ルボックス(デプロメール)はSSRIというカテゴリーに属する抗うつ剤です。
SSRIとは現在抗うつ剤の主流として使われているカテゴリーになります。
ルボックス(デプロメール)は、SSRIの中では一番最初に発売された抗うつ剤になります。
ここではこのルボックス(デプロメール)の効果・副作用と特徴をご紹介します。
なお、ルボックスとデプロメールは名前は違いますが中身は同じ薬になりますので、以下では表記をルボックスに統一します。
ルボックス(デプロメール)の概要
ルボックスは日本で1999年に発売された抗うつ剤です。
SSRIというカテゴリーでは初めて発売された抗うつ剤になります。
発売された当初は比較的よく使われていたようですが、その後パキシルという同じSSRIのカテゴリーで、より効果の強い薬が発売されてからは使われる頻度が減ってしまったようです。
以下にルボックスの基本情報をご紹介します。
抗うつ剤としての系統
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
SSRIとは、現在主流として使われている抗うつ剤のカテゴリーの1つになります。
セロトニンの再取り込みを阻害することで脳内のセロトニン濃度を高め、抗うつ作用を発揮する薬になります。
作用時間
- 半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの時間):約12時間
- 血中濃度最高点到達時間:約3.5時間
薬の効果は服用後約3.5時間で最大になり、約12時間で血中の濃度が半分になります。
半減期がおおよそ薬が効果を発揮する時間の目安になります。
ただし、抗うつ剤の場合、効果が出るまでに時間差があり、実際の効果の継続時間も必ずしも半減期とは一致しません。
あくまで参考程度に見ておくとよいと思います。
なお、抗うつ剤の効果が現れるまでは2週間程度の期間が必要です。
そのため、使い始めの時は効果が出てくるまでじっくりと待つ必要があります。
適応疾患
- うつ病・うつ状態
- 強迫性障害
- 社会不安障害
基本的にうつ病に使われることが多いですが、強迫性障害や社会不安障害にも使われる薬になっています。
ルボックス(デプロメール)の効果
抗うつ剤の効果を考える際には、まずその抗うつ剤がどのカテゴリーに属するかが重要になります。
抗うつ剤の5つのカテゴリー
抗うつ剤には5つのカテゴリーが存在します。それぞれの特徴は以下になります。
- 三環系:効果は強いが副作用も強い
- 四環系:三環系に比べ副作用は低減されているが、効果もマイルド
- SSRI:三環系と同等の強さを持ちながら副作用は低減されている
- SNRI:SSRIに更に意欲ややる気といった効果が加わる
- NaSSA:確かな効果がある一方で、副作用にはくせがある
カテゴリーとしては三環系が最も古く、下に行くほど新しいカテゴリーとなります。
ルボックスはSSRIに属し、効果と副作用を考えるとバランスのよい抗うつ剤となっています。
SSRIの中でのルボックスの強さ
更にSSRIの中には、以下の4つの抗うつ剤が存在します。
これら4つの中では、ルボックスの強さは弱い部類になります。
SSRIの中では、マイルドな抗うつ作用を持つということがルボックスの特徴の1つとなります。
そのため、どちらかというと軽症のうつ病に使用されることが多いようです。
ルボックス(デプロメール)の副作用
SSRIの副作用の特徴
ルボックスをはじめとしたSSRIは古いタイプの抗うつ剤(三環系など)に比べると副作用は低減されています。
しかしながら、消化器系の症状を中心に依然として副作用は存在します。
主に以下のような副作用があります。
- 吐き気
- 食欲不振
- 下痢
- 性機能障害
- 眠気(不眠)
吐き気や食欲不振、下痢はSSRIの代表的な副作用で、多かれ少なかれSSRIを使うと発生する副作用となります。
SSRIはセロトニンの再取り込みを阻害することでセロトニン濃度を高める薬ですが、セロトニンは胃腸にも存在し、そこにも作用してしまうためこれらの副作用が現れます。
これらの副作用に対処するために、胃腸薬が同時に処方されることもよくあります。
性機能障害もSSRIではよく見られる副作用です。
眠気に関しては個人差が大きく、眠くなるという人もいれば逆に眠れなくなるという人もいて、個人差があります。
なお、抗うつ剤の副作用全般にいえることですが、使用当初は大きく副作用を感じますが、時間とともに副作用は軽減されてくることが多いです。
ただし、副作用が完全にはなくなるわけではなく、一定期間を過ぎてもある程度の副作用は残り続けます。
SSRIの中でのルボックスの副作用の特徴
ルボックスはSSRIの中では比較的副作用が少ないと言われています。
効果は弱いけど副作用も弱いというのがルボックスの特徴の1つと言えます。
しかしながら、代表的な胃腸系の副作用はよく見られるようです。
また、ルボックスの副作用の1つとして、眠気の副作用がたびたび見られます。
この眠気はうまく逆手にとれば睡眠薬が不要になるため、必ずしも副作用とはいえないかもしれません。
ルボックス(デプロメール)は強迫性障害によく使われる
上記のように、ルボックスはうつ病のみならず、強迫性障害や社会性不安障害にも適応があります。
そして、ルボックスの特徴の1つとして、強迫性障害に比較的よく使われるということがあります。
特にうつ病に伴い強迫性障害も発症している場合には、しばしばルボックスが処方されるようです。
ルボックス(デプロメール)の特徴
発売当初はよく使われていたがパキシルにシェアを奪われる
ルボックスは上記のように、日本で初めて発売されたSSRIの抗うつ剤です。
SSRIは発売当初は確かな効果を持つ一方で副作用が少ないという触れ込みであったため、発売当初はよく処方されたようです。
しかしながら、古い三環系の抗うつ剤に比べると効果は弱く、また副作用もそれなりにあったため、当初の期待どおりにはいかなかったようです。
その後、同じSSRIでより効果の強いパキシルが発売され、徐々に処方されるケースは減っていきました。
ただし、抗うつ剤の効果や副作用は個人差が大きいため、引き続き相性がいい人にはルボックスが処方されるケースはあるようです。
胃腸の副作用は人によっては辛い
また、SSRIは副作用が低減されているといわれていますが、個人的にはやはりそれでもかなり副作用は大きいという印象があります。
特に消化器系の副作用はSSRIを使う以上は避けては通れない副作用なので、胃腸が弱い人には相性がよくないという側面があります。
やはり抗うつ剤というのは、副作用も含めて相性がとても重要なのだと思います。
ルボックスのまとめ
以上、ルボックス(デプロメール)の特徴をまとめると以下のようになります。
- 現在主流のSSRIに属する抗うつ剤
- SSRIの中では効果はマイルド
- 副作用は吐き気や下痢などの消化器系の症状が中心
- SSRIの中では比較的眠気の副作用が出現しやすい
- 強迫性障害に使われるケースが多い
個人的には、胃腸が弱くなく、軽症のうつ病の人には比較的合った抗うつ剤なのではないかと感じています。