「これでうつ病を治しました」という体験談を鵜呑みにするのは危険である

空と雲よく「私はこれによってうつ病を治しました」というような体験談を耳にします。

このような体験談は大変貴重なものではあるのですが、そっくりそのまま鵜呑みにしてしまうのは危険が伴います。

というのは、人によって回復のプロセスも異なるし、また回復の助けになるような活動も個人差があるためです。

他の人の体験談はあくまでも参考するに留め、そのまま真似するのではなく、自分にとってよい過ごし方はどういうものかを模索することが大切ではないかと思います。

回復の度合いにより適切な活動は異なる

うつ病からの回復においては、時期によって適切な過ごし方が異なります。

最も症状の重い急性期であれば、ただひたすら寝てひたすら休むことが大切で、この時期に無理に活動してしまうとなかなか回復しないということが起こり得ます。

ある
程度エネルギーの溜まってきた回復期であれば、適度な活動をすることによって回復のスピードを上げることができます。

このように、うつ病からの回復においてはその時期によって過ごし方が異なるため、例えば「私はジョギングでうつ病を治しました」という記述を見て、急性期に無理をしてジョギングに勤しむことはとても危険な行為と言えます。

あくまで、自分は今回復プロセスのどの辺りにいて、どのような活動が適切なのかを選択していく必要があります。

万人に効く活動はない

体験談の例

体験談としてよく見聞きするものの例を挙げると、

「水泳でうつ病を治しました」

「ジョギングでうつ病を治しました」

「散歩で症状が改善しました」

「サプリメントで元気になりました」

「呼吸で体調を整えました」

「漢方で良くなりました」

「ヨガで治しました」

「瞑想で回復しました」

「カウンセリングのおかげです」

「このうつ病マニュアル(10万円)でよくなりました」

などなど非常に様々です(最後のは冗談ですが)

こうしてみると、その活動は非常に多岐に渡っていることがわかります。

万人に効く特効薬はない

そして1つ言えることは、万人に必ず効く特効薬はないということです。

ある人にとっては水泳が非常に効果的だったかもしれませんが、そもそも水中が嫌いな人にとっては苦行以外のなにものでもありません。

体験談は往々にしてその人の個性や主観に満ちているため、鵜呑みにするのではなく、あくまで参考にするという姿勢が大切ではないかと思います。

例えば「呼吸で改善した」という体験談を見て、ピンとくるものがあったら、実際に自分で試してみればいいわけです。

そして、効果があると思えばそのまま持続し、効果がないもしくは有害だと思えばやめてしまえばいいのです。

参考にしながら、自分に合ったものを取り入れていく、このような姿勢でよいのではないかと思います。

自分に合った過ごし方

上記のように、人によってまた時期によって適切な過ごし方というのは変わってきます。

参考までに回復期以降の私の過ごし方で、効果があったと思うものは以下の通りです。

  • 散歩
  • 水泳
  • ジョギング
  • 本を読む
  • 呼吸
  • ストレッチ

特にこれらの中で、最も効果がったと感じたものは「散歩」です。

この辺りを詳しく知りたい方は、以下の記事にまとめていますのでどうぞ。

関連記事:うつ病からの回復に効果のあった活動まとめ

全ての人に共通して大事なこと

他人の体験談を鵜呑みにせず、自分に合った活動を見つけ、取り入れていくことが大切だと申し上げてきましたが、全ての人にとって共通で大事なこともあります。

それは以下の3点になります。

1、よく休むこと

とにかく良く休むことは、うつ病からの回復の基本になります。

活動しすぎて体調を崩すことはありますが、休みすぎて体調をおかしくすることはまずありません。

疲れを常に意識し、ちょっと疲れが溜まっているなと感じたら、無理をせずとにかく休むことが大切です。

特に体調が悪い日が続いたときは、寝たきりだとこのまま回復しないのではないかと思ってしまうこともありますが、無理に活動してしまうと十中八九体調を更に悪化させてしまいます

とにかく何かあった時にも、まずはしっかり休むということが基本になります。

2、無理をしないこと

うつ病は無理をすることにより発症します。

ですので、無理をしないということは、回復のための基本中の基本になります。

体にいいと思って、多少無理をしてでも散歩をする、ジョギングをする、本を読む、・・・ということをしてしまうと、エネルギーを消耗してしまい、回復を阻害することになります。

大事なのは体の声をよく聞き、常に無理をしていないかどうかを感じることです。

そして無理をしている場合には、その活動をすぐにやめるべきです。

もちろん状況によっては全く無理をしないということは難しいかもしれませんが、その場合でもやはりできる限り無理を避ける必要があります。

趣味には制限をかける

難しいのは、自分の趣味など、自分の好きなことをする場合です。

このような場合には精神的にはもちろんプラスなのですが、過度にのめりこんでしまうとエネルギーを消耗し、気が付いたらエネルギーが枯渇していたということが起こり得ます

自分の好きなことだからなおさらブレーキをかけるのが難しくなってしまうのです。

ですので、自分で好きでやっていることでも、ルールや制限を設けるなどして、自分自身を制御することが必要になってきます。

無理しているかどうかは自分の感覚で気づかない場合もあるので、このような制限はうつ病の悪化を防ぐには有効に働きます。

3、ストレスを避ける

言わずもがなですが、ストレスはうつ病の大敵です。

ストレスがかかると途端に体調が悪くなり、また回復にも時間がかかってしまいます。

もちろん生きていいる以上はストレスを完全に避けることは無理なのですが、様々な工夫によりストレスを軽減することは可能です。

例えば、ある人との関係がストレスになっているのであればできるだけ距離を置いたり、音がストレスになっているのであれば耳栓をしたり、と自分の行動で避けられるストレスは意外とたくさんあります。

健康な人であれば、適度なストレスはやる気の元になったりすることもあるのですが、うつ病を患う人にとっては、ストレスは百害あって一利なしです。

できるだけストレスを避け、平穏な環境で過ごせるように努めていきましょう。

まとめ

他人の経験談を鵜呑みにすることは危険であるということと、万人に共通して大切なことについて述べてきました。

うつ病に関わらず、精神疾患というものはとても個別性の強いものです。

全く同じ症状を訴えても、うつ病と診断されたり、適応障害と診断されたり、自律神経失調症と診断されたり、医師の見解も必ずしも統一されていません。

また同じうつ病でも、ある人は食欲がなく体重が落ちているのに対し、ある人は過食により体重が増えすぎたりと現れる症状も様々です。

このような個人差の大きい疾患において、他の人の体験談をそのまま鵜呑みにしてしまうことはリスクを伴います。

ある
活動がある人にはプラスに働くものの、ある人にはマイナスに働くということが往々にして起こるからです

ですので、他の人の体験談は参考程度に留め、大事なのは自身にとってはどのような活動や過ごし方がいいのかを模索していくことだと思います。

その過程において、他の人の体験のよさそうなところは取り入れ、合わないところは真似しないというやり方で、より自分にあった過ごし方をブラッシュアップしていけばいいのではないかと思います。

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