働き方改革でうつ病は減るのか。障害者にとって働きやすい社会の実現を

空と雲近年、働き方改革が叫ばれています。

これまでの硬直的な日本の働き方を見直し、より柔軟な働き方ができるようにしようというのがその骨子になります。

はたしてこの働き方改革によりうつ病の患者は減るのでしょうか?

また、うつ病の方に対しプラスの影響を与えるものなのでしょうか?

ここでは現在進められている働き方改革の概要の紹介と、うつ病への影響の考察、そして最後に働き方改革に是非盛り込んでほしいことをご紹介します。

働き方改革の概要

働き方改革は大きく分けて9つの分野に分けることができます。
ソース:http://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/01.pdf

1、非正規の処遇改善

同一労働、同一賃金を導入

正規、非正規に関わらず、職務によって賃金を規定

2、賃金引上げ

最低賃金を年率3%程度上げ、時給1000円に

3、長時間労働の是正

罰則付きの残業上限を設定

インターバル規制も導入

4、転職・再就職の支援

転職受け入れ企業の助成拡大

情報提供を強化

5、柔軟な働き方

テレワークを拡大

兼業・副業を推進

6、女性・若者の活躍

学び直しの機会拡充

就職氷河期世代の支援

7、高齢者の就業促進

65歳以上の継続雇用や手稲年長への助成拡充

8、子育て・介護と仕事の両立、障害者の就労

保育士や介護職員の賃金・待遇を改善

障害者の就労支援

9、外国人材受け入れ

政府横断で総合的に検討開始

働き方改革に対する感想

個人的には働き方改革はとてもポジティブなものと捉えています。

むしろなぜこのようなことが今まで行われてこなかったのか、その方が不思議に思います。

1つの会社を勤め上げ、定年後は年金で平和に暮らすという時代はとっくに終わっています

人々の人生は昔に比べるとより多様化しており、このような改革は必須だと思います。

うつ病などの精神疾患への影響

うつ病への影響を考える際に、「うつ病を発症しにくい環境になるか」、「うつ病を患う方にとって働きやすくなるか」の2点を分けて考えます

うつ病を発症しにくい環境になるか

過労要因

うつ病になる大きな原因の1つは過労です。

昨今でも過労自殺が話題になったりしていますが、やはり過労は人間としての生活を蝕む悪しき慣習と言えます。

働き方改革においては、

3、長時間労働の是正

のように、この過労に対し歯止めをかけようとしています。

この施策が実行されれば、過労によるうつ病は減るのではないかと思います。

8、子育て・介護と仕事の両立

仕事だけでなく、育児や介護との両立の為、結果として過労になり、うつ病を発症するケースもあります。

子育てや介護は付きっきりで行う必要のある重労働なのですが、現状では十分仕事との両立ができる制度が整っているとは言えません。

この施策により、両立が行いやすい環境が整えば、過労によるうつ病は減るのではないかと思います。

人間関係要因

一方で、人間関係もサラリーマンがうつ病になる大きな要因です。

働き方改革においては、直接的に人間関係を改善するような施策は見当たりませんが、間接的に人間関係のストレスを軽減するような施策はあります。

まず、

4、転職・再就職の支援

については、もし今の環境が自分に合わない場合は転職することが容易になり、結果としてうつ病になるリスクを減らす効果が見込まれます。

もちろん実際に転職しないまでも、転職するという選択肢を持っているだけで精神的にはだいぶ楽になります。

日本の雇用の最大の問題点はその硬直性にあります。

そのため、逃げ場を確保できず、結果として心身を壊してしまう方が多くいます。

是非雇用の流動性を増やし、より柔軟に働く環境を選べるようになって欲しいと思います。

5、柔軟な働き方

この施策に関しても、間接的に人間関係のストレスの軽減に効果があると思われます。

例えば、嫌な上司がいた場合に、テレワークをすることで接触する回数を減らすことができます。

職場環境そのものにストレスがある場合にも、テレワークにより職場のストレスを減らすことができます。

7、高齢者の就業促進

会社を退職すると、抜け殻のようになってしまう人がいます。

特に仕事一筋で生きてきた人ほどその傾向が強くなります。

