うつ病の症状の一つに疲労感というものがあります。
この疲労感は通常とは異なり、時には日常生活に支障が出るほどの強烈なものです。
朝起きた時から強烈な疲労に襲われ、朝食を食べることもままならないということもしばしば起こります。
このような疲労感に対処するためのヒントにならないか、という視点で「すべての疲労は脳が原因」という本を読んでみました。
やや挑発的なタイトルですが、疲労は脳が感知するという意味においてはうなずける部分もあります。
以下では、この本をベースに、私自身の意見や主観などをご紹介します。
著者の特徴
この本の著者は梶本修身という方で、疲労や睡眠の専門家です。
特に2003年から、産官学連携プロジェクトの「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」の統括責任者を務めており、疲労に関する第一任者と言ってもいいかもしれません。
それゆえ本書の内容は実証研究をベースとしたレベルの高い内容となっております。
また自身の実証分析に基づいた提言などを行っており、内容にも信頼感が持てるという印象を もちます。
内容に対する感想など
本書の中ではこれまで疲労に有効だとされてきたものを否定していたり、またこれまであまり着目されていなかった疲労への効果的な栄養素の紹介などを行っています。
栄養ドリンクは疲れには効かない
例えば、栄養ドリンクというのは仕事で疲れた時にもうひと踏ん張りする時に飲むという方もいるかと思いますが、そのような使い方は間違いであるということを指摘しております。
栄養ドリンクを使って、最後のひと踏ん張りというのは、百害あって一利なしというのは多くのビジネスマンにとって頭の片隅に置いておくとよいのではないでしょうか。
かくいう私も、この本を読んでからは栄養ドリンクを控えるようになりました。
疲れと自律神経には密接な関係がある
また、随所で自律神経という言葉が出てきており疲労と自律神経との関係性というのをかなり強調して書かれております。
うつ病になると自律神経のバランスが崩れ、疲労が溜まりやすいというのは経験上とてもしっくりくる考え方ですので、自律神経と疲労の関係性というのは個人的にも大いに同意します。
疲労を取るためにはやはり、自律神経の中でもリラックスモードになる副交感神経を優位にし、ゆったりと過ごす必要があるのだと思います。
疲労の回復には何よりも休息と睡眠が大切
また、疲労回復させるためには 何よりも休息と睡眠が大切という考え方にも賛同させられます。
うつ病というのはある意味心身の疲労が極限まで達した状態と言えます。
そのような状態においては、休息と睡眠が大切なのは言うまでもないことです。
しっかりと睡眠をとり、日中も休息をとることで疲労も回復し、うつ病の回復にもプラスに寄与していくものと思われます。
土日の過ごし方としては、いろいろと予定をいれアクティブに活動するより、1つの場所でゆったりと過ごした方がよいという点も、まさにその通りだと思います。
イミダペプチドの有効性
私が一番目から鱗だったのは、疲労のためにはどのような栄養成分をとればよいかという部分です。
本書ではイミダペプチドと呼ばれる鳥の胸肉に含まれる成分がとても疲労に有効であると述べられています。
イミダペプチドというのはこれまで全く聞いたこともない成分でしたが、紹介されている実証分析の結果からも大変有効な成分として位置づけられています。
イミダペプチドを取得するには鳥の胸肉を食べればいいのですが、さすがに毎日食べるわけにもいかないので、サプリメントで摂ることも提案されています。
また、クエン酸も同様に疲労に有効な成分とされています。
全体感としては疲労が起こるメカニズムや疲労に対処するための様々な方法論が具体的に詳しく書かれており、疲労で悩みを抱えている方やより日々のエネルギーレベル を高めて生活したい方は是非一読をすることをお勧めします。