どんな抗うつ薬がよく使われているのだろうか?
自分の使っている抗うつ薬はよく使われているものなのだろうか?
このような疑問に答えるため、抗うつ薬の使用状況に関するアンケート調査を行い、どの抗うつ剤がよく使われているかを調べてみました。
ここではこのアンケート調査の結果による、よく使われている抗うつ薬ランキングをご紹介します。
調査対象の抗うつ薬
調査対象とした抗うつ薬は以下の通りです。
なお、全ての抗うつ薬を対象とするのではなく、ある程度使われていると思われる抗うつ薬に絞ってアンケート調査を行っています。
三環系
四環系
SSRI
SNRI
NaSSA
全部で14種類の抗うつ薬が対象です。
よく使われている抗うつ薬ランキング
アンケート調査により判明した、よく使われている抗うつ薬ランキングは以下のようになります。
順位 | 抗うつ剤 | 得票率 |
1位 | サインバルタ | 21% |
2位 | レクサプロ | 15% |
3位 | ジェイゾロフト | 13% |
4位 | リフレックス、レメロン | 12% |
5位 | パキシル | 11% |
6位 | アモキサン | 7% |
7位 | イフェクサー | 6% |
8位 | テトラミド | 4% |
9位 | トリプタノール | 3% |
10位 | トレドミン | 3% |
ランキングへのコメント
1位:サインバルタ
サインバルタが堂々の1位です。
昨年はレクサプロに次ぐ2位でしたが、
サインバルタは臨床現場での評判もよく、セロトニン、
日本のみならず世界的にもとてもよく使われています。
SSRI登場以降、
SSRI、SNRIの中で、
そして両者では効果と副作用のバランスからサインバルタの方が一
日本での発売は2010年とまだ新しい部類に入る抗うつ薬ですが
2位:レクサプロ
昨年1位のレクサプロが今年は2位となりました。
おそらくレクサプロの使用頻度が減ったというよりは、
レクサプロは2011年に発売された、
SSRIの中でも副作用の少なさに定評があり、
抗うつ薬の有効性と副作用を調べたMANGA Studyという研究では、レクサプロは有効性で2位、
臨床の現場での評判も良く、
昨年より順位は落としていますが、
現在では、うつ病と診断され、
3位:ジェイゾロフト
SSRIの代表的な薬の1つであるジェイゾロフトが3位となりま
SSRIの中ではレクサプロに続く、2番目の順位です。
昨年は4位でしたが、今年は順位を1つ挙げました。
まあ4位のリフレックスとは僅差ですので、
このジェイゾロフトはSSRIの中では日本で3番目に発売された
レクサプロのところで述べましたが、MANGA Studyという12種類の抗うつ薬の有効性と忍容性(
つまり、レクサプロほどではありませんが、
ここ数年はレクサプロの後塵を拝していますが、
4位:リフレックス、レメロン
レクサプロ、
昨年は3位でしたので、
このNaSSAは、SSRI、
一方で副作用もユニークで、眠気や便秘、
そのため、胃腸の不具合や食欲不振などの副作用が出現しやすく、
また、上記のようにSSRI、
具体的にはリフレックスとサインバルタ、
このようにリフレックス/
5位:パキシル
おそらくSSRIの中で最も有名な抗うつ薬ではないでしょうか。
SSRIの中でも抗うつ作用が強いことが特徴ですが、
SSRIの中ではややハイリスク、
SSRIとしては日本では2番目に発売された抗うつ薬で、
発売された当初は、それ以前に発売されたルボックス/
一方、ここ数年はより新しく、
ただし、昨年と変わらず5位をキープしていることからも、
なお、ここまでの1位から5位までで得票数の約3/
多くの方はこの5つのうちのどれか(もしくは複数)
この上位5つはここ数年安定しているため、
6位:アモキサン
最も古いカテゴリーである三環系の抗うつ薬アモキサンがこの順位
三環系の抗うつ薬は確かな効果を持つ一方、
しかしながら、
アモキサンは特に意欲ややる気を持ち上げる効果に優れた抗うつ薬
そのため、ある程度エネルギーは溜まってきたものの、
いずれにせよ、
7位: イフェクサー
