リフレックスとサインバルタのカリフォルニアロケット処方でセロトニン症候群を起こした話

緑と雲と空かつて、使用していたリフレックスという抗うつ剤だけではなかなか改善が見られないときに、追加でサインバルタという抗うつ剤を処方されたことがありました。

しかしながら、このリフレックスとサインバルタという組み合わせは、私の場合セロトニン症候群という危険な症状を引き起こしてしまいました。

その時の話をご紹介します。

カリフォルニアロケット処方とは

カリフォルニアロケット処方とは、NaSSAとSNRIという作用プロセスの異なる2つの抗うつ剤を組み合わせることを言います。

NaSSAの作用プロセス

NaSSAはセロトニンやノルアドレナリンの量を調整する受容体をブロックすることにより、セロトニンとノルアドレナリンの放出量を増やすという作用プロセスの抗うつ剤です。

受容体をブロックすることで、セロトニン・ノルアドレナリンが足りないよというメッセージを送り、セロトニンとノルアドレナリンの放出量を増やすということですね。

このようなプロセスを持つことから、NaSSAは「ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬」と呼ばれています(わかりにくい名前ですね)

現在NaSSAに属する抗うつ剤はリフレックス(レメロン)のみとなっています。

SNRIの作用プロセス

SNRIは日本語では「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」といいます。

上記のNaSSAはセロトニン、ノルアドレナリンの放出量を増やすというプロセスでしたが、こちらのSNRIはセロトニン、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで脳内のセロトニン、ノルアドレナリンの濃度を増やすというプロセスになります。

もう少しわかりやすく説明すると、セロトニン、ノルアドレナリンは脳内のシナプス間で受け渡しが行われます。

この受け渡しが行われる際に、すべてのセロトニン、ノルアドレナリンが受け渡されるわけではなく、一部は受け渡されず元のシナプスへと戻ってきてしまいます。

そしてこのシナプスへ戻ってくるセロトニン、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、脳内のセロトニン、ノルアドレナリン濃度を増やすというのがSNRIの作用プロセスとなります。

SNRIに属する抗うつ剤としては、以下のものがあります。

  • トレドミン
  • サインバルタ
  • イフェクサー

NaSSAとSNRIを組み合わせる意味

上記のように、NaSSAはセロトニン、ノルアドレナリンの放出量を増やし、SNRIはセロトニン、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害するという作用プロセスを持っています。

そのため、両者を組み合わせると、セロトニン、ノルアドレナリンの放出量が増えると同時に、再取り込みも阻害されるため、相乗効果で脳内のセロトニンとノルアドレナリンが増えるということになります。

この相乗効果を狙った処方をカリフォルニアロケットといいます。

カリフォルニアロケット処方の例

NaSSAとSNRIの組み合わせがカリフォルニアロケット処方になりますが、その組み合わせには何パターンかあります。

まず、NaSSAについては現在リフレックスのみのため、選択肢は1つです(レメロンはリフレックスと同じ薬のため1つとみなします)

SNRIについては、上記の通りトレドミン、サインバルタ、イフェクサーの3つがありますが、このうちトレドミンは効果がいまいちなため、あまり使われることがありません。

そのため、カリフォルニアロケット処方の代表的な組み合わせは、

  • リフレックス+サインバルタ
  • リフレックス+イフェクサー

となります。

海外ではサインバルタよりイフェクサーの方が先に発売されたため、元祖のカリフォルニアロケット処方は「リフレックス+イフェクサー」になります。

ただし、現在ではイフェクサーよりサインバルタの方が処方される頻度が多いため、標準的な組み合わせは「リフレックス+サインバルタ」となっています。

なお、中にはNaSSA+SSRIという処方をされることもあり、この場合には「リフレックス+レクサプロ」などの組み合わせがなされるようです(この場合、セロトニンだけがロケットになり、ノルアドレナリンについてはロケットにはなりません)

リフレックスとサインバルタの処方がされる

私の場合、リフレックス+サインバルタというカリフォルニアロケット処方がされました。

元々リフレックスを使っていたのですが、効果が不十分ということで、サインバルタが追加された格好になります。

このカリフォルニアロケット処方は、効く人にはとてもよく効くようですが、一方でリスクもそれなりにあると言われています。

そして、私の場合、セロトニン症候群というよろしくない症状が発生してしまいました。

セロトニン症候群とは

セロトニン症候群とは、脳内のセロトニン濃度が高すぎることにより引き起こされる一連の症状のことを言い、お薬110番には以下のように記載されています。

セロトニン症候群..落ち着かない、不安、興奮・混乱、不眠、体の震え・ぴくつき、めまい、発熱、発汗、頻脈、下痢、血圧上昇

実際にこれに似たような症状が発生しました。

起こる頻度はそれほど高くはないようですが、起こってしまうとかなり厄介な症状を発生させてしまいます。

セロトニン症候群発生

リフレックスにサインバルタを追加した日は、胃のあたりがなんか気持ち悪いなーという程度の感じだったのですが、翌日から体調が劇的に悪化しました。

この悪化というのは、通常の体調の悪さとは全く質のことなるもので、焦燥感でじっとしていられない、手が勝手に震える、自分の意志とは関係なく勝手にしゃがみ込む、意味もなく汗をかくなど、これまで経験してきた症状とは全く異なるものでした。

まるで体が自分の意志とはかけ離れてしまったような、尋常ではない状態でした。

当初は体調が悪いだけだと思っていたのですが、流石にこれはおかしすぎるということで病院に問い合わせたところ、即サインバルタは中止となりました。

薬の相性について思うこと

私にはリフレックスとサインバルタという処方は合いませんでしたが、この組み合わせで必ずセロトニン症候群が起こるわけではありません。

むしろこの処方でも問題のない人の方が多いはずです。

やはり薬というのは人によって相性があるものだと思います。

ですので、特に新しい薬の飲み始めは、注意をしながら自分自身の様子を観察することが大切なのではないかと思います。

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