デパス(エチゾラム)の効果と副作用。強い抗不安作用と睡眠作用

空と雲デパスは抗不安薬と呼ばれる、不安を和らげる作用のある薬ですが、その睡眠作用の強さから睡眠薬として使われることもある薬です。

大変よく使われている抗不安薬で、日本では一番よく使われているとも言われています。

ここではこのデパスの概要と効果・副作用、使用したときの感想、そして使用上の注意点をご紹介します。

なお、エチゾラムはデパスの一般名およびジェネリックの名前になりますので、以下では表記をデパスに統一します。

デパスの概要

デパスは日本では1984年に発売された抗不安薬です。

30年以上使われている歴史のある抗不安薬になりますが、未だに大変よく使われている薬です。

以下にデパスの基本情報をご紹介します。

抗不安薬の系統

  • チエノジアゼピン系抗不安薬

チエノジアゼピン系抗不安薬というのは、現在主流として使われているベンゾジアゼピン系の抗不安薬とほぼ同じ系統の薬になります。

細かな化合式などは異なるのですが、概ね同じような構造の抗不安薬と考えてしまってさしつかえありません。

確かな効果と安全性の高さが特徴の1つとなっています。

脳内の不安や催眠に関わるGABA受容体に作用し、不安を和らげるというのが大まかな作用プロセスになります。

作用時間

  • 半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間):約6時間
  • 血中濃度最高点到達時間:約3時間

薬の効果は服用後約3時間で最大になり、約6時間で血中の濃度が半分になります。

半減期がおおよそ薬が効果を発揮する時間の目安になりますが、実際の体感はそれよりやや短いです。

デパスに関しては、概ね4~5時間程度効果を感じます。

デパスの効果

抗不安効果が強く、睡眠薬としても使われる

デパスはとても切れの良い薬として知られております。

切れがよいとは、効果がはっきりしていて実感しやすいという意味です。

確かな抗不安作用と共に強い睡眠作用もあるため、抗不安薬としても睡眠薬としても使われることの多い薬です。

また即効性があることから、日常的に使う以外にも、頓服としてもよく使われています

使うとかなりはっきりと効果が実感できるため、人気が高くまた実際の臨床の現場においてもよく処方される薬として知られています。

効果の持続時間は比較的短いため、睡眠薬として使用した場合、翌日まで眠気を持ち越すということはあまりありません。

おくすり110番によるとデパスの効果は以下のように記載されています。

このお薬は、おだやかな作用の心の安定薬です。

不安や緊張感をやわらげ、気持ちを落ち着かせます。

神経症やうつ病など精神的な不具合にはもちろん、心身症のような体の不調が前面にでる病気にも使われます。

不安や緊張感を和らげる作用があるという記載となっています。

抗うつ効果

デパスの効果の特徴の1つに、抗うつ効果があります。

基本的に抗不安薬というのは、脳の機能を低下させ、頭がぼーっとするようなことが多いです。

つまり、不安や緊張を抑え、心身を休みやすい状態にするという特徴があります。

もちろんデパスにもこのような効果があるのですが、これに加え、抗うつ効果も見られます。

どのような感じかというと、デパスの効果が切れる頃に、抗不安作用が消失するとともに、気持ちを少し上げ、精神的に楽になる感じです。

デパスを好む人の中には、この抗うつ効果を期待して使っている人もいます。

この抗うつ効果は他の抗不安薬ではなかなか見られないものですので、デパス独自の特徴と言えます。

確かな抗不安作用に加え、このような抗うつ作用も持ち合わせているため、デパスの人気は非常に高くなっています。

アンケート調査による「よく使われている抗不安薬ランキング」では、デパスが1位となっています。

参考記事:よく使われている抗不安薬ランキング

抗不安薬の等価換算表(強さを比較する目安)