日本では2015年に発売された新しい抗うつ薬ですが、
サインバルタに次いで発売されたSNRIですが、
昨年の6位から順位を1つ下げていますので、
SNRIの中ではサインバルタの方が主流であり続けると思います
8位:テトラミド
現在では最も使われていない系列である四環系抗うつ薬であるテト
正直驚きの結果です。
かつて数十年前にはそれなりに使われていた時期もあったようです
その四環系がまさかここに入ってくるとは思いませんでした。
このテトラミドはリフレックスの原型ともなった抗うつ薬で、
副作用も似ていて、
この眠気を利用して、
いずれにせよ、
9位: トリプタノール
現存する抗うつ薬の中で最強の抗うつ作用を持つと言われている抗
一方で副作用の重さも最強と言われており、まさにハイリスク、
その副作用の重さから、
一方で難治性のうつ病や他の抗うつ薬との相性が合わない場合には
このトリプタノールが現在でも9位に入ってくるあたりに、
10位:トレドミン
SNRIの中で最も早く日本で発売されたトレドミンがこの順位で
SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの両方に働きかけ、
そのため、
その結果、このような順位に落ち着いたと思われます。
ランキングへの感想
ランキングは、全体的には予想通りの結果でしたが、
まず、1位にサインバルタが返り咲いたこと。
昨年はレクサプロが1位でしたが、
まあ1つの順位差ですので誤差の範囲内かもしれませんが、
そして6位のアモキサン。
こちらはSSRIが登場するまでは主力として使われていた抗うつ
しかしながら、
私も経験しましたが、
そのような系統の薬がいまだにそれなりに使われているところにこ
9位にトリプタノールが入っているという点についても同様の理由
SSRIに関しては、数年前はジェイゾロフト、レクサプロ、
この動きには、抗うつ薬の進歩を感じるところです。
抗不安薬のランキングではほとんど新しい薬が上位に入ることはな
抗うつ薬は数年に1度のペースで新薬が出てきていますので、
なお、睡眠薬、抗不安薬(精神安定剤)についても同様の調査を行っていますので、ご興味がありましたら以下の記事をどうぞ。
参考記事:よく使われている睡眠薬ランキング
どのカテゴリーの抗うつ剤がよく使われているか
今回の調査では、合わせてどのカテゴリーの抗うつ剤がよく使われているかも調べましたので番外編としてご紹介します。
カテゴリー | 得票率 |
SSRI | 41% |
SNRI | 30% |
NaSSA | 12% |
三環系 | 13% |
四環系 | 5% |
抗うつ薬を使っている方のうち、実に7割程度がSSRI、
これを見ると、やはりSSRI、
一方で、古いカテゴリーの三環系、
抗うつ薬には人によって相性がありますので、
いずれにせよ、治療の柔軟性を高めるという意味では、
過去のランキング
ご参考までに、過去のランキングもご紹介します。
こちらを見ると、
2018年版のランキング
順位 | 抗うつ剤 | 得票率 |
1位 | レクサプロ | 17% |
2位 | サインバルタ | 17% |
3位 | リフレックス、レメロン | 12% |
4位 | ジェイゾロフト | 10% |
5位 | パキシル | 10% |
6位 | イフェクサー | 7% |
7位 | アモキサン | 6% |
8位 | ルボックス、デプロメール | 6% |
9位 | トレドミン | 5% |
10位 | トリプタノール | 3% |
2017年版のランキング
順位 | 抗うつ剤 | 得票率 |
1位 | サインバルタ | 20% |
2位 | ジェイゾロフト | 14% |
3位 | レクサプロ | 13% |
4位 | パキシル | 13% |
5位 | リフレックス、レメロン | 9% |
6位 | アモキサン | 9% |
7位 | ルボックス、デプロメール | 7% |
8位 | イフェクサー | 5% |
9位 | トリプタノール | 4% |
10位 | アナフラニール | 3% |