精神障害者が障害者雇用枠で働くメリットとデメリットまとめ

不安を和らげるうつ病などの精神疾患を患い、6か月以上の期間が過ぎると、精神障害者手帳(正式名称:精神障害者保健福祉手帳)の取得対象となります。

そして、精神障害者手帳を取得すると、公に障害者と認定されるため、企業の障害者雇用枠に応募することができます。

ここでは、医師やハローワーク、うつ病支援団体の方などから聞いた話をベースに、精神障害者が障害者雇用枠で働くことのメリットとデメリットを私見を交えながらご紹介します。

障害者雇用制度とは

障害者雇用制度とは、心身に障害を持つ人の雇用の機会を拡大するために、国が企業に対し一定割合の心身障害者を雇用する義務を課す制度です。

現在障害者の雇用率は以下のように決められています。

  • 一般の民間企業:2%
  • 公共団体等:2.3%

つまり、一般の民間企業であれば、全従業員の2%以上、心身障害者を雇いましょうということになります。

もしこの基準に満たない場合には、企業が国に罰金を支払う必要があります(逆に、お金を払えば基準を満たさなくてもよいということにもなります)

なおトレンドとしては、心身障害者の雇用率は上昇してきていますので、将来的にはもっと上がる可能性もあると思われます。

障害者雇用枠で働くメリット

実際に障害者雇用枠で働くメリットとして以下の3点をご紹介します。

  • 障害を隠す必要がない
  • 障害に配慮した環境づくりがなされる
  • 同じ障害を持つ人と大変さを共有できる場合がある

障害を隠す必要がない

障害者雇用枠で働くということは、障害があることが前提ですので障害を隠す必要はありません。

一般の人と同じように働く場合には、精神障害の場合は偏見を恐れて隠しながら働くということにもなりかねませんが、そうした心配がない点が1つのメリットになります。

障害を隠す必要がないということにより、精神的な後ろめたさを感じる必要もなく、精神的な負担が軽減されます。

障害に配慮した環境づくりがなされる

障害者雇用枠で働くということは、障害があることが前提です。

そのため企業側に障害者でも働きやすい環境を整備する義務があります。

仕事の内容や量についても基本的には働く人の状態を勘案して調整されます。

そのため、精神障害というハンディを抱えていても、働きやすい場合が多いということがメリットとして挙げられます。

同じ障害を持つ人と大変さを共有できる場合がある

障害者が企業で働く場合には、大きく分けて2つの環境があります。

1つは一般の社員に混じって一緒に働く場合で、もう一つは企業が障害者雇用用の子会社を作り、そこで働く場合です。

前者の場合には周りに必ずしも同じ障害を持つ人がいるわけではないので障害の大変さをわかってくれる人はなかなかいないかもしれませんが、後者の場合には障害者が集まっているので、お互いに障害を持つ大変さを共有することができる場合があります

一口に障害といっても、身体と精神では種類が異なり、また精神でも統合失調症なのか、うつ病なのか、様々ですが、お互いに障害を抱えながら働いているという点は変わりません。

人間は似た者同士でいると安心するといいますが、障害を持っている方も、同じように障害を持っている方といると大変さを共有でき、安心できるという側面があるように思います。

障害者雇用枠で働くデメリット

もちろん、障害者雇用枠で働くことにはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
ここでは以下の3点ご紹介します。

  • 給料が安い
  • キャリアの形成が難しい
  • 精神障害者の雇用は身体障害者に比べ不利な場合が多い

給料が安い

上記のように、基本的に障害者として働く場合には働きやすいように環境の配慮がされますが、一方で給料は多くの場合安いです。

もちろん企業により異なりますが、平均的に見て普通の会社員よりはかなり安く、私がハローワークで見た限りでは、年齢に関わらず大体大卒の初任給くらいのところが多いです。

最低限の給料をもらえればよいという人であればよいかもしれませんが、ある程度稼ぎたいという人には向かないかもしれません。

キャリアの形成が難しい

基本的に障害者に割り当てられる仕事というのは、大きなプロジェクトや重要な仕事ではなく、事務サポートのような単純な仕事が多いです。

そのため、その仕事を続けていても、スキルを伸ばしたり、経験を積んでいくということが難しい場合が多いです。

この辺りを割り切れる人にとってはいいかもしれませんが、キャリアを築いていきたい人にとっては物足りないと感じる可能性があります。

一例としては、以下のようなケースがあります。

ある人がうつ病により障害者雇用枠で働いていたものの、その後病気がよくなったため、より待遇のいい一般の企業へ転職しようとしました。

しかしながら、前職の給料の低さと仕事内容がネックになり、なかなか望むような転職ができなかったというケースです。

もちろん障害者雇用から一般の仕事へ転職することは可能だと思いますが、その際のハードルが上がってしまう可能性があるという点も注意が必要なのではないかと思います。

精神障害者の雇用は身体障害者に比べ不利な場合が多い

そもそもの応募時の話ですが、同じ障害者の中でも精神障害者は身体障害者に比べ採用されにくいという傾向があります。

これは、身体障害者は何をどう配慮すればよいかがわかりやすいのに対し、精神障害者の場合には見た目にはわかりにくいため、配慮の仕方も難しいという側面があるためです。

しかしながら、ここ数年は企業の障害者雇用率の上昇に伴い精神障害者の雇用も増えてきているため、将来的にはそれほど不利にならないかもしれません。

まとめ

以上をまとめると、障害者雇用枠で働くメリットは以下になります。

  • 障害を隠す必要がない
  • 障害に配慮した環境づくりがなされる
  • 同じ障害を持つ人と大変さを共有できる場合がある

また、デメリットは以下になります。

  • 給料が安い
  • キャリアの形成が難しい
  • 精神障害者の雇用は身体障害者に比べ不利な場合が多い

要するに、障害者であると認定されることで、仕事面や環境面で配慮がされる一方、給料が安く、キャリアも築きにくいというのが障害者雇用枠で働く特徴となります。

ただし、実際には会社によって仕事内容や環境、築けるキャリアなどは大きく異なると思われますので、障害者雇用枠で働く場合には事前に面接の場などでしっかりと確認しておくことをおすすめします。

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