる薬がほぼ固定されていることです。

もちろんルネスタやベルソムラといった新しい薬が発売になった時には顔触れの変動はあるのですが、なかなか新薬は出てこないため、せいぜい数年に1度くらいのイベントです。

それでも使われている薬のトレンドをとらえることにある程度意味があるとおもっていますので、気が向く限り調査は続けていこうと思います。

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