抗不安薬には等価換算表という、効果の強さを横比較する基準があります。

この換算表は、ジアゼパム(商品名:セルシン、ホリゾン)5mgを基準として、他の抗不安薬の場合何mgに相当するかを記載したものです。

そのため、数字が小さいほど効果が強いという見方になります。

効果時間 商品名 等価換算
短期 セディール 25
グランダキシン 125
リーゼ 10
デパス 1.5
コレミナール 15
中期 ワイパックス 1.2
レキソタン 2.5
ソラナックス・コンスタン 0.8
長期 マイスタン 10
セパゾン 1.5
セルシン・ホリゾン 5
ランドセン・リボトリール 0.25
メレックス 1.67
コントール・バランス 10
セレナール 20
エリスパン 0.5
レスミット 10
メンドン 7.5
超長期 メイラックス 1.67
レスタス 1.67

この等価換算表を見ると、デパスは1.5mgとなっており、他の抗不安薬に比べ比較的効果が強いと読み取れます(セルシン5mgとデパス1.5mgが同じ程度の効果という見方になります)

ただし、実際の使用に際しては効果の強さは量で調整できるため、あくまで1つの目安として見ておくとよいと思います。

デパスの副作用

副作用の概要

お薬110番には、副作用は以下のように記載されています。

この系統の優れた特徴として「安全性が高い」ということがあげられます。

重い副作用はほとんどありません。

比較的多いのは、眠気、ふらつき、けん怠感、脱力感などです。

これらは、それほど心配いりませんが、車の運転や危険な作業は控えたほうがよいでしょう。

安全性が高く、重い副作用はほとんどないと記載されています。

一方で、眠気、ふらつき、けん怠感、脱力感などの副作用が比較的多いとされています。

デパスは、良くも悪くも効き目を感じやすい薬なので、その分副作用にも要注意の薬と言えます。

抗不安薬の4つの副作用

ここでは、副作用をもう少し踏み込んで説明します。

デパスをはじめとしたベンゾジアゼピン系の抗不安薬には主に以下の4つの副作用があります。

  • 耐性
  • 依存性
  • 眠気
  • ふらつき

耐性

「耐性」とは、その薬を使い続けることによりその薬に体が慣れてしまい、同じ効果を得るためにより多くの量を使用しなければならない状態になることをいいます。

依存性

「依存性」とはその薬が体内に入ってくることが当たり前になってしまい、その薬なしではいられなくなってしまう状態になってしまうことをいいます。

眠気

「眠気」は効果の「睡眠作用」の裏返しですが、抗不安薬というのはそもそもの構造が睡眠薬と類似しているため、多くの薬で眠気を生じます。

ふらつき

「ふらつき」は効果の「筋弛緩作用」の裏返しですが、筋肉のこわばりを和らげる効果がある一方で、それがふらつきにつながり、転倒などが起こりやすくなります。

これら4つの副作用のうち、デパスは全てに注意が必要です。

既に述べたように、デパスは切れが良く、効果が実感しやすいため、耐性がつきやすく、また依存性も高めの薬です。

使用の際には適切な量を適切な期間使用するように注意する必要があります。

また、眠気に関しては、そもそもデパスは睡眠薬として使われるほど睡眠作用の強い薬です。

そのため、眠くなるのは当たり前で、そもそもそういう効果があることを前提に使う必要があります。

例えば、仕事中に多くの量を使ってしまうと、眠くなり仕事に支障をきたしてしまう可能性がありますので注意が必要です。

最後のふらつきに関しては、眠気や筋弛緩作用(筋肉の緊張を和らげる効果)の裏返しになりますが、この点にも注意が必要です。

デパスを使った感想

ここでは、デパスを使った感想を、いくつかご紹介します。

睡眠薬として使用

睡眠薬として使用中。不安が和らぎ、寝つきがよくなり、熟睡できるように思います。精神安定剤としても効果があります。寝る前でなくとも、急にお腹が痛くなったときにも効き目があったような気がします。

