睡眠薬をなかなかやめられないと悩んでいる人は多くいます。
睡眠薬というのは使い始めのころはよく効いてくれるのですが、慣れるにしたがって効きが悪くなります。
そして、睡眠薬を使うのが当たり前という状態になると、そこからやめるのが大変になってしまいます。
なんとか無理にでもやめようとする人もいますが、無理にやめようとすると反動でより眠れなくなってしまうこともしばしばです。
睡眠薬をやめる際には、無理にやめようとせず、もう必要ないと思えるようになってから徐々にやめていくことがポイントです。
睡眠薬の依存性・耐性の問題
現在主流のベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、安全性が高く、医者の指示通り使用していれば問題ないと言われています。
一方で、よく新聞や週刊誌などにも取り上げられていますが、睡眠薬というのは使い始めると、なかなかやめにくくなるという問題点があります。
これは、睡眠薬の依存性や耐性といった性質に起因します。
依存性
依存性というのは、その名の通り、睡眠薬に依存してしまい、その薬なしではいられないという状態になってしまうことです。
タバコを吸った経験のある方であれば、体内からニコチンが抜けると体がニコチンを欲するため、タバコを吸わずにはいられないという状態をイメージするとわかりやすいかと思います。
この依存性には、大きく分けて身体的依存と精神的依存の2つが存在します。
身体的依存
身体的な依存とは、その薬をやめるとこれまで体内に存在していた成分がなくなり、それが原因で様々なよくない症状が引き起こされる状態をいいます。
例えば、動悸がしたり、不安感が強くなったり、余計な汗をかいたりといったところが代表的な症状です。
このような症状が出てしまうがために、薬をやめられないというのが身体的依存に陥っている状態です。
精神的依存
精神的な依存とは、その薬はなくても身体的には問題ないものの、精神的に「薬がないとまずいのではないか」と思ってしまい、結果として不安や不眠といった症状を引き起こしてしまうことを言います。
これに関しては、完全に心の持ちようの問題なのですが、この心の持ちようというものは実に厄介で、なかなか自分でコントロールすることが難しい側面があります。
耐性
耐性とは、その薬を使うことに体が慣れてしまい、徐々に効きが悪くなってしまうことをいいます。
そのため、効果を維持するために徐々に量を増やしていき、気が付いたらかなりの量を使わないと眠れなくなるということも起こり得ます。
耐性には個人差がありますが、やはり使う期間が長くなるにつれ、耐性がついてしまい、使用量が増える傾向にあります。
それでも必要なときは使った方がいい
このように、睡眠薬には依存性や耐性といった問題があります。
では問題があるから使わない方がいいのかというと、そういうわけではありません。
やはり、自力で眠れない時には薬の力を借りてでも眠った方が体調にプラスになりますし、人工的にでも眠ることで自然治癒力が働き、自身の状態をよりよくしてくれます。
ですので、使うべき時にはしっかりと薬を使い、きちんと睡眠を確保するということが大切です。
眠れない状態を続け、満身創痍で日々を過ごすよりはよっぽど健康的な生活が送れるようになります。
もちろん、すでに述べたように、耐性・依存性の問題はあるのですが、それはまず体調が回復してから取り組んでいくべき問題になります。
ですので、まずは必要以上に睡眠薬を怖がらずに、使うべき時はしっかり使うという姿勢が必要です。
睡眠薬をやめるタイミング
まず最初の段階として、睡眠障害に対処するため、睡眠薬を使います。
そしてある程度の期間が経つと、睡眠が安定してきます。
つまり睡眠薬を使えば十分に眠れるという状態が続きます。
さらに使い続けていると、今度は睡眠薬を使うと寝すぎてしまう、翌日まで眠気が残ってしますという状態になります。
このような状態になると、いよいよ睡眠薬を減らしたりやめたりするタイミングになります
人間の体には自然治癒力が備わっているため、睡眠障害のような一時的に心身のバランスが乱れてしまっている時には薬を必要とするのですが、そのバランスの乱れが改善するに従い、徐々に薬を必要としなくなってきます。
この薬を必要としない状態になってから、徐々に睡眠薬をやめていくというのが無理なくやめるためのポイントになります。
具体的には、眠りすぎてしまう、翌日まで眠気が残ってしまう、日中眠くなってしまうといったことがそのサインになります。
また、このような状態でなくても、もう睡眠薬がなくても大丈夫と心から思えたら、それはやめてもよいサインになります。
ただし、このような状態になったからといって、いきなりやめることにはリスクがあります。
上記のように睡眠薬には依存性・耐性の問題があるためです。
睡眠薬の減らし方
やめ方としては、まずは使っている量を半分にします。
そしてその状態で2週間ほど様子をみます。
もし減らすことで睡眠が顕著に悪化してしまった場合には元の量に戻します。
このような場合にはまだ睡眠薬を減らすのは時期尚早です。
2週間ほど様子を見て、問題がなければ更に半分に減らします。
ここでもし睡眠が悪化するようであれば元に戻します。
このように、睡眠薬の量を半分にし、2週間ほど様子を見て更にどうするかを決めていくということを繰り返します。
そして最終的に睡眠薬をゼロに持っていきます。
ここでのポイントはやめることを焦らないことです。
既に述べたように、人間には自然治癒力が備わっているため、状態が回復するに伴い睡眠薬が不要になるときはやってきます。
そのようなタイミングで、徐々に無理のない範囲で減らしていくことがポイントです。
ここでは2週間毎の例で説明しましたが、必ずしも2週間である必要はなく、様子を見る期間は1か月でも2か月でもいいと思います。
大事なのは、自身の状態に合ったペースで量を調整していくということです。
無理にやめようとはせず、体の声を聞きながら徐々にやめていくということを心がけましょう。
そうすれば、無理やりやめたではなく、苦しまずに自然とやめられたという状態に持っていくことが可能になります。