抗不安薬とは、精神安定剤とも呼ばれ、不安や焦燥感などを和らげ、精神を安定させる効果を持つ薬です。
この抗不安薬が処方されたときに、
「どんな抗不安薬がよく使われているのだろうか?」
「自分の使っている抗不安薬はよく使われているものなのだろうか?」
と疑問に思うことがあります。
そこで、このような疑問に答えるため、抗不安薬の使用状況に関するアンケート調査を行い、どの抗不安薬がよく使われているかを調べてみました。
ここではこのアンケート調査の結果による、よく使われている抗不安薬(精神安定剤)ランキングをご紹介します。
調査対象の抗不安薬(精神安定剤)
調査対象とした抗不安薬は以下の通りです。
なお、全ての抗不安薬を対象とするのではなく、ある程度使われていると思われる抗不安薬に絞ってアンケート調査を行っています。
短時間型(作用時間約5時間以内)
中時間型(作用時間5時間~10時間程度)
長時間型(作用時間10時間~24時間程度)
- セルシン、ホリゾン
- リボトリール、ランドセン
- セパゾン
- バランス、コントール
- セレナール
- メレックス
- レスミット
超長時間型(作用時間24時間以上)
- メイラックス
- レスタス
全16種類の抗不安薬が調査対象となります。
よく使われている抗不安薬(精神安定剤)ランキング
アンケート調査により判明した、よく使われている抗不安薬ランキングは以下のようになります。
順位 | 抗不安薬 | 得票率 |
1位 | デパス | 21% |
2位 | メイラックス | 21% |
3位 | ソラナックス、コンスタン | 12% |
4位 | レキソタン、セニラン | 11% |
5位 | ワイパックス、ユーパン | 10% |
6位 | リボトリール、ランドセン | 8% |
7位 | リーゼ | 6% |
8位 | セパゾン | 3% |
9位 | レスタス | 3% |
10位 | セルシン、ホリゾン | 1% |
ランキングへのコメント
1位:デパス
やっぱりとてもよく使われているデパス。
3年連続1位です。
日本で最も有名な抗不安薬といってしまっても過言ではありません
とてもキレが良く、すぐに効果を実感でき、
そして睡眠作用も強いため、睡眠薬としてもよく使われる薬です。
内科でもよく眠れないというと、
効果が実感しやすい一方、
デパスは今回の調査のみならず、
抗不安薬はここ数十年ずっとベンゾジアゼピン系が主流であり続け
2位:メイラックス
超長時間型の代表的な抗不安薬であるメイラックス。
短時間型とは対照的なメイラックスが2位となりました。
この辺りは抗不安薬の2極化ととらえることができるのでしょうか
このメイラックスは超長時間型という名に恥じず、
効果のキレはよくありませんが、
突発的な不安ではなく、漠然と続く長い不安や、
また、その安全性には定評があり、
ちなみに私が最初に処方された抗不安薬はこのメイラックスでした
当時は抗うつ薬が効き始めるまでのつなぎとしてメイラックスが処
また、不安時の頓服としても度々処方されていました。
3位:ソラナックス、コンスタン
こちらも効果のキレがよく、とても人気のある抗不安薬です。
日本のみならず、海外でも非常によく使われている抗不安薬です。
抗不安薬としては、
そういった意味では処方しやすく、
一方で、依存性や離脱症状には注意が必要でもあります(
使った感触としては、
4位:レキソタン
こちらも効果のキレの良いレキソタンが上位にランクイン。
確かな抗不安作用を持つ一方で、
そのため、
個人的には短時間の効果を期待する場合にはワイパックス、
5位:ワイパックス
こちらも抗不安薬の王道とも呼べるワイパックスがやはり上位に登
日常的に使う抗不安薬としてのみならず、
私も頓服としてはこのワイパックスを最も多く使っている気がしま
ワイパックスもキレのよい抗不安薬で、
そして4~6時間程度で速やかに効果が去っていきます。
とても効果の実感しやすく、
6位:リボトリール、ランドセン
思いのほかよく使われていたリボトリール。
リボトリールは抗不安薬というカテゴリーに入れていますが、
抗不安薬として脳内のGABAに作用して不安を和らげるのみなら
また、確かな睡眠作用もあるため、
このようにリボトリールという薬は多様な機能を持っており、
抗不安薬としてのみならず、
7位:リーゼ
作用時間が短く、効果も弱いリーゼ。
やはり効果の実感が乏しいため、
抗不安作用が弱い分、眠気の副作用も少ないのはメリットですが、
高齢者や、
ただ効果が弱い分、
8位:セパゾン
1974年に発売された、歴史のある抗不安薬です。
まあ抗不安薬は近年あまり新薬が登場していないため、
このセパゾンはかつてはそれなりに処方された時期もあったようで
ただ8位に入っていますので、
確かな抗不安作用を持つ一方で、
9位:レスタス
メイラックスと同じ超長時間作用型の抗不安薬。
使うと効果は1日以上続きます。
ただいかんせんメイラックスと効果がかぶるため、
長い時間効果を持続させようとすると、
10位:セルシン、ホリゾン
かつては抗不安薬の代表的な存在であったセルシン/ホリゾン。
まだランキングに入ってくるあたりに、
発売は1964年と非常に古く、
そして80年代頃までは抗不安薬の主力として活躍していました。
その後はデパスなどのキレが良く効果の実感しやすい抗不安薬の登
効果としてはマイルドにじわじわと効くような感じの抗不安薬で、
キレは良くないのですが、
全体的な感想
ざっとランキングを見て思うのは、
抗うつ剤や睡眠薬のランキングでは、
もちろんセディールのような比較的新しくかつ作用プロセスの異なる抗不安薬もあるのですが
まあセディールは確かに使っても効果があまり実感できないので、人気がないのもうなずけるところではあります。
この辺りは、今後の医学・薬学の進歩に期待したいと思います。
デパスを脅かすような、
もちろん抗不安薬のお世話にならずに済むことが一番なのですが・
なお、睡眠薬及び抗うつ剤についても同様の調査を行っていますので、ご興味のある方は以下をご参照ください。
参考記事:よく使われている睡眠薬ランキング
参考記事:よく使われている抗うつ剤ランキング
過去のランキング
ご参考までに、過去のランキングも以下にご紹介します。
デパスの強さ、及び顔触れの変化のなさがよくわかります。
2018年
順位 | 抗不安薬 | 得票率 |
1位 | デパス | 17% |
2位 | ワイパックス | 17% |
3位 | レキソタン | 15% |
4位 | ソラナックス、コンスタン | 14% |
5位 | メイラックス | 12% |
6位 | リボトリール、ランドセン | 7% |
7位 | セパゾン | 7% |
8位 | リーゼ | 6% |
9位 | セルシン、ホリゾン | 3% |
10位 | グランダキシン | 1% |
2017年
順位 | 抗不安薬 | 得票率 |
1位 | デパス | 25% |
2位 | ソラナックス、コンスタン | 18% |
3位 | ワイパックス、ユーパン | 14% |
4位 | レキソタン、セニラン | 14% |
5位 | メイラックス | 10% |
6位 | リボトリール、ランドセン | 6% |
7位 | セルシン、ホリゾン | 5% |
8位 | セパゾン | 3% |
9位 | リーゼ | 3% |
10位 | グランダキシン | 1% |