睡眠薬及び抗不安薬両方の効果があるとのコメントです。

また、腹痛に対しても効き目があると感じているようです。

質の良い睡眠が得られる

就寝前に服用すると、とても気持ちよく入眠でき、質のよい睡眠が得られます。翌朝に頭重感を残すこともありません。

とても入眠に効果があるというコメントです。

また、睡眠の質も上がっているようです。

睡眠薬には睡眠の質を下げるという議論もあるようですが、個人的にも睡眠薬により質が下がるという実感はありません。

あくまで睡眠をサポートする薬と考えています。

早朝覚醒には効かない

デパスは入眠には効果があるが、早朝覚醒には効果が薄い。

デパスの作用時間は5時間程度なので、早朝頃には効果が切れてしまいます。

そのため、早朝覚醒への効果は薄いとされています。

もし早朝覚醒が気になるような場合には、より作用時間の長い睡眠薬を使った方がよいと思われます。

肩こりに効く

デパスを使ってから肩こりが和らぎ、夜に服用すると朝にはずいぶん軽くなっている感じがする。

デパスをはじめとした抗不安薬には筋弛緩作用というものがあります。

筋弛緩作用というのは、平たく言うと筋肉の凝りをほぐす効果です。

そのため、肩こりなどの筋肉がこわばった状態に対し、効果を発揮すると言われています。

デパスは抗不安薬の中でも筋弛緩作用は強い方なので、肩こりなどの症状に使われることもままあるようです。

不安や緊張が和らぐ

デパスを飲むと不安や緊張が和らぎます。心身の緊張がほぐれます。一方でデパスを飲むと眠たくなるので、昼間は注意して使っています。

デパスは抗不安薬のため、服用すると不安や緊張が和らぎます。

一方で眠くもなるので、コメントにあるように日中に使う時には要注意です。

特に働いている場合には、慎重に使った方がよいと思われます。

感情が薄くなる

デパスを使うと、喜怒哀楽の感情が薄くなる

これはデパスに限らずよく聞く話です。

抗不安薬というのは、脳の1部の機能を落とす(麻痺させる)ようなものなので、感情が薄まるというのもうなづけます。

私の場合は、感情が薄まると同時に物事に対しどうでもいいというような投げやりの感情になることがあります。

これも1種の感情麻痺と言えるかもしれません。

離脱症状

デパスが切れると不安感や焦燥感が現れます。そしてめまいがひどくなります。再びデパスを使用すると症状は治まります。

いわゆるデパスの離脱症状ですね。

デパスに限らず、抗不安薬全般に言えることですが、薬を多く使ったり、長く使ったりしていると、コメントのような離脱症状が出ることがあります。

症状としては記載のある不安感や焦燥感が代表的ですが、その他にも吐き気や腹痛、下痢、めまいなどの身体症状が出ることもあります。

参考文献:精神科のくすりを語ろう

デパスは依存性や離脱症状に注意が必要な薬

既に述べたように、デパスという薬はとても切れが良く、効果の実感がしやすい薬です。

使用して少し経つと頭がボーッとしてきて、速やかに抗不安作用、睡眠作用が訪れます。

しかしながら効果の実感がしやすい薬というのは、裏を返すと依存しやすい薬ともなります。

使うと効果が実感でき症状も治まるため、ついつい薬に頼りがちになってしまうのです。

デパスに依存した経験

私の経験ではこんなことがありました。

かつて睡眠薬としてデパスを使っていた時に、1錠飲んでもなかなか寝付けないという時にさらにもう1錠を加え、それでも眠れないとさらにもう1錠を加えと薬を使いすぎてしまい、翌日にフラフラになってしまいました。

デパスに頼ってなんとか眠ろうという、完全に薬に依存した状態になっていたわけです。

もともと抗不安薬や睡眠薬というのは依存性が問題になりやすい側面があるのですが、 特にこのデパスという薬に関しては、とても効果が実感しやすいため依存性にはより注意が必要というのが個人的な感想です。

デパスの特徴まとめ

以上、デパスの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 強い抗不安作用と睡眠作用を持つ薬
  • 即効性があり、使うと速やかに効果が実感できる
  • 抗不安薬としては比較的作用時間は短く、4~6時間程度
  • 抗不安作用も併せ持ち、抗不安薬としてはユニークな効果のプロファイルを持つ
  • 非常によく使われている抗不安薬の1つ
  • 効果が実感しやすい反面、耐性や依存性などの副作用には注意が必要

デパスは良くも悪くも効果が実感しやすい薬の為、副作用とのバランスを考えながら使っていく必要のある薬であると思います。

なお、医者によってデパスをよく処方するか、あまり処方しないかが割とはっきりと分かれるという特徴があります。

この辺りは以下の記事に書いていますのでご参考までにどうぞ。

参考記事:デパスをよく処方する医者とあまり処方しない医者

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