一般的に、うつ病の治療において抗うつ剤は効果があるとされています。
しかしながら、あらゆる薬には副作用があると言われるように、抗うつ剤にもメリットとデメリットの両方が存在します。
ここではこの抗うつ剤のメリットとデメリットのまとめをご紹介します。
抗うつ剤を使うメリット
1、回復のスピードが早まる
うつ病治療に抗うつ剤を使うメリットは、なんといっても回復のスピードが早まる可能性が高まるという点です。
抗うつ剤に効果があるかどうかというのは意見が分かれると聞くこともありますが、様々な実証的なエビデンスを見る限りやはりうつ病に対する効果はあるようです。
概ね3分の1の人には有効、3分の1の人にはやや有効、3分の1の人には効果なしというのが抗うつ剤の有効性として言われています。
もちろんこれは1つの抗うつ剤に対しての数字ですので、いくつかの抗うつ剤を試すことに、有効な抗うつ剤が見つかる可能性は高まります。
効き方には個人差はあるかと思いますが、抗うつ剤を使うことによって回復を早め、より早く辛い状況から脱することができる可能性が高まります。
例えば、本来薬を使わなければ回復までに6ヶ月かかっていたところが、薬を使ったおかげて3ヶ月で回復した、というように回復までの期間を短くしてくれる可能性があります。
また抗うつ剤を使うことにより、より早く活動できるようになり、そのおかげで自然治癒力を上げるような活動をより早く行えるようになり、 より一層回復が早まるという好循環が生まれることも期待されます。
2、辛い症状を緩和してくれる
抗うつ剤には、回復のスピードを早めるというだけでなく、うつ病に伴う辛い症状を和らげてくれるという効果もあります。
例えば、不安や焦燥感、精神的な不安定性やエネルギーの枯渇など、うつ病に伴い現れる症状は多岐に渡りますが、抗うつ剤にはこれらの症状を和らげてくれる働きがあります。
もちろん全ての症状に効果があるほど抗うつ剤は万能ではありませんが、ある程度症状を和らげてくれるだけでも精神的、肉体的なしんどさはだいぶ変わってきます。
このように抗うつ剤を使うメリットというのは、回復のスピードを早めてくれるという点と、うつ病の辛い症状を緩和してくれるという二つが挙げられます。
抗うつ剤を使うデメリット
1、効果が出るまでに時間がかかる
抗うつ剤は、一般的に効果が出るまでに2週間程度時間がかかると言われています。
そのため服用してすぐにうつ病が改善するということはありません。
この効果が現れるまで、しばらく辛抱する必要があります。
また抗うつ剤には相性があるため、しばらく使った後も十分な効果が得られない場合があります。
そのような場合、薬を変えることになるのですが、その場合でも再び効果が出るまで2週間以上待つ必要があります。
このように効果が出るまでに時間が掛かるというのが抗うつ剤のデメリットの一つとして挙げられます。
2、副作用の問題
最近の抗うつ剤は、昔に比べると副作用がだいぶ緩和されていると言われますが、それでもなお風邪薬などの一般的な薬に比べるとかなり副作用が見られます。
SSRIやSNRIの場合には、胃腸の不快感や吐き気、食欲不振など、またNaSSAでは眠気や体重増加、便秘など、抗うつ剤の種類によって、それぞれ特徴的な副作用が見られます。
これらの副作用が耐えられる範囲のものであればいいのですが、抗うつ剤の効果を上回るほどのデメリットを及ぼす場合、副作用によってその抗うつ剤を中止するということもあります。
この副作用とうまく付き合っていく必要があるという部分も抗うつ剤のデメリットの一つとして挙げられます。
3、抗うつ剤をやめる時に苦労する場合がある
一般的に、抗うつ剤はそれほど依存性はないと言われていますが、人によって、また薬の種類によっては依存性があるものもあります。
例えば私の場合、以前リフレックスという抗うつ剤をやめるときにとても苦労しました。
なぜ苦労したかと言うと、この薬には眠気という副作用があり、薬をやめた事によって睡眠の質が落ちなかなか眠れなくなってしまったためです。
またSSRIの中では、パキシルという抗うつ剤は比較的離脱症状が見られやすく、やめる時には注意を必要とすると聞きます。
このように抗うつ剤の種類によってはやめるのに苦労する場合があるというのもデメリットの一つとして挙げられます。
メリットデメリットのまとめ
以上、うつ病治療に抗うつ剤を使うメリットとデメリットをご紹介しました。
今一度まとめると、メリットは
- 回復のスピードが早まる
- 辛い症状を緩和してくれる
一方のデメリットは
- 効果が出るまでに時間がかかる
- 副作用の問題
- 抗うつ剤をやめる時に苦労する場合がある
となります。
つまるところ、抗うつ剤には回復のスピードを早めたり、辛い症状を緩和してくれるというメリットがある反面、副作用が出て苦しめられたリ、止める時に離脱症状などで苦労することがあるということになります。
メリットとデメリットの両面のバランスを考え、使っていくことが大切ではないかと思います。