そして、仕事という生きがいを失ったことにより、うつ病を発症するケースもあります。

もし高齢者の就業が促進されるのであれば、リタイアによるうつ病は減ることが予想されます。

実際のところ、現代の60歳、65歳はまだまだ元気です。

昔に作られた60歳定年という制度は、もはや時代遅れと言えます。

そういう意味で、これからの超高齢化社会において、高齢者の就業促進はとても重要な施策であると言えます。

うつ病を患う人にとって働きやすくなるか

もちろん働きやすくなると思いますが、その影響を個別に見ていきます。

3、長時間労働の是正

うつ病を患っていると、体力は普通の人よりもだいぶ落ちます。

そのため、うつ病に長時間労働は厳禁です。

もしうつ病にも関わらず長時間労働を強いられている方がいたら、それはとてもしんどい状況だと思います。

長時間労働を是正し、適切な労働時間で働くことはうつ病の人にとっては大きなプラスになります。

5、柔軟な働き方

柔軟な働き方の一環として、テレワークが導入されるととても働きやすくなります。

まず、通勤がなくなるので、その分のエネルギーを温存することができます。

朝のラッシュというのはとてもストレスフルで、心身ともに消耗するものです。

また、会社という場所はいるだけでもエネルギーを消耗します。

その原因は仕事に対するプレッシャーであったり、周りの目であったりするのですが、とにかくうつ病を患う人にとっては会社にいるだけでも辛いという時があります。

もしテレワークが可能ならば、このようなエネルギーの消耗から解放され、より仕事がしやすくなります。

テレワークには、社員の管理をどうするのかといった問題もあるようですが、個人的には是非取り入れるべき施策だと思っています。

絵に描いた餅ではなく、是非早期実行を

このように、働き方改革には非常に多くの利点が存在します。

ですので、是非積極的に取り入れ、社会に浸透していってほしいと思っています。

一方で、働き方改革に対する懐疑的な思いもあります。

というのは、こうした改革というのはなかなか進まず、結局道半ばで頓挫してしまうということもしばしば起こるためです

特に働き方改革は、働く側の人にとってメリットの多い施策だと思いますが、一方で会社サイドにおけるメリットもないと、なかなか浸透していかないのではないかと思います。

もちろん、柔軟な働き方ができる会社というのはとても魅力的なので、いい人材も集まりやすいはずです。

このようなメリットにいち早く気が付いた会社ほど、積極的に改革を行っていくのではないかと思います。

障害者も働きやすい社会に

働き方改革はとてもよい方向性だと思っているのですが、その中で特に注目している項目があります。

それは、

8、子育て・介護と仕事の両立、障害者の就労

です。

この中でも、特に障害者の就労に注目しています。

障害者の雇用を促すような制度は既に存在しますが、それでもまだ十分とは言えません。

約3割の会社が、障害者雇用のガイドラインに従っていない(障害者を雇用していない)という状況です。

また、障害に対する偏見を無くすことや、障害を抱えながらも働ける環境を整備することは、働く人のダイバーシティを尊重するという点でとても重要なことです。

内閣府のデータ(平成22年)によると、

身体障害者:約370万人

知的障害者:約55万人

精神
障害者:約320万人

合計:約750万人

となっています。

障害者というのは残念ながら日陰の存在なので、なかなか表舞台には出てきにくいのですが、実際にはこれだけ障害を持つ方がいるのです。

750万人というと、全人口の約6%に相当します。

日本では約16人に1人が障害者のわけです。

学校でいうと、クラスに2人くらいは障害者ということになります。

もちろん既に働いている障害者もいますが、環境が整備され、より多くの障害者が働けるようになれば、それは日本全体としてもプラスではないでしょうか。

障害者にとっても、働くことにより社会の一員という認識が深まり、誰かの役に立ってることが実感できれば人生をより豊かなものにできるはずです。

是非障害者にとっても働きやすい社会というのを実現して欲しいというのが個人的な想いです。

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