適応障害とうつ病の違い。適応障害はうつ病の前兆となる症状

澄み渡る空うつ病と適応障害という病気は何が違うのでしょうか。

この両者の違いはとても分かりにくいように思います。

ある人が体調不良で病院に行ったとき時、あるところではうつ病と診断され、あるところでは適応障害と診断されるといったことも耳にすることがあります。

ここでは、私の理解している適応障害とうつ病の違いについてご紹介したいと思います。

うつ病とは

厚生労働省のみんなのメンタルヘルスによると、うつ病は以下のように説明されています。

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。

脳がうまく働いてくれないので、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。

そのため普段なら乗り越えられるストレスも、よりつらく感じられるという、悪循環が起きてきます。

ざっくりいってしまうとストレスなどを起因とした脳の機能障害というのがうつ病の特徴ですね。

適応障害とは

同じく厚生労働省のみんなのメンタルヘルスによると、適応障害は以下のように説明されています。

適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。

たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。

また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。
ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。

でもストレス因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。

ある特定の状況や出来事に対しストレスを感じ、様々な症状が現れるのが適応障害の特徴と書かれています。

そして注目すべきは最後の1文

「ストレス因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります」

こうなってしまった状況が、まさにうつ病ではないかというのが私の理解です。

適応障害はうつ病の前兆となる症状

まず、はじめにはっきりさせておきたいのは、適応障害とうつ病は別物であるということです。

ですので、適応障害かつうつ病という診断は基本的にありえないものだと考えています。

では両者は何が違うかというと、上記のように適応障害は特定の状況や出来事に対して反応するのに対し、うつ病は状況によらず辛い状況が続くということです。

そして、うつ病が発症する過程では、

通常の状態⇒継続的にストレスを受ける⇒適応障害を発症(特定のストレスに対し症状が現れる)⇒更にストレスを受け続ける⇒うつ病発症

というように、適応障害はうつ病発症の前兆として現れるということです。

適応障害は打撲、うつ病は骨折

他のけがに例えるとわかりやすいかもしれません。

例えば足に圧力がかかった場合、少しの圧力では特に異常は発生しません。

しかし、ある程度の圧力がかかると、足は打撲します。

更に強い圧力が継続してかかると、やがて骨折してしまいます。

この打撲の状態が適応障害、骨折の状態がうつ病と置き換えることができます。

打撲の状態(適応障害)で適切な対処をすれば大けがをしないで済みますが、ここで対処せずに骨折(うつ病)してしまうと、治療に長い時間がかかることになります。

適応障害からうつ病への移行は急速に起こる

実際問題としてとても難しいと思うのは、適応障害の状態からうつ病の状態への移行は急速なスピードで起こるということです。

もちろん適応障害の状態である程度の期間続く場合もありますが、一旦うつ病への移行が始まると、ほんの数日で移行が完了してしまいます。

ある日起きたらエネルギーが完全に枯渇しており、突然起きられなくなったというのはよくあることです。

一週間前にはできたことが突然できなくなるというような状態が、適応障害からうつ病へ移管したことのサインになります。

そして一度この状態になってしまうと、再び同じことができるようになるには多くの時間が必要になります

適応障害かうつ病かの見分け方

適応障害とうつ病の境界線は意外とはっきりしています。

適応障害は

  • しんどいけどなんとかやるべきことをこなすことができる
  • ストレスの元になるものがなければ症状が緩和される

という特徴があるのに対し、うつ病は

  • しんどくて何もできない
  • ストレスの元になるものがなくなっても症状が改善しない

という違いがあります。

働いている人で例えるとわかりやすいですが、適応障害の場合、

  • つらいけどなんとか仕事をこなすことができる
  • 会社には基本的に行けている

という状態に対し、うつ病は

  • 仕事をこなすことが困難になっている
  • 継続して会社に行くことが難しい

という状態です。

また、朝起きて家を出る前に既にエネルギーが枯渇しているような状態になっている場合、うつ病を発症しているといえます。

適応障害とうつ病では回復に必要な時間が全然違う

上記のように、適応障害がある程度進むとうつ病に移行することになります。

そして一度うつ病を発症すると、治るまでには長い時間を要します。

あくまで私の印象ですが、適応障害とうつ病で、それぞれ元の状態に回復するまでの時間のイメージは以下のようになります。

  • 適応障害:数か月
  • うつ病:半年~数年

打撲と骨折の例でもイメージしやすいですが、打撲(適応障害)の場合には基本的にそれ以上傷を深めなければ比較的速やかに治っていきます。

一方の骨折(うつ病)の場合には、骨が折れてしまっているため、まずはギブスをはめて(抗うつ剤を使って)一定期間安静にし、その後、再び失われた機能を回復させるためのリハビリが必要になってきます。

つまり、両者には山の頂上から少し下がったところから上り直すか、一度下山してから一から上り直すかというくらいの違いがあります

このように適応障害とうつ病では回復までの期間やそのプロセスに大きな違いがあり、特にうつ病まで進んでしまうとその後の道のりはとても長いものになります。

そのため、適応障害といえるレベルの内に対処し、体調を回復させることがなによりも大切なことだと思います。

まとめ

適応障害とうつ病というのは別物で、うつ病の前段階として現れるものが適応障害というのが私の理解です。

適応障害の状態であれば比較的短期的に回復することができますが、うつ病へ移行してしまうと回復までに長い時間がかかります。

そしていつ移行するかの予測は難しく、また移行が進むと数日のうちにうつ病を発症することになります。

ですので大切なことは、適応障害といえるレベルの内にまずはストレスの元になるものに対処し、できるだけ速やかに適応障害から回復し、うつ病になるリスクを低減することあると思います。

両者では回復までにかかる時間が本当に大きく違います。

まずは適応障害のような症状が出ていないかを十分に注意し、もし症状が現れた場合には速やかに対処することが大切であると思います。

うつ病からの回復の旅はとても長く険しいものです。

この旅を避けるためにも、早めに対処しすぎてもしすぎることはないと思います